和食屋の雑感19

 三島のば〜ばが、喜寿を迎えた。
77歳。
そりゃ、それでめでたい。
兄弟全員で祝いの会をしようじゃないか。
 そこまではいい。
いざ、アレンジしようとすると話がまとまらない。
あそこがいい、ここがいい、この日はダメだ、この日がいい・・・。
キリがない。
 まずはば〜ばの希望を訊くべ〜じゃ。
ってんで、電話してみた。

「あたしゃ、どこでもい〜よぉ〜。みんな忙しいけん、『徳兵衛』かどっか、手近なところでい〜じゃ〜」

本気だべか・・・?
 何か、祝いに欲しいモンはないかも訊いた。

「今さら、これと言って欲しいモンなんか無いよぉ〜」

本気だべか・・・?

  • 「うなぎ」

 どっか、三島でいい店はないか?
兄弟一同だと、家族含めてざっと10人は越える。
しかも忘年会シーズンの真っ只中。
おいそれとは見つからない。
 「しばらくぶりで、『御殿川』はどう?」
ば〜ばからの提案だった。
確かに16人っくらいの座敷もある。
「ん〜〜ん、ま、いっか・・・」
 本来は「うなぎ屋」だったんだけど、手を広げた。
かつては、近所を流れる「御殿川」のうなぎで商売してたとか・・・。

http://www.rakuten.co.jp/izugourmet/685016/685018/

又、手が広がっていた。
メニューは、「うなぎ」を中心に、刺身、天ぷら、フライ、焼き魚、何でも来いっ!
奥の部屋からは、カラオケが聞こえる。
びみょ〜っ・・・。

  • 乾杯

 揃ったメンツは11名だった。
主賓のば〜ばの他、大人が6人、子どもが4人。
ほぼフルメンバー。
 部屋に行くと、もうみんな集まっていた。
子ども達は、ゲームとケータイに夢中で顔も上げない。
大人どもも、メニュー選びに集中して殺気立ってる。
あらたまった挨拶って事をしない。
ま、そ〜ゆ〜文化なんだべな・・・。
 散々、すったもんだ検討の末、膨大な量の注文が出た。
とりあえず、飲み物が出た。
ここでひと言。

「はい、せめて乾杯だけは全員でしよう。今日は、ば〜ばの喜寿のお祝いの会だからね。ば〜ば、おめでとう!乾杯っ!」

これで目的は達した・・・。

  • 没落

 「御殿川」は変わっていた。
元々、そんなにびっくりするほど美味い訳じゃなかった。
でも「うなぎ」だけは、まあまあだった。
それが、変わった。
見事に全ての料理が失格だった。
 忘年会シーズンの所為かも知んない。
作り置きしてあったと思しきモンが多い。
揚げ物は、しっとりシオナメクジ状態。
付け合わせの野菜は、乾き物同然。
「茶碗蒸し」は、ネコジタでも絶妙に気持ち悪いぬるさ。
 そして、かつてはせめてもの救いだった「うなぎ」
これが、ひどかった。
蒸しも、焼きも、ガサツで妙に脂っこい。
タレも何とも中途半端な味で、はっきり言って不味い。
これまでの50年以上の人生の中でも、最低点を与えたい。

”この店もこれまでだな・・・。”

  • ポリ・・・

 ここんちは、基本的に「膳料理」である。
ま、定食に毛の生えたみたいな・・・。
我々とじ〜じ・ば〜ばは「うなぎ」と「茶碗蒸し」「肝吸い」のセット。
他に、「肝焼き」やら「タコ唐」やらつまみも頼んだ。
 オーバーフローだべや。
ビールも飲んでるから、そんなに喰えるモンじゃない。
じ〜じとば〜ばも全部は喰わない。
嫁さんは思いっ切り半分以上残してる。
正直って言うか・・・。
ま、残ったら「忠犬ゆり」にテイクアウトだ・・・。
 それにしても、舎弟ども一族郎党の喰いっぷりは凄まじかった。
子どもも含めて、1人2人前っくらいずつ頼んだ。
見てると片っ端から平らげる。
「うなぎ」に「トンカツ」に「天ぷら」に「ざる蕎麦」に・・・。
あれなら、どこへ行っても絶対に割り勘負けしないべな・・・。
あまりの喰いっぷりに、見てると気持ち悪くなってくる。

”ゴミバケツかっ!お前達はっ!」