珍しくもない本の雑感77(2)

 【かまいたち

  • 近世代

 「宮部みゆき」は1960年生まれ。
世代も近い。
やっぱ、カップヌードル世代じゃん。
カップヌードルおばさん」の受賞暦はすごい。

’87年 「我らが隣人の犯罪」   オール讀物推理小説新人賞
’89年 「魔術はささやく」     日本推理サスペンス大賞
’92年 「龍は眠る」        日本推理作家協会賞
’92年 「本所深川ふしぎ草紙」 吉川英治文学新人賞
’93年 「火車」          山本周五郎賞・・・

 出す作品が軒並み何か受賞してる。
大したモンだべさ。
1つ、ナントカ協会賞ってのが気になるけど・・・。

  • あとがき

 著者は”あとがき”が苦手だそうな。
でも、この本には特にお願いして書かせてもらったとか。
思い入れがあったらしい。
ってえのは、まだデビュー前に仕込んだ作品だから・・・。
 まだ、プロになれる見込みも見えなかった頃の作品たち。
やっぱ、これには愛着があるらしい。
ド素人の図々しさで、いろいろチャレンジしたそうな。
後から書き直しながら、赤面したとか・・・。
 でも、多分夢一杯だったんだべな。

いつかきっと・・・!

編集者への謝辞と合わせて、ヒトコト書きたかったそうな。
ま、気持ちはわかる。

  • 原点

 この短編集は、著者の原点だという。

    1. かまいたち   ’88年
    2. 師走の客   ’89年
    3. 迷い鳩     ’86年
    4. 騒ぐ刀     ’87年
    5. あとがき    ’92年

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プロデビューが’87年。
確かに前後して、仕込んでた作品らしい。
 きっと、ミステリには独特の才能が要るんだべな・・・。
面白いか、つまんないか、はっきり分かれる。
まあまあってのは無いべ。
読む方は、さあ楽しむぞ!って本を開く。
期待にあふれちゃってる。
こりゃ、相当な技術とセンスが必要だべな・・・。

  • 「予定調和」

 著者は「予定調和」を好むとか。
「予定調和」・・・。
一般的には、あんまりいい意味には使われない。
でも、ミステリの要素には不可欠だと言う。
読者の期待に応えて、モノゴトを収めるべき所に収める。
かつ、物語の質は落とさない。
なあるへ・・・。
 ある解説書の一文。

「『宮部みゆき』は旧来の小説が終わった地点から物語を始めるのである」

うまい事を言う・・・。
確かに「謎解き」とか、「大どんでん返し」とかって問題じゃない。
ってゆ〜かあ、そんなん要らない。
 あっという間に読んじゃった。
でも、やっぱ面白かった。
カップヌードルは期待を裏切らなかった・・・。