珍しくもない本の雑感77
【かまいたち】
誰もが知ってるカップヌードル。
日清の大ヒット&ロングセラー商品。
今年で、発売36周年になるとか・・・。
大したモンである。
最初にこいつを見た時の驚きは忘れられない。
高校に入ったばっかの頃だったなあ・・・。
場所は銀座のホコ天。
すれ違うヒトが、みんなでっかいカップに顔突っ込みながら歩ってる。
”これが、江戸の最新ファッションだべか・・・?”
それが、喰いモンだとわかるまでしばらくかかった。
しかもフォークで喰うラーメンだと!
確かにすれ違うと、何とも独特の匂いがする。
沼津の田舎モンは飛びついた・・・。
- 病みつき
当時、カップ麺は大ブームになった。
カップ麺だけじゃない。
カップライスなんかもあった。
鬼のようによく喰ったのを覚えてる。
冷静に考えたら喰えない。
・ドぎつく、濃い〜い味のスープ。
・何とも独特のドッグフードみたいな匂い。
・紙のような食感の麺。
・スポンジみたいな食感の具。
お世辞にも美味い喰いモンじゃないべや。
でも、不思議と病みつきになっちゃうんだよなあ・・・。
そして、今でも時々思い出す。
無性に、あの下品な味が欲しくなる。
他のモンじゃダメなんである。
日清のカップヌードルでなきゃダメなんである。
これがロングセラーの秘訣なんだべか・・・?
- 箸休め
本にも似たような要素がある。
時々、無性に読みたくなる作家がいる。
何も考えずに、ボ〜〜ッと読みたい。
そんな存在の作家がいる。
決して、上品なご馳走じゃない。
もっと庶民的で、どっちかと言えば家庭の味でいい。
そんな気分の時にぴったしの作家。
それが、自分的には「宮部みゆき」なんである。
ちょっとゆったりしたい。
懐かしい、あの味をちょっと味わいたい。
そんな気持ちで「かまいたち」を手にした。
怒られるかな・・・?
「カップヌードルと一緒にすんなっ!」
- 時代モン
この作品は1992年に刊行。
もう15年も昔なんだ・・・。
1991年に「本所深川ふしぎ草紙」を出して、ナンとか新人賞を取った。
それに続く、時代モン第2弾だとか。
それにしても、巧いっ!
新人賞もヘチマも、あったモンじゃない。
とっても読みやすい文章。
さすが、ミステリ作家と唸らされるストーリー。
とっても心地いい・・・。
時代小説の為の準備もすごいと思う。
いろんな小道具にも、神経が行き届いてる。
作品全体に丁寧さが滲み出てる。
そして、多分著者は心根が優しいんだべな・・・。
何だか懐かしい気分になって癒される。
「やっぱ、カップヌードルと一緒やっ!」