珍しくもない本の雑感76(2)

  【日本の黒い霧

  • 気概

よくぞ現代史の隠された深部にメスを入れたものよ―
今これだけのものを書ける人はいない、
あらためて感嘆せざるをえない。
        半藤一利(作家・昭和史研究家)
    |日本を震撼させた問題作|

 下巻の帯もハデ。
あの、「半藤一利」が解説も書いてた。
ま、「昭和史」を書いたヒトだで、不思議じゃないべ。
 「半藤」いわく。
この作品の執筆中に、どれだけの圧力があったか想像に難くない。
そこはタブーの世界。
ぶ厚い秘密のヴェールに包まれたGHQ内部に踏み込んだ。
この勇気と気概に脱帽だという。

  • 麻痺

 でも、震撼させられなかったなあ・・・。

だからどーした?

・・・みたいな・・・。

意外性がないっ!

極めて日常チャメシゴトなんだよなあ・・・。
 役人って言えば、賄賂、裏ガネ作り、着服がお仕事。
社会保検庁なんて、とっくに逆ギレしてる。
イタチの最後っ屁で、やりたい放題じゃん・・・。
収賄も「親戚なんだから、いいじゃねえかっ!」と開き直る。
 ヘタに散歩なんかしてると命が危ない。
NETで知り合ったアカの他人同士の犯罪マニアグループに拉致されて殺される。
遊びのリンチがエスカレートして、同級生が殺される。
泣いてる赤ん坊は、床に叩きつけられて殺される。

ケーサツはどうした?

 ケーサツは、入れ込んだ女性をテッポで撃ち殺して、自殺しちゃう。
さらに、その犯人に退職金を払う。
”死亡退職扱い”で、5割増になるんだとか・・・。
 そーゆー世の中じゃん。
この作品の世界と較べてどうか・・・?
その頃の方が、はるかにましだったように思えちゃうべ。
そりゃ、震撼させられないべや・・・。

  • 「731」

 1編だけ、気にかかった。
ちょっと、喰らいついて読んでしまった。
それは

帝銀事件

都の職員を装った男が、行員に毒を飲ませた。
14人が亡くなったという、あの事件。
 優雅な時代だったんだべな・・・。
今なら、まず起こり得ない事件だんべな。
せいぜい”消防署の方”から来たヒトに、消火器買わされるっくらい。
 ちょっと引っ掛かったのは、「731部隊」のこと。
731部隊」と言えば、毒やら細菌のプロ集団だった。
その引揚者はいろんなところに引っ張られていったそうな。
役人だったり、クスリ屋だったり、GHQだったり・・・。
 その専門知識は、かなり重宝されたらしい。

一服盛るっくらいは、朝メシ前・・・。

一方、何ってったって銀行は腐っても銀行。
「帝銀」は米兵から見りゃ、美味そうだったべな・・・。

  • ダイヤモンド

 何だかんだ言ったって、戦争は戦争。
勝てば官軍!
昔から勝った方が、戦利品を獲得する。
その点、米兵は気の毒だった。
略奪するべきモノは何も残ってなかった。
ニンゲンも、奴隷としてどっかに叩き売る時代じゃなくなってた。
せいぜいシベリア行きっくらい・・・。
 でも、あるとこにはあったそうな。

日銀地下金庫には、昭和35年現在でも「161,283カラット」のダイヤモンドがあった。

へ?
何で・・・?
その大半は、国民の供出した「接収貴金属」なんだとか・・・。
 終戦後、当然米兵の餌食になった。
でもびっくりする。
戦後5年を経てもこんなに残ってた。
奇跡的だんべな・・・。
ま、どーでもいいけど久々の難行苦行だった・・・。