国際会議のことⅣ
- 根回し
何とか資料を作成。
冷や汗と、眼精疲労の結晶である。
プロジェクトリーダーに、下打合せを申し入れる。
資料をひと通り説明。
「ふう〜ん。これって英語でこう言うんだ・・・?」
「たぶん・・・」
「いやあ〜、面白いね。なかなか勉強になるね」
「早速、毛唐に送って下さい。週末までに回答をもらえるように念押しして・・・」
「了解、了解・・・」
毛唐のレスポンスは早かった。
送ってもらったら、すぐに回答が返って来た。
あちこちに英語でゴチャゴチャ、コメントが書いてある。
又、辞書と睨めっこかあ・・・。
やれやれ・・・。
- 実務派
毛唐の回答は、極めてまともだった。
ちゃんとした専門家がいる事を窺わせる内容だった。
”何だ、この会社じゃ誰も理解出来ないのに、毛唐の方が良くわかってんじゃんっ!”
ってなこって、準備は進んだ。
プロジェクトリーダーもちょっと理解が進んだ。
ちょっと風向きも変わったべ・・・。
「この資料があれば、当日は確認だけで済みます。何とか会議の進行をお願いしますよ。そばにいますんで、何か質問があればお答えしますから。但し日本語ですけど・・・」
「わかった、わかった。それでいいよ・・・」
ほっ・・・!
- 挨拶
ほっと胸をなでおろした。
っとは言え、やっぱその場を想像しちゃう。
自ずとテンパってきちゃう。
”え〜っと、最初の挨拶は・・・。”
”やっぱ、自己紹介っくらいしなきゃまじいかな・・・?”
”部下も紹介しなきゃまじいべな・・・。”
そんな、こんなで会議の当日を迎えた。
カンファランスルームに入って行く。
狭い室内は、ごった返してた。
あちこちで、毛唐と日本人スタッフが挨拶を交わしてる。
あ〜〜っ、いつか見たことのある景色だあ〜っ!
6月の国際会議・・・。
”壁の花”どころか、”床のシミ”になってた。
あのトラウマが・・・。
- 「おもてなし」
今や絶滅危惧種。
日本でも、せいぜい仙台の「加賀美屋」っくらいにしか残ってない。
その「おもてなし」のココロを毛唐から感じた。
ちょとびっくり・・・。
毛唐軍団のコーディネータらしき男性だった。
部屋に入るやいなや、すぐ名刺を持って飛んで来た。
「○○san、Nice to meet you!」
お〜っ!
「san」づけだぜっ!
ヒトの名前だけじゃなかった。
会社の名前にも、ちゃあんと「san」をつける。
日本人流に合わせてんだべなあ・・・。
会議の進行もスムースだった。
この男性が、心憎いほど巧く気配りして進めたお陰である。
長〜いこと、見かけなかった何とも暖かい空気・・・。
会議の緊張も、異言語の疲れも忘れさせるほどだった・・・。
何か、ちょっとトクした気分・・・。