ペット同伴コテージのことⅡ

  • リタイア

 コテージは2部屋。
1つは、リビング・ダイニング兼ベッドルーム。
もう1つ、3人用の和室がある。
とにかく、リビングにはいられない。
だんだん吐き気がして来た。
 とりあえず、外に出る。
湿った山の空気でも、美味しく感じる。

「どーする?」
「無理っ!とっても耐えられないっ!」
「修行にしても、きつ過ぎるよなあ・・・」

 作戦を練った。
どうせ、今からリタイアしても100%カネ取られる。
まず、代わりばんこに温泉に入ろう。
んで、晩メシを和室で喰おう。
んで、さいならってこって・・・。

  • アンケート

 まず、嫁さんが温泉に行った。
その間に、ヤケビール。
今の内に飲んじゃって、温泉で汗かいて醒ます・・・。
晩メシは、アルコール抜きだっ!
 っと、思うと腹が立ってくる。
何で、こんなんなんだべ?
チェックインの時に渡されたアンケート用紙に当たる事にした。

【サービスについて】
問題なし。合理的でリーズナブルなシステムで結構である。
【施設について】
有り得ない。こんな臭いところはとっても絶えられない。
ペット同伴コテージで、ラグやファブリックソファは考えられない。
もっとカネ出してもいいので、清潔なところがいい。
【食事について】
この臭いの中で美味しく食事が出来るヒトがいたら、顔が見たい。
【その他】
ペットを飼うヒトは、こんな臭いでも我慢すべきと思っているなら問題外。
室内犬と、それ以外を別けるとか工夫も必要じゃないか?
我が家の状態を見せてあげたい。

 どうせ、リタイアでいっ!
書きたい放題、書いてやった。

 嫁さんが帰ってきた。

「なかなかいいお湯だったわよ。貸切だし・・・」
「ふう〜ん」
「サウナもあるし、結構いいかもよ・・・」

 交代で、セントラルハウスに向かう。
懐中電灯が必需品。
山道の外灯が切れてて、辺りは漆黒の闇。
この辺は、高級リゾッチャとは訳が違う。
大学生のセミナーハウスクラスと考えなきゃいかん。
 確かに温泉は良かった。
しかも、ホントの貸切。
たっぷり汗をかいて、水風呂でしめて・・・。
せめて、温泉に救われたべや。
泉質が我々に合ってんだべな。
草津、定山渓と並べてもいいってな評価になった。

  • 晩メシ

 部屋に戻ると、晩メシが届いてた。

「どうせ、弁当に毛が生えた程度だんべ・・・」
「トンでもないわよ。すっごい豪華なのよ」
「へ?」

 確かに豪華だった。
ちゃんとした温泉旅館並みの晩メシだった。
コテージだから、キッチンもある。
電子レンジや電気ポットもあるし・・・。
料理は熱々で喰える。
 料理を見て、嫁さんが軟化してた。

「我慢して、和室で寝て、朝一番で帰ろうか?」
「いいけどさ・・・」
「この料理で、ビールも飲まないって、それも有り得ないよね」
「ま、ね・・・」

 ビールって言葉でグラっと来た。
かくして、リタイア作戦は中止となった。
結構、軟弱なんである。