珍しくもない本の雑感72(2)
【犬のいる暮し】
- 犬の本
著者の楽しみの1つらしい。
やっぱどうしても惹かれるとか・・・。
登場する犬の描写の素晴しさ。
単純に犬の知識を得る、というぺダンチックな満足もあるそうな。
「デーリ・ティボル」著、「板倉勝正」訳
【ニキ―ある犬の物語】(恒文社)
著者とは運命的な出会いだったそうな。
ハンガリー事件を背景にした「ニキ」ってなワンコの物語。
忠犬「ニキ」の姿が痛々しかったらしい。
これはポーランドが舞台。
ナチス・ドイツが色濃く登場する。
ちょっと興味が・・・。
- 足跡
日本人が犬を飼うようになったのはいつ頃からか?
考えてみりゃ、そんなに昔のこっちゃない。
1945年、太平洋戦争敗戦。
この後は、ニンゲンが喰うか喰えぬかの時代だった。
とってもワンコどころじゃなかった。
著者は1950年に大学卒業。
丸ビルの洋書輸入会社に就職出来たそうな。
給料6千円、鎌倉の下宿代が3食付で6千円だったとか。
やがて会社はクビになったという。
何となく、わかる気が・・・。
1952年に結婚。
同時に国学院大学の独語講師になった。
給料は1万円だったけど、夫婦じゃ喰えなかったらしい。
いずれにしても、やっぱワンコどころじゃなかった。
- 奇跡
1954年、団地に当選。
日本経済は「奇跡の復興」が始まる。
でも、団地じゃワンコにゃ縁が無い。
1972年、中野家も遂に一戸建てを手に入れる。
又も、公団の抽選に当たったそうな。
オン年47歳だった。
場所は横浜市南郊の洋光台。
この頃は、緑地の多いゆったりした分譲地だった。
ワンコの為に造られたような街だったらしい。
更に中野家には子どもが無かった。
必然的にワンコが来た。
名前は「ハラス」
「ヒトラー」の飼ったシェパードの親犬の名前だとか・・・。
この辺りが、著者の独特の感性なんだべな。
もっとも、そんな事知ってるヒトなんかほとんどいないべ。
- 活気
ワンコは生活を一変させたそうな。
柴犬の仔犬は夫婦をかかりっきりにさせた。
日々の暮らしがにぎやかになった。
人生の下り坂で、すごい活気を与えられたという。
放っとくと、夫婦の会話もほとんどない。
それがワンコを介して会話が増えたらしい。
ワンコを中心にその日が動いてゆく。
どっかん家みたいで、よくわかる・・・。
放っときゃ、じじ・ばば2人っきり。
何だか抹香臭い。
それが、ワンコに引きずられてアクティブになる。
ワンコ好きなら誰でもいっしょだべ。
ワンコが日々の生活に占める割合はずんごく膨張する。
これが又、問題なんだけど・・・。