珍しくもない本の雑感72

 【犬のいる暮し】

  • 大正

 「中野孝次
大正14年(1925年)生まれ。
東大文学部卒。
ドイツ文学の翻訳、エッセイなど多彩な執筆活動。
堅実な作風。
現代生活をいかに生きるかを真摯に問う作品は評価が高い。
主な著書は「ブリューゲルへの旅」、「清貧の思想」など・・・。
 っとカバーに紹介されてた。
「清貧の思想」って読んだなあ・・・。
なかなか堅い印象だった。
確か、近年亡くなっちゃったような・・・。

  • タイトル

 この本はかなり前に仕入れた。
”お、ワンコもんだ”
タイトルだけで判断しちゃった。
でも、読むタイミングを外しちゃった。
やっとこさ、読む気になったってこって・・・。
 著者もどーしよーもないワンコ好きらしい。
愛おしさを、持てる表現を尽くして書いている。
でも、ニンゲンとワンコの寿命の差は如何ともし難い。
ざっと5〜6倍も違うんである。
辛い思いをするのは必然。
もう、ヤだ!っと思う。
それでも、何度もワンコを飼う。
いずこも同じか・・・。

  • 幸せ

 現代人にとって犬とは一体何なんだろう。
何故、現代人は深く犬との共生を欲するようになったのだろう。
このヒトらしい・・・。
ある本を紹介してる。
 「富澤勝」著。
【日本の犬は幸せか】(草思社
この中で、現代人が犬を飼う動機をあげている。

    1. 漠然とした自然回帰志向、つまり犬との共存が自然への欲求を軽便に満たしてくれるというもの。
    2. 管理社会に対する反駁から、自由な関係を結べる犬を選ぶというもの。あるいは集団主義に対する個人主義。犬を飼うというのは個人の営みで、そこに個人としての自己実現の試みがある。
    3. 成熟した社会への物足りなさから、犬を飼うことで生活にアクセントをつけようとするもの。

みなニンゲンの勝手な要求である。
ニンゲンの愛玩に応えるだけが役目の犬は幸せだろうか?
っとこの著者は問うているらしい。

  • 絶対愛

 著者いわく。
「そういう動機もあろうが、もっと精神的な動機もあるのでは・・・」
犬は全身で喜びをあらわす。
声をあげて、跳び上がって、舐めまわして歓喜のさまを示す。
 ニンゲンも嬉しい。
癒し、慰め、よろこびを与えてくれる。
何一つ顧慮する必要がない。
全身全霊で犬の愛に応えることが出来る。
犬との間では擬似的とはいえ、ある絶対的な愛を感じているのでは・・・。

人間は他者を愛さずにいられぬ生きものである。

 そんなに掘り下げて考えた事もなかった。
我が家の動機は”単に可愛いから”・・・。
ま、難しい事あどーでもいいじゃん。
きっと、お互いに幸せなんだから・・・。