珍しくもない本の雑感71(5)
【サロメの乳母の話】
- 教育ママ
「ユダ」の母親は教育ママだった。
しょっちゅう教師にクレームをつけに来たそうな。
「この子の成績が芳しくないのは教え方が悪いからだべさっ!」
大変教育熱心だったそーな。
今で言えば、”モンスターペアレンツ”ってヤツですか・・・?
「ユダ」がガッコを卒業してしばらく経った日のこと。
そのママが、又やってきたそうな。
そんで、グチるグチる・・・。
大切な息子が「イエス」んとこへ行っちまった・・・。
どうしよう・・・。
仕事も、家族も捨てて・・・。
やってらんないわよっ!
- ステージママ
にもかかわらず、「ユダ」は「イエス」と波長が合わなかった。
「イエス」は「ペテロ」、「ヤコボ」、「ヨハネ」を引き立てた。
そして「ユダ」の裏切りを予言した。
「おまえのしようとしていることを、早くしなさい」
「ユダ」はびっくり・・・。
”そ、そんな積りは・・・。”
無かったんだけど、だんだんその気になってきた。
んで、結局は「イエス」を売った。
そして自分も後悔のあまり、首をつったそうな・・・。
ママは悲しんだ。
その悲しみを本にしたそうな。
【手に負えぬ息子を抱えて】
―泣きたくなる母の心情の、赤裸々な全告白!―
この本はベストセラーになった。
ママはスケジュールに忙殺されるようになったとか・・・。
すんごい想像力でんなあ・・・。
- 舎弟
「イエス」には舎弟がいた。
へ?
知らんかった・・・。
父は大工の「ヨセフ」、母は「マリア」だと。
「ヨセフ」は若くして死んだ。
兄弟は父の仕事を継いで、でえくになった。
でも、兄「イエス」の仕事ぶりはマルっきり使えなかった。
杜撰な仕事を指摘されてもこたえなかった。
いつも優しい微笑を口許に浮かべるだけ・・・。
実質的に、舎弟の頑張りで一家を支えてたらしい。
兄は突然出家して、洗礼を受けた。
もう母も兄弟もヘチマもなくなっちゃった。
母「マリア」は来るべきものが来たと感じた。
以降、急に老いこんだそうな。
その後も、母をずっと支えていたのは舎弟だった。
「イエス」は大勢のヒトを従えてイェルサレムに入城。
ヒトビトは叫ぶ。
「ユダヤ民族待望の救世主だ!」
「神の国が近づいた!」
イェルサレムは騒然とした。
ユダヤ教のラビたちは反発した。
「イエス」を狂人と非難するヒトビトもいた。
イェルサレムは2分されてしまったそうな。
結果、「イエス」は十字架にかけられた。
母も、弟も、ゴルゴダの丘に居あわせた。
「マグダラのマリア」もいたそうな。
傷心の母は、その後1年もしないで死んだ。
弟は思った。
”きっと母さんは、天国で兄ちゃんに会えたべ・・・”
やっぱ、”惣領の甚六”。
弟がしっかりしてるのはいずこも同じか・・・。
痛てててててっ・・・。
耳が・・・。