珍しくもない本の雑感71(4)

 【サロメの乳母の話】

我が輩は、馬である。
名前は、ある。「インチタートゥス」、という。

「七生おばさん」楽しんでまんなあ・・・。
 この馬、タダモノじゃなかった。
ローマ帝国元老院の立派な議員だったそうな。
「インチタートゥス」はアラビア馬。
皇帝に献上された11頭の中の1頭だった。
そして、一番ぶっ細工だったという。
 この馬は大理石づくりの厩舎に入れられた。
寝室、食堂、応接間付きだったそうな。
まぐさ桶は象牙と黄金で出来てた。
専用の奴隷もいて、「インチタートゥス閣下」と呼んでたとか。
何じゃ、そりゃ?

  • 限界

 時の皇帝は、若き「カリグラ帝」
初代皇帝は、”神君”と言われた「アウグストゥス
2代目皇帝が、見事な行政官だった「ティベリウス
そしてその後を継いだのが「カリグラ帝」
本名は「ガーユス・ユリウス・カエサルゲルマニクス」って言うとか。
ながっ!
 「カリグラ帝」は辛かった。
先代たちが立派過ぎて、何をしても評価されない。
その内、キレた。
わざと先代たちと反対の事をし始めた。

ローマ皇帝ってえなあ、どこまで許されちゃうんだべ?”

「カリグラ帝」は限界を追い始めた。
「インチタートゥス閣下」はその一例だった
心を許せるのはこのぶっ細工な馬しかいなかったらしい。
そして28歳の若さで暗殺されてしまったそうな・・・。
気の毒なモンだべさ。

  • 双子

 「ネロ」には双子の兄がいた。

”ホンマかいな・・・?”

西暦37年12月15日生まれ。
第3代皇帝「カリグラ帝」が即位した頃の話。
でも、歴史家たちは誰1人わからなかったそうな。
ひょっとしたら、知ってたのは世界中で「七生おばさん」だけかも・・・。
 兄ちゃん「ネロ」は生まれてすぐに産婆に手渡された。
田舎でたくましく育っていったそうな。
「カリグラ帝」が亡くなって、叔父の「クラウディウス帝」が即位。
この第4代皇帝も初代同様、”神君”と言われたそうな。
 「ネロ」の母親「アグリッピーナ」もたくましかった。
皇帝がやもめになったチャンスを逃さなかった。
猛アタックを開始。
遂に、皇帝のお仕掛け女房になっちゃった。
「ネロ」兄弟にとっては皇帝がパパになっちゃった。

  • 陰謀

 「ネロ」兄弟は17歳になった。
この年、「クラウディウス帝」が死んだ。
実は、兄ちゃん「ネロ」が毒殺したそうな。
遂に弟「ネロ」は第5代皇帝になっちゃった。
 兄ちゃん「ネロ」は、次に「クラウディウス」の実子「ブリタニクス」を毒殺。
更に母「アグリッピーナ」を暗殺。
次に弟「ネロ」の妻「オクターヴィア」も殺害。
更に更に、家庭教師だった哲学者「セネカ」も暗殺。
 弟「ネロ」は気が狂いそうになってたという。

「父殺し、弟殺し、母殺し、妻殺し、師殺し」

極めつけは「ローマ大火」と「キリスト教徒大虐殺」
これも兄ちゃん「ネロ」のしわざだそうな。
 最後に「七生おばさん」いわく。

歴史家たちは、「スウェエトニウス」著の『12皇帝列伝』の中に、「ネロ」について書かれた章の最後に数行に、少しも注意を払わないから真実が見えないのだ。

ふうう〜〜〜ん・・・。