クルマの雑感14

  • 店頭渡し

 いよいよ納車日である。
「山Gさん」いわく。
「やはり皆さん、慶事ですので午前中を希望されますねえ・・・」
午後に行くって言い難くなっちゃった・・・。
 半分、眠たい眼をこすりながらクルマ屋へ。
我が愛車「325iX」最後のドライブである。
相変わらずの重厚なエキゾーストノート
鋭い吹き上がり。
 もちろん窓は全開。
あっという間に外気温は30℃を超えてる。
かっ飛ばしてれば結構涼しい。
でも、信号待ちは地獄。
エアコンさえ壊れなきゃなあ・・・。
名残惜しいなあ・・・。

  • 説明

 「山Gさん」が待ち構えてた。
「お忙しい中、わざわざ有難うございます」
営業の鑑みたいなヒトである。
こっちが勝手に”取りに行く”って言ったのに・・・。
納車費用惜しさに・・・。
 マニュアル通りに説明を聞いた。

  1. 改造すると保証できません。
  2. フロアマットを重ね敷きしないで下さい。
  3. 密閉されたガレージでエンジンをかけたままにしないで下さい。
  4. エンジンをかける前に日常点検をして下さい。
  5. シートベルトにクリップ等をつけないで下さい。
  6. サルに運転させないで下さい・・・。

んがあ〜っ!
ちゃんと説明を聞きましたってなサインもした。
ま、さすがにちゃんとしてる・・・。

  • 納車チェック

 「じゃ、おクルマの確認をお願いします」
いよいよ新車とご対面。
磨き込まれてピッカピカの「116i」がガレージで待ってた。
「じゃ、外装のチェックからお願いします」
そりゃ、何もないべ。
シートにはビニール被ったまんま状態である。
 「次に装備のご説明をさせていただきます」
最新のクルマは驚きの連続だった。
全てがコンピュータ制御だった。
アナログっぽいのは、速度メーターとタコメーターだけ。
素人が手を出せるような要素は何もない。
何だか寂しいモンだべや・・・。

  • 仕掛け

 仕掛けは豊富である。
盗難防止のロックやら何やら・・・。
走行安定性の為のコンピューター制御の仕掛け。
ランフラットタイヤ採用で、スペアタイヤやジャッキは無くなった。
オイルチェックもコンピューター任せ。
何だかなあ・・・。
 いろんなボタンやら、レバーやらが並んでる。
「これが『ボード・コンピューター』です」
「この状態で、これを押すとリアワイパーが間欠で作動します」
訳がわからん・・・。
思わず訊きたくなる。
「んで、ミサイルはどのボタン押せばいいの?」

  • 駐車場

 夕べ、管理人が来たという。
「やっと、OKが取れました。広いパレットに留めて下さい」
さすがの嫁さんも醒めてる。
「はあ・・・」
「申し込みのあった方のクルマは小さかったので、入れ替え大丈夫でした」
「はあ・・・」
「是非、大家さんにお礼言っといて下さい」
「はあ・・・」
 話を聞くとムカつく・・・。
「誰がカネ払ってんだっ!」
「しょーがないじゃん。管理人さんも一生懸命なのよ・・・」
「どっか、外で探してるから要らないって言えば良かったじゃんっ!」
「そんな、ケンカしてもしょーがないじゃん・・・」
「どうも、バカトンボの根性が気に入らんなあ・・・」
 仕方ないので、新たなパレットに留めた。
今までと勝手が違う。
景色も全然違う。
何度も切り返して、かつて無いほど慎重に留めた。
”オレって、ちっちぇえ・・・。”