珍しくもない本の雑感65(4)

 【魔女の1ダース】

  • 無知の傲慢

 ここにも痛快な一文があった。
標的は「IMF」や「先進諸国」
IMF」の独善的ショック療法を酷評してる。
 ボリビアは、大麻生産国になり下がった。
ポーランドでは、旧共産勢力の復権を招いた。
ロシアでも経済と国民生活に大打撃を与えた。
 一番の悪は、ユーゴ内戦の引き金になった事だという。
しかも、その後「先進諸国」は内戦に介入。
収集がつかなくなった。
挙句、「米国連」は勝手に引き揚げちゃう。
「介入は時期尚早だった」とか言って・・・。
後を受けて、存在価値を探していたNATOが張り切った。
もう泥沼状態である。
”放っときゃいいのに・・・”
っと思った事は記憶に新しい。

  • 米原処方箋

 著者も同じ事を言ってる。

本気で解決する気があるのなら、外国勢力は一切手を引き、爆撃機を用いても良いから、爆弾ではなく、旧ユーゴスラビア内のすべての民族の言葉で書かれたビラを空からまいたらよかったのだ。ビラには以下のように記す。
「どうか、心ゆくまで、最後の1人になるまで殺し合ってください。その後に残るだろう領土的空白については、ご心配なく。欧州には、領土不足を感じている国々が山ほどありますから」

 思いっきりうなづいちゃう。
何を”世界のケーサツ”みたいな顔してんだか・・・。
自信過剰の独りよがりだんべな。
放っといた方が上手く行った事例が沢山あった気がする。

  • 洗練

 著者の舌は更に滑らか。
そもそも「洗練された」先進国ヅラが気に入らないとか。
散々、残虐で卑劣なやり方で太ったクセに・・・。
インド人を奴隷扱いし、清国を阿片で破綻させたイギリス。
”紳士の国”ヅラするまで500年もかかってる。
 未だに南太平洋に植民地を有するフランス。
そこで、平然と核実験をして、「安全だ」と言い切る詐欺師。
先住民を根こそぎ殺戮し、土地や富を略奪した野蛮人、アメリカ。
これらも”洗練された国”ヅラするまで200年を要した。
 日本、ドイツ、イタリアなんかは出遅れた。
後発国の焦りで無理をした。
100年っくらいでイギリスやフランスに追いつこうとした。
実はやってるこたあ一緒だった。

  • 強み

 この本を読んでて、ちょっとした喜びがあった。
「強みは弱みにもなる」というテーゼ。
著者も「七生おばさん」の「再び男たちへ」を読んだとか。
そこで、この一文に触れた。
夜も眠れぬほど興奮してしまったそうな。

 歴史物語を書き続けているわたしの心の中には、ある仮説が確かなものになりつつある。それは、国家の興隆も衰退も、いずれも同じ要因の結果であるという仮説だ。
 ヴェネツィアは、外からの人の受け入れを拒否することで大を為したのであった。だがまた、この方針を貫いたことによって衰退せざるをえなかったのである。
 古代ローマとて同じだ。こちらは反対に門戸を開いたことで大国になったが、衰退も同じ要因によって起こったのである。国境を広げ人びとに均等な機会を与えたので大帝国になりえたのだが、それによって首都ローマが空洞化するのまでは防げなかったのだ。

 つい、こないだ読んだばっかし。
”類は友を呼ぶ”みたいな・・・。