珍しくもない本の雑感64(3)

 【再び男たちへ】

 ”フランス革命200年”という3部作があった。
「自由」、「平等」、「博愛」の3章に分かれていた。
そっか・・・。
フランス革命200年・・・。
結構昔に書かれたエッセイだったんだ・・・。
 いずれにしても、切り口は斜めだった。

―民衆というものは、善政に浴しているかぎり、とくに自由なぞを望みもしなければ求めもしないものである。

ヴェネツィアで平等といえるのは、法の施行のみである。利益の配分に関しては公正という文字しか使えない。

政敵を倒すだけにとどまらず人民まで多数殺し、キリスト教関係となれば物でも人でも、古代ローマそこのけの大虐殺をやってのけたのが、フランス革命の現実であった。

頷いちゃうなあ・・・。

  • 三大支柱

 「自由」、「平等」、「博愛」
フランス革命の思想上の三大支柱と言われてた。
あくまで教科書の世界だけど・・・。
現実はどうも怪しいらしい・・・。
 「自由」は誰もが欲する。
でも、それを駆使して生きるのは意外と大変。
社会主義が崩壊する前の話が出てた。
めでたく自由主義国に脱出したヒトの多くが戻りたがったとか・・・。
理由は・・・?
「自由がこんなに疲れるとは思わなんだ・・・」
 最近流行の「格差」問題。
所得の配分を「平等」にするとどうなるか?
簡単なこって・・・。
誰も必死こいて働かなくなる。
生産性が低下して、国は衰える・・・。

  • 誤訳

 「博愛」に至っては”誤訳”だという。
原語は「フラテルニテ」とか言う言葉らしい。
フランス革命の時に唱えられたそうな。
これって外国語の辞書に載ってる説明では、

兄弟間の情。同胞愛。友愛

なんだそうだ。
決して、「全人類的愛」みたいな意味じゃないという。
 これはわかりやすかった。
「同胞愛」、「同士愛」みたいなモンか・・・。
それなら理解できる。
「人類みな兄弟、一日一膳」っとか言いながら革命した訳じゃなかった。
自分の仲間だけを大切にした。
自分ち仲間以外は皆殺しにしても不思議じゃなかった。

  • 根性っぴー

 思い出した。
フランスツアーに行った時のこと。
ニースから始まってフランス全土を周遊出来るツアーだった。
内容はなかなか良かった。
つまみ喰いとはいえ、濃い〜いツアーだった。
 印象に残った事が幾つかあった。
フランス人は基本的にてめえの事しか考えない。
強烈な根性っぴーである。
それ故、芸術面では秀でてる。
 要するに究極のエゴイストじゃん。
「博愛」なんていう”誤訳”が我々を混乱させてた。
そんなモンありゃしなかった。
「同士愛」とか「身内愛」なら納得出来る。
 もう1つ、印象に残った事。
行く先々で何故か教会の装飾が壊されてた。
入り口のレリーフはことごとく顔を潰されてた。
何でだべ・・・?
ガイドに訊いてみた。
革命でむにゃむにゃ・・・。
きっと自分達の恥と思ったんだべな。
でも、やっとナゾが解けたぜ。
あ〜、スッキリした!