珍しくもない本の雑感64
【再び男たちへ】
- フツウ
前作「男たちへ」は、
フツウの男をフツウでない男にするための54章
だった。
今度の「再び男たちへ」は、
フツウであることに満足できなくなった男のための63章
なんだそうな。
「七生おばさん」の切れ味は相変わらず。
”コノヤロ〜っ”ってなモンである。
ついつい引き込まれちゃう・・・。
極めてフツーのオヤジなんだけど、ハマるなあ・・・。
- 平和
第1章ってえのは結構大事である。
前作は第1章を読んで、思わず本を閉じちゃった。
今回の第1章はイケてる。
戦争は悲惨で馬鹿げているからできうるかぎり回避されねばならないが、1つだけ利点がある。人間の欲求を単純化してくれるというメリットだ。自分自身と身近な人びとの生存ということだけしか考えられなくなるからである。
そーなんだべなあ・・・。
”生存”ってえのは最低限の欲求。
これが達成されちゃうと、他の欲求に目覚めちゃう。
そして、欲求は複雑化して際限なく広がる。
ニンゲン、平和に慣れちゃうとロクな事になんない。
”知足”なあ〜んて言葉は絶滅危惧種。
ホントは如何に恵まれてるか・・・。
又、戦争するまで気がつかないんだべな。
しょーがないんか・・・?
せめて、我々が死んだ後にしてもらいたいけど・・・。
- 盛者必衰
「七生おばさん」は開国・鎖国について語る。
これが面白かった。
国の繁栄をず〜っと維持するにはどーすっか?
開国路線か、鎖国路線か・・・?
おばさんいわく。
開国路線をとろうが鎖国路線を選ぼうが、国家の延命にはほとんど関係ない。
お得意の地中海諸国の事例が出てくる。
鎖国路線だったヴェネツィア。
開国路線の典型はもちろん古代ローマ。
おばさんの真骨頂である。
歴史物語を書き続けておばさんは気づいたそうな。
国家の興隆も衰退も、いずれも同じ要因の結果である。
多分、それは現代の大国も例外じゃない。
アメリカはそれが故に苦しむと・・・。
締めくくりのセリフもイケてる。
必衰は、盛者になりえた者のみが受けることのできる特権である。
悔しいけど、まったくその通りだべな。
エラくなんなきゃ降格もないっ!
カネが無きゃ泥棒も恐くないっ!
無い袖はノースリーブっ!