和食屋の雑感15

  • 誕生日

 1月は嫁さんの誕生月。
さすがに、最近は喜ばなくなった。
「これからは折り返しで、年齢は減っていくの・・・」
っとか、訳のわかんない事を言ってる。
 でも、知らん顔してると明らかに不満そうである。
嬉しくはないけど、お祝いはして欲しい。
それとこれとは別問題らしい・・・。
さて、どーすっか?
 花束を買って帰った事もある。
でも、”花より団子”ってな顔してたなあ・・・。
やっぱ、”団子”か・・・。
っとは言え、”団子”じゃいかにもちゃっちいべな。

  • ケーキ

 今年はケーキを買って帰った。
それも、あの「イデミ・スギノ」である。
京橋の小さな店なんだけど、いつも長蛇の列。
テレビの威力は絶大である。
ま、話のタネで・・・。
 行ってみると、ちょっと並ぶ程度で店に入れた。
さすがに一時の大騒ぎは収まったらしい。
順番が来て、ケースをのぞくと残りは4種類だけ・・・。
しかも、その内3種類は1ヶずつしかない。
”選択肢はないじゃん”
それでも買えただけでもラッキーって事か・・・?
 1つずつ4種類を購入。
ケーキ1つが牛丼の倍以上の値段である。
この比較が小市民テキか・・・?
味は確かに美味しかった。
濃厚で、1つ1つにパティシエの情熱が凝縮されたような・・・。
ま、あとは好みでんな・・・。

  • 再び

 「イデミ・スギノ」がなんぼのもんじゃい。
ケーキっくらいじゃ、済みまヘンでぇ〜。
ってんで、週末に食事に行った。
「誕生日なんだから、ちょっといいモン喰わせてや」
ってんで、「グランドホテル神奈中」の和食屋「松風」に行ってみた。
 秋口に行って、びっくりした。
この街に、こんなにちゃんとした和食屋があったんだ!
大満足の記憶が蘇ってくる。
あの時は「松茸づくし」だった。
あの感激を再び・・・。
 今の旬は・・・?
やっぱ、「ふく」だしょっ!
ってんで、「ふぐ会席」を頼んだ。
例によって、客は我々とお座敷に1組だけらしい。
タバコの心配も要らないし、優雅な会食である。

  • 献立

 ここんちは嬉しい事に、「アサヒ・スーパードライ」がある。
これだけで、料理の味が2割アップしちゃう。
単純というか、飲んベというか・・・。
ま、とりあえず乾杯。
お誕生日、おめでとーっ!

 【先付】
「ふぐ皮湯引き 浅葱 紅葉卸し ゆず」
 うんめえ〜っ!
和食の味ってこうだったよねえ・・・。
って思わせてくれる、繊細な味。
やっぱ、ここんちの板さんはホンモノだべさ。
 【お造り】
「ふぐ薄づくり 添え野菜 酢橘」
 やっぱ、美しいねえ〜。
箸をつけるのがもったいない・・・。
「あ、デジカメ持ってくるの忘れた!」
ま、眼に焼き付けておくべ。
 ポン酢の味は落涙モンだった。
テッサは、見た目とポン酢が勝負だべさ。
これは、それぞれ別々に盛り付けてくれて正解である。
さもなくば、血みどろの取り合いに・・・。
 【煮物】
「ふぐちり鍋 ちり野菜 焼き餅 とうふ 葛きり」
 セルフサービスである。
鍋奉行もいないので、結局嫁さんが世話しなきゃなんない。
でも、モノがモノなんでOKらしい。
「何だか、ふぐのホネばっかしで身が少ないわね・・・」
 テッチリは、嫁さんのイメージとは違ってたらしい。
「え、そ〜かな・・・?」
「前に食べたふぐちりは身がいっぱいだったわよ」
 前ってのは、京都で飛び込みで喰ったテッチリの事を言ってるらしい。
「あれはさ、テッチリだけだったじゃん・・・」
嫁さんはイマイチ納得してないらしい。
「もう1匹つぶしてもらえば、身だくさんの鍋も喰えるかもね・・・」
そんな贅沢な・・・。
 【とら河豚から揚げ】
伏見とうがらし 酢橘」
 鍋で、結構腹が膨らんだところに揚げ物である。
「順番が逆の方がいいのにね・・・」
っとか何とか、うるさい客である。
 でも、このから揚げは絶品だった。
芳ばしく、カラッと揚がってて、味も絶妙である。
ホンットに美味いっ!
改めて、ビールお代わりしたくなっちゃう。
 【ふぐ雑炊】
「玉子 薬味 香の物」
 最後に雑炊で締める。
想い出した。
前回も、これだけが「難アリ」だったんだ。
事前にヒトコト言っときゃ良かったなあ・・・。
 どうも、雑炊系はしょっぱい。
いいダシが出てるから、薄味でいいんだけどなあ・・・。
「すいませ〜ん。お水下さ〜い」
嫁さんが希釈を画策した。
それでも、まだしょっぱいっくらいである。
幾ら、この街の好みに合せるったって・・・。
惜しいっ!
 【水菓子】
「季節の果物」
 メロンとイチゴが出て来た。
ちょこっとだから、尚更かも知れないけど美味いねえ・・・。
間違い無く、厳選された食材だと思う。

 「ふぐ会席」終了である。
いやあ〜、久々にふぐ喰ったなあ・・・。
それにしても、安い。
いくら、田舎街とは言っても相場の半分じゃないかな・・・。
 しかもホンモノの料理である。
某有名店と較べてもまったく遜色無かった。
こんな近所で、これだけのモンが喰えるなんて・・・。
何て、幸せな・・・。