フエのこと(2)【1/7】

  • カッパ

 さて、今朝のお天気は・・・?
カーテンを開けるまでもない。
昨晩から雨音が止まる事がなかった。
時々、雷鳴も聞こえてきた。
文字通り、土砂降りである。
やれやれ・・・。
 ロビーに降りて行くと、「玲子さん」が待ってた。
みんなにカッパを手渡してる。
最近、日本では見なくなった薄っぺらいビニルカッパである。
現地旅行社が用意してくれたらしい。
雨季ってわかってるから、当然か・・・。
 浮かない気分でフエ観光開始である。
ビニルカッパ着て、カサさして・・・。
ふと気づいてしまった。
「玲子さん」はしっかりした日本製のカッパを着てる。
「何で、電話で教えてくれなかったんだろう?」
「ったく、自分だけねえ・・・」
あちこちでヒソヒソ声が聞こえる。
これは、”言葉が足りない”では済まないかも・・・。

  • 「カイディン帝廟」

 バスは土砂降りの中を進む。
だんだん泥んこだらけの道になってきた。
田んぼと、水牛と、スゲガサと、ヤシに囲まれたほったて小屋・・・。
これぞ、ホントのベトナムの景色かも・・・。
こーゆー環境で戦争やってたんだべなあ・・・。
 フエは世界遺産の街である。
まずは「カイディン帝廟」からスタート。
ここは「グエン王朝」の第12代「カイディン帝」の帝廟。
1920年から12年かけて造られたとか。
 いきなり、かなりの高さの階段を登る。
ビニルカッパ着て、カサさして・・・。
みんな無言で・・・。
情けないモンである。
 「カイディン帝」はフランス留学もしてたシャレ者だそうだ。
建物に入ると、鮮やかなモザイクが眼を引く。
いたるところ、モザイクだらけである。
良〜っく見たら、モザイクは陶磁器やビンの破片だった。
世界遺産に廃材・・・?
廃材でも、これだけキレイならOKなんだんべな。

  • 「トゥドゥック帝廟」

 ここも「グエン王朝」の皇帝がらみ・・・。
第4代「トゥドゥック帝」の別荘跡という事らしい。
「グエン朝」で一番在位が長かった皇帝だったそうな。
文学や美術に造詣が深く、信望が厚かった。
でも、熱病に罹った為、跡継ぎが無かったという。
 ここは素晴しかった。
広大な敷地に中国風の庭園や建物が並ぶ。
ハス池に面した釣殿や書斎は何とも優雅である。
皇帝のセンスの良さがわかる。
 ただ、傷みも激しい。
あちこち落書きも目立つ。
明らかに日本人によるモンもあった。
情けなくなっちゃう。
この国賊の恥さらしがっ・・・。
 このままじゃ、先は見えてる。
アンコールワット」も同じだった。
世界遺産の指定したら「保存」も考えないと・・・。
ごっそり入場料取るべきだべ。
んで、ユニセフで保護すりゃいいじゃん。

  • 昼メシ

 昼は「郷土料理」が喰える予定になってた。
「バインセオ」っていうベトナム風お好み焼きだという。
ちょと期待しちゃうね。
 何にせよ、まずビール。
地ビールは「HUDA」とかいう銘柄だった。
330ml缶で$2(約240円)。
どこへ行っても$2だなあ・・・。
味は・・・うすい・・・。

 【野菜スープ】
ニンジンや青菜まで入った具沢山のスープ。
卵でとじてあって美味かった。
これならビールのつまみとしてもイケちゃう。
 【エビの豆天ぷら】
表現が難しい。
海老天なんだけど、コロモが変わってた。
枝豆の半分に割った状態のヤツがまぶしてある。
見た目は緑色っぽい天ぷらなんである。
ま、ふつーに天ぷらの味だった。
ニョクマム」と「サワーソース」が用意されてた。
っけど、塩が一番美味かった。
 【バインセオ】
真打登場である。
ベトナム風お好み焼きはガイドブックにも載ってた。
出て来た現品は、どうもイメージと違う。
焼いてない。
丸ごと揚げてある・・・。
中には野菜とウズラの卵の具が入ってる。
皮も身もしっかりアブラを吸い込んでモタモタ・・・。
焼いてくれりゃあ、美味かったかも・・・。
 【カニの魚肉詰め】
ワタリガニの甲羅に魚のすり身を詰めて揚げてあった。
徹底的に揚げモン攻撃らしい。
いささか、アブラムシになってきた。
味がどうこうよりも、モタついて飽きてきちゃった。
 【焼き鳥・白ご飯】
一番、さっぱりしてたかも・・・。
焼き鳥はアジア系共通の「サテ」だった。
ご飯は、魚沼産とはほど遠いタイ米
でも、これはアブラッ気がないからホッとする。

 あと、デザートはフルーツ。
全体に揚げモンばっかしで飽きちゃった。
しかもパクチーは必ず入ってる。
加熱してるから、大分威力は衰えてるけど・・・。
星は2つだな・・・。

  • 「フォン川クルーズ」

 これはクルーズなんてシロモノじゃなかった。
何とも言えない趣味のイカダの親分みたいな船だった。
ほっ立て小屋にエンジンが付いてるみたいな・・・。
小屋は一応、アルミサッシュのガラス戸で囲まれてる。
これで、寒さだけはしのげる。
 何てったって、雨の中である。
川も濁ってるし、景色も煙ってボケてる。
面白くも何ともない。
特に見どころの案内がある訳でもない。
ただ、ボ〜っと座ってるだけである。
 その内、家族スタッフが総出でいごき出した。
土産物攻撃開始。
小屋の片隅に木彫りやら、刺繍やらが並べられた。
誰も反応しない。
そりゃ、この天気で極めてローテンションだべや。
今度はシナモノを持って、個別攻撃開始。
「ナナドル、ナナドル・・・」
そんな、ズボンなんか持って来られてもねえ・・・。