「ハロン湾クルーズ」のこと(3)【1/5】

  • デザート

 ランチのデザートはフルーツだった。
ベトナム茶と一緒に出て来た。
フルーツは「モンキーバナナ」と「ベトナムミカン」
そう言えば、昨晩ホテルの部屋にもあった。
「ウェルカム・フルーツ」ってヤツですか?
 この「モンキーバナナ」は美味い。
何と、皮だけじゃなくって、身も黄色い。
いかにも味が濃そうな・・・。
実際、喰ってみるとホンットに濃い〜い。
こんなに美味いバナナも初めて喰った気がする。
 「ベトミカ」は野性味にあふれてる。
外の皮はめっちゃ薄い。
中の袋の皮がめっちゃ頑丈に出来てる。
しかも、タネは1袋に3〜4ヶずつもれなく入ってる。
でも、やっぱし味は濃い〜い。
喰うには面倒いけど、美味いのは美味い。

  • 養殖

 お茶とデザートの間に船は終点に近づいた。
「イェンさん」が入り江を指差す。
「すいぞーせかつ者ねっ!」
一瞬、ランゲルハンス島を思い出す・・・。
水上生活者か・・・。
 見ると、家が乗っかったイカダがあちこちにある。
でも、みんな小ギレイである。
カンボジアの「トンレサップ湖」の水上生活者とは比較になんない。
ワンコが走り回ってるイカダもある。
水上生活とは言っても水準は高そうである。
 良〜く見ると、イケスがくっ付いてる。
”なあ〜るへ。”
ここで、高級食材を養殖してるんだ。
そいつをクルーズ船に売る。
観光客用だから、一般市場価格とはケタ違いだんべ。
そりゃ、いい暮らしが出来るべ・・・。

  • 民芸品

 クルーズを終えて、バスに戻る。
「イチドルっ!、イチドルっ!」
売り子攻撃をかき分けてバスに乗り込む。
これから一路、ハノイである。
ハロン湾よ、さらばっ!
 昨晩は暗くてわかんなかったけど、この辺の開発はかなり進んでる。
道路も街灯も立派なモンである。
あとは建物を待つだけって雰囲気である。
まだ、建物が少ないんで街灯は間引いて点灯してたらしい。
「日本のODAね!」
この世界遺産は、近い将来無くなるかも・・・。
 ハノイまで、またまた4時間。
途中、民芸品店でトイレ休憩。
これも、昨日と同じパターンである。
ここも、米軍の枯葉剤による障害者の授産施設だという。
版で押したように同じパターンだった。
 違いは、入口正面のカウンターの景色。
正面だから、とっても目立つ。
両腕の無い男性が伝票整理らしきことをやってた。
脇に器用にボールペンを挟んで、何やら字を書いてる。
う〜ん、びみょー・・・。

  • 交通事情

 昼間の車窓は、夜よりもっと疲れる。
特に前方を見るのはタブーである。
良く見えるだけに、気が休まるヒマがない。
そんな事してると、ホントに右足がつっちゃう。
 みんな、基本的にマイペースである。
ヒトと、チャリンコと、バイクの洪水。
そして、その中を泳ぐクルマ。
凄まじいとしか言いようがない景色である。
 バスは急発進・急停車の連続。
排ガスのすごい臭いは車内まで漂ってくる。
クラクションはず〜〜〜〜っと鳴らしっぱなし。
耳に障って、だんだんイライラしてくる。
確かにクラクションだって”値段の内”だべ。
”値段の内”だから、使わなきゃソンだと思ってんじゃないべか?

  • 成金

 道中、幾つかの街を通った。
街中には結構立派になりそうな家がある。
ほとんどが、現在進行形なんである。
3階建てや、4階建ての家もある。
 「イェンさん」いわく、ここ数年土地バブルが起こってるんだとか。
っとは言え、ベトナム社会主義共和国。
土地は全部国有である。
つまり、土地利用権の売買が過熱してるって事らしい。
 ここ数年、街道沿いと農地の権利所有者が”勝ち組”みになった。
この3〜4年で数倍になったようだ。
こう言う”勝ち組み”がバカスカ御殿を建てる。
ま、要するに”土地成金”っである。
「働かなくてもダイジョブね」
持ってるヒトが強いのは、いずこも同じだ。

  • 節税

 でも、家の建て方は独特。
みんな、間口は2間っくらいしかない。
その代わり、奥行きは10間以上ありそうだ。
そして3階とか、4階建て・・・。
何だか、平べったくって使い難そうである。
 ウナギの寝床とも違う。
まるでヒラメの寝床とか、カレイの寝床である。
何で、こんなヘンな造りなんだべ・・?
趣味の違いだんべか・・・。
 っと思ったら、ちゃんと理由があった。
税金だった。
家の間口の広さで税金が変わるらしい。
何か、どっかの国でも聞いた事があるような気がする。
間口は狭くして、奥行きと高さで勝負ってか?
どこでも成金はケチなんだべな。