ユートピアのこと27

 弱者は守ってやんなきゃ・・・。
これは成熟した社会の常識みたいなモンである。
法律もどんどん整備される。
そりゃ、悪いことじゃないとは思うんだけどねえ・・・。
 何となく不安もモクモクと・・・。
”な〜んだ、弱者の方がラクじゃんっ!”
”プーでも、いざとなりゃ生活保護があるっ!”
”弱者保護の権利は最大限利用しなきゃソンだべやっ!”
何となくそんなムードが漂う・・・。
 さらにこういうムードを喰いモノにする輩もいる。
ちょっと賢い輩である。
企業であり、ちょっと法律に詳しい個人である。
弁護士なんてのは、後者の最たるモンだべさ。
法の不備を最大限利用できる・・・。
いいんだか、悪いんだかわかんない世の中だべさ・・・。

 5年9ヶ月で8日しか出勤しなかった。
でも、給料はほぼ満額受け取った。
「療養休暇」の市職員である。
脅し取った「診断書」を規則どおり定期的に提出してた。
とりあえずルールどおりなんである。
もちろん、診断書は医者を恫喝して書かせた。
 このオッサンは個人経営者だった。
”休暇中”も市役所に通って、営業活動をしてた。
営業ったって、担当者を恫喝するだけ・・・。
市役所の15の課から2億6千万円の工事を受注してた。
 大したモンだべや。
ユートピア」を知り尽くしたオッサンだべな。
ちょっと法や規則に聡けりゃ、こんな事も出来るって見本だべさ。
 発注した側のコメントも面白い。

「もう市を辞めたと思っていた」
「外部の業者だと思っていた」

”脅されて・・・”っとも言い難いんだべな。
まして間違っても「リベートもらったから」とも言えないべな・・・。

 「タクシーより早いしぃ〜っ!」
「何よりタダじゃんっ!」
ってんで、119番は大人気である。
全国、どこでも救急車は引っ張りダコらしい。
 当然、忙しいから雇用も増える。
救急車の台数も増やさなきゃいかんざき。
救急車メーカーと公務員にとっては嬉しい話だべさ。
ただ、問題はホントの重病人が死んじゃうこと。
ま、そりゃそれで今度はボウズと葬儀屋が喜ぶのかも・・・。
 でも、横浜市は新条例を導入するという。

「あまりにも非常識な119番通報」には過料を取る。

緊急性がない場合は出動も断わるという。
救急車メーカーも、公務員も、ボウズも、葬儀屋も気の毒だけど・・・。
 うまく行くんだべか?
「ヒジョーシキ」ってのがクセモノのような気がする。
そんな”絶滅危惧種”みたいな基準で、判断が出来るんだべか?
3〜5万円の有料化が一番いいと思うんだけど・・・。

 もう75日過ぎたし・・・。
そろそろ又、元の裏ガネつくり体制は整ったべな・・・。
札束を燃やす為の焼却炉も買ったかな・・・?
この岐阜県には、面白い会社があるという。
 社名は「末来工業」
ユニークな「ユートピア経営」で知られる。
こっちは正真正銘の「ユートピア」である。
会社の原点は「未来座」という劇団仲間だそうだ。

「演劇は、演じる側が感動できなければ、お客も喜ばない。
企業も同じ。社員が仕事をしやすい仕組みを整え、幕が開けば社員という役者に任せる。任せなければ役者は育たない」

 全員正社員、残業禁止、育休3年、ノルマなし・・・。
制服廃止、私用電話OK、社員旅行はミステリツアー。
今、流行の「成果主義」の”真逆”らしい。
それでも会社の業績は絶好調だという。
 面白いのは給料。
給料は岐阜県庁と同額にしてるそうだ。
でも、裏ガネは作れないべな・・・。
何てったって残業禁止である。
同じ「ユートピア」でも、こうも違うモンか・・・。