メディアの雑感36

 嫁さんがつい最近、やっとこさ本を読み終わった。
海辺のカフカ」である。
かなりしんどかったという。
久々に「村上春樹」を読んだらしい。
ま、わからないでもない・・・。
 嫁さんのアタマには「ノルウェイ」や「羊」が焼きついてる。
ちょっとギャップがあったかも知んない。
「あのタイトな緊張感は何処へ行っちゃったのよ?」
って事だんべな・・・。
 仕方が無いべな。
もう、世界的な売れっ子作家である。
カネに不自由することもない。
多分、当人はそんな意識は毛頭無いと思う。
でも、やっぱ作品は正直なんだべな・・・。

 チェコに「フランツ・カフカ賞」ってえのがあるそうな。
今年で6回目の受賞だそうだ。
そんなに歴史がある訳じゃあない。
賞金も1万ドル(約118万円)だそうだ。
そんなにびっくりするような額じゃない。
 10月30日にプラハで授賞式が行われたそうな。
今年は何と「村上春樹」が受賞した。
「ハルちゃん」大喜びだったそうな。
まずは授賞式前に記者会見があった。
「ハルちゃん」、生涯で初めての会見だそうだ。
 「ハルちゃん」のマスゴミ嫌いも有名らしい。
絶対に公の場には顔を出さない。
「僕の仕事は書くことで、人前で話す事じゃない」
って英語で言いながら、見事な会見をこなしちゃったらしい。
さすが、タダモンじゃない。

  • 報道

 「ハルちゃん」はカフカ賞だから、チェコに行った。
15歳の時に初めてカフカを読んで大きく影響を受けた。
その思いがプラハまで足を運ばせたという。
そして堂々とした英語の記者会見。
カッコいいじゃんっ!
 日本のマスゴミがこのチャンスを逃すはずがない。
早速、”あのメディア嫌いが”っと喰いついた。
我が家の旭新聞では3回も登場した。
まず、10月31日の朝刊の社会面でモノクロ写真で取り上げた。
そいで、同じ日の夕刊はカラー写真になった。
さらに、11月1日の朝刊は文化面の大半を占拠した。
 関係者は気をもんだらしい。
”ホントに来てくれるんだべか・・・?”
実際、すったもんだモメたらしい。
会場にテレビカメラを入れるかどうか・・・?
日本のメディアを入れるかどうか・・・?
「ハルちゃん」のメディア嫌いはがっつり伝わってたたらしい。

  • 質問

 記者会見でいろんな質問が出た。
「なぜ、主人公の名前がカフカなのか?」

「『海辺のカフカ』では15歳の少年を書きたかった。僕が初めてカフカを読んだのが15の時だったから、主人公にカフカという名前をつけた。

その意味で、この本は”フカフカのオマンジュウ”なんだそうだ。
いや、”「カフカ」へのオマージュ”だった。(^^)
 質問は続く・・・。
「日本の15歳の少年がカフカの背景の欧州文化を理解できたか?」
「なぜ『海辺のカフカ』にアイヒマンを登場させたのか?」
「『ノルウェイの森』にはなぜ自殺する人が沢山出てくるのか?」
「ハルちゃん」、1つ1つ誠実に答えたそうだ。
 毛唐の記者たちは事前情報とギャップを感じてたらしい。
「記者に会うことが好きじゃないそうだけど・・・?」
っと訊かれて「ハルちゃん」答えた。
「もう2度とやらないかも・・・」
笑いが起こった。
「ふつーにバスや地下鉄で歩き回りたいので・・・」
ひょっとしたら、こういう質問するメディアなら嫌いじゃないのかも・・・。

 今年6回目のまだ新しい賞だけど、知名度は高い。
何故か?
フランツ・カフカセンター」のディレクターは言う。
「10人の委員が、質の高い選考をしているからだ」
っだそうだ。
 一昨年の受賞者は「イェリネク」だった。
「何故、『イェリネク』なんだ!」とえりゃあ批判されたとか・・・。
でも、その年のノーベル文学賞を受賞した。
昨年は「ビンター」が受賞者だった。
この「ビンター」も昨年のノーベル文学賞に輝いた。
 日本人記者が訊いたそうだ。
カフカ賞の受賞者はノーベル賞候補とも言われますがどう思われますか?」
「ハルちゃん」はやれやれ・・・って感じで答えたそうな。

ノーベル賞については誰からも何も言われてないし実際、何の賞にも興味ないんです。僕の読者が僕の賞です。カフカを尊敬しているから賞をもらいに来たので、ノーベル賞をねらってなんてことはないですよ」

毛唐は誰もそんな質問しなかったんだべな。
日本での記者会見なんて、絶対あり得ないべな・・・。