住宅事情の雑感26
- 窓
突然、嫁さんから提案が・・・。
「ちょっと、オープンルーム覗いてみない?」
「へ?」
「バスルームに窓のあるマンションが出来たのよ」
「まど・・・?」
「マンションでバスルームに窓があるのって少ないのよ」
「ふ〜ん・・・」
イヤもオウも無い。
行くんである。
場所は我が家からもそう遠くない。
「M風町」という高級住宅地である。
昔の別荘地で、松林に囲まれた閑静なところだった。
JRの駅からは10分っくらいかな・・・。
- カスタマイズ
マンションの名前は「Mオカステーロ」
1フロアに4戸ずつの小ぶりなマンションである。
”全室角部屋っ!”とか謳ってる。
確かにその通りだ。
例に漏れず、昔っからのお屋敷跡を買収して造ったんだべ。
建坪は200坪っくらいしか無いんじゃないかな・・・。
お屋敷街に詰め込んだ雰囲気である。
両隣も集合住宅。
西隣のマンションにはベランダ伝いに行けそう・・・。
火事の時はいいかも・・・。
1年っくらい前からチラシがバンバン入って来た。
”今ならお好きなようにカスタマイズ出来ます。”
そりゃ、それで魅力がある。
広〜い1ルームも可能だった。
でも、あの頃はそれどころじゃなかったべ・・・。
- 営業マン
ピンポ〜ン!
お姉さんがふっ飛んで来た。
「どうぞ、どうぞ!」
我々をエレベーターに乗せて、ご自分は階段を駆け上がる。
何もそこまでせんでも・・・。
温泉旅館じゃあるまいし・・・。
お約束のアンケート記入。
コーヒーも出してくれる。
オープンルームは妙齢の営業マンが案内してくれた。
ウリはオール電化。
キーも「RFID」で、暗証番号も使える。
「チラシをご覧になったんでしょうか?」
「そう、窓のついたバスルームを見に来たんだ」
「は?」
ま、この反応がフツーだんべな・・・。
- 脈
あれこれ訊かれる。
営業マンも懸命に脈を探る。
決して「売りたい根性」は見せない。
希望をいろいろ訊かれる。
「2人だけなんで、1DKか、2DKで十分」
「南向きで、2〜3階でいい」
「値段は2,500万円っくらい・・・」
だんだんこりゃダメだとわかってくる。
ここんちの価格帯は軽く4千万円だという。
北向きの小振りな68㎡タイプでも3千万円台後半。
さすがにどうですか?とも訊かない。
トドメは「現在のお住まいは?」
「賃貸マンションの借り上げ社宅です」
「それじゃ、自己負担は大したことないでしょうね」
「そう、やめられないよね」
「っですよね〜」
「ただ問題は一生居られる訳じゃないってこと・・・」
「確かに・・・」
- キツネとタヌキ
「ところで・・・」
営業マンのおっさんが切り出した。
「実は『Y重咲町』に計画中のマンションがあるんです」
「ほう・・・」
「今のところ、こことほぼ同じ仕様で考えています」
嫁さんが乗り出す。
「じゃ、カスタマイズも可能ってこと?」
「そうですね。早い段階であればご希望に添えると思います」
確かに「Y重咲町」の物件は少ない。
魅力は魅力かも・・・。
「参考に教えて頂きたいんですが、幾らなら即決します?」
「ん〜・・・。3千万円かな・・・」
「駆け引き無しで、3千万円なら即決ですか?」
「うん。多分・・・」
「有難うございます。参考にさせて頂きます」
化かし合いである。
- ミニ・ショック
「ところで・・・」
おっさん、さらに続ける。
「もし買われる時は、借り入れを考えますか?」
「そうですね」
「借り入れは幾らくらいを考えますか?」
アブラっこい話になってきた。
「タイミングにもよるけど・・・」
「そうですね。タイミングにもよりますよね」
「最大2千万円っくらいは必要かも・・・」
「なるほど・・・」
この後のヒトコトは、ちょっとしたショックだった・・・。
「あとはお客様の年齢と、返済年数、返済金額のせめぎ合いになりますね」
そっか・・・。
年齢も影響するんだ・・・。
いつまでも銀行は貸してくれる訳じゃないんだ・・・。
いい勉強になりました・・・、はい。