珍しくもない本の雑感52
- 黙示録
短編集である。
カバーの解説の表現を借りれば、6つの黙示録。
ちょー売れっ子、「村上春樹」である。
「神の子どもたちはみな踊る」
2000年刊行って書いてあった。
比較的新しい作品である。
どうやらテーマは「阪神・淡路大震災」
1995年1月のあの地震である。
著者は、連作「地震のあとで」として書いたらしい。
「その1」から「その6」まで・・・。
それぞれが関連してるようで、してないような・・・。
でも、巧いっ!
面白いっ!
一気に読んでしまった。
- 目次6(^^)
6編の目次。
- UFOが釧路に降りる
- アイロンのある風景
- 神の子どもたちはみな踊る
- タイランド
- かえるくん、東京を救う
- 蜂蜜パイ
どれも底辺には「阪神・淡路大震災」が流れてる。
それにしても、巧いっ!
- 釧路
5日間ものあいだ、妻はテレビの前から離れなかった。
廃墟のような神戸近郊の様子に見入っていた。
5日後の日曜日に妻は姿を消した。
置手紙があった。
突然、「三行半」を突きつけられた。
「問題は、はっきり言えば、あなたの中に私に与えるべきものが何ひとつないことです。
あなたとの生活は、空気のかたまりと一緒に暮らしてるみたいでした」
そして「小村」は釧路に向かった。
頼まれものの小箱を抱えて・・・。
釧路で、不思議な女性「シマオさん」に出会う。
「思うんだけど、今の『小村さん』に必要なのは、気分をさっぱりと切り替えて、もっと素直に人生を楽しむことよ」
これで、気分転換出来れば良かったんだけど・・・。
出来なかった。
ココロのどこかにシコリが残ってた。
「コムラガエリ」か・・・。(^^)
- 焚き火
「三宅さん」は夜中に浜で焚き火をする。
流木を集めた大きな焚き火である。
家出高校生の「順子」はいつも一緒に焚き火を見つめる。
同棲する「啓介」はいやいや付き合って出てくる。
鹿島灘の小さな海辺の町が舞台である。
実は、その昔茨城県にも住んでたことがある。
転勤で水戸市のマンションに引っ越した。
たま〜に、大洗海岸にも行った。
何か、大きな焚き火の情景が眼に浮かぶような気がする。
「順子」は「三宅さん」といろんな話をする。
よく見る夢、自分の生き方、死に方・・・。
「三宅さん」は絵を描いてる。
最近描いた絵は「アイロンのある風景」
部屋の中にアイロンがあるだけの絵だという。
そのアイロンは何かの身代わりとして描かれているそうな。
・・・よくわかんない・・・。
きっと、こう言うんだべな。
「誰もが知っていることを小説に書いて、いったい何の意味がある?」
「三宅さん」には奥さんや子どもがいた。
神戸の東灘区に住んでいた。
でも、その話は触れて欲しくない。
「順子」が言った。
「火を見ているときの人間の目って、わりに正直なんだよ」
続きは又・・・。