珍しくもない本の雑感50

  • デビュー作

 遂に見つけた。
「七生おばさん」のデビュー作である。
ルネサンスの女たち」
ご近所の「Rボン館」で300円だった。
 この店としては決して安くないんだけど・・・。
ま、しょーがない。
売れっ子なんである。
「七生おばさん」と「村上春樹」のコーナーはいつもスカスカ。
”上・下巻”の”上巻”だけ見つけても迂闊に買えない。
下巻はいつ見つかるかわかんない。
ストレスがたまっちゃう。
”新品を買えよっ!”
ま、それも言える・・・。

  • 1973年

 33年前ってこって・・・。
ずいぶん遠い昔である。
「七生おばさん」がこの作品を書いたのがこの年。
1937年生まれだから36歳の時か・・・。
イタリアに渡って、大分マグマが溜まった頃だったんだべ。
 なかなかの力作だと思う。
4人の女性が登場する。

  1. 第1章 イザベッラ・デステ
  2. 第2章 ルクレツィア・ボルジア
  3. 第3章 カテリーナ・スフォルツァ
  4. 第4章 カテリーナ・コルネール

それぞれ家系図つきである。
肖像画やその時代の絵画、地図なんかも挿絵になってる。
如何にも「七生おばさん」らしい。
気合が入ってる。

  • 「サッコ・ディ・ローマ」

 1527年5月にローマは廃墟と化した。
「サッコ・ディ・ローマ(ローマ掠奪)」である。
ドイツ傭兵に掠奪と破壊をほしいままにされた。
イタリア・ルネサンスの終焉を象徴する悲劇だった。
 「イザベッラ・デステ」はこの渦中にあった。
長い間、憧れの地であったローマに・・・。
彼女は、単なる弱小国マントヴァ公爵夫人ではなかった。
ローマ法王や列強王と互角に渡り合った。
女傑だった。
 コロンナ宮殿では、高位聖職者や宮廷人がパニクっていた。
喰いモンを奪い合う姿は地獄だったらしい。
でも、そんな中でも彼女は凛然としていたそうだ。
 「七生おばさん」のお気に入りの1人である。
”夢もなく、怖れもなく”
これが「イザベッラ・デステ」の生涯のモットー。
そして「七生おばさん」のモットーでもあるらしい。
何ごとにも動じない・・・。

 「ゲーテ」の言葉だそうだ。

女を知ることは歴史の真実を知ること。ある時代を良く知ろうと思ったら、その時代の女を良く調べるとよい。

そこで「七生おばさん」が言う。

男を書く時は、女を書かなくても用はすまないこともないが、女を書く時は、男を書かないですませることはできない。

この好例が「ルクレツィア・ボルジア」だそうだ。
彼女について多くの伝記がある。
それは、書き手の興味が彼女にあった訳じゃないという。
えりゃあ、辛らつな言われようだけど・・・。
 彼女自身は歴史的に大した人物じゃなかった。
でも、父と兄は多くの人々の興味をひきつけてやまない。
魅力的な歴史上第一級の男たちだったという。
ま、そーなんだべな。
兄ちゃんについて作品を1つ書いてるくらいだもん。

  • 系図

 「七生おばさん」が用意してくれた系図は重宝した。
何せ、登場人物が多くって混乱しちゃう。
しかも毛唐の名前だから覚え難いし・・・。
結婚なんて、全てが政略結婚だからあっちこっちでつながる。
訳がわかんなくなる。
 「ルクレツィア・ボルジア」の父ちゃんは「ロドリーゴ・ボルジア」
ローマ法王「アレッサンドロ6世」である。
兄ちゃんは「チェーザレ・ボルジア
「七生おばさん」お気に入りの1人である。
 「ルクレツィア・ボルジア」は「アルフォンソ1世」と結婚する。
「アルフォンソ1世」ってのは「イザベッラ・デステ」の弟。
「イザベッラ・デステ」の亭主が「ゴンガーザ・フランチェスコ1世」
マントヴァ公国の公爵である。
この亭主は「ルクレツィア・ボルジア」と不倫する。
でも、「イザベッラ」は軽蔑しながら、シカトする。
動じないのである・・・。
続きは又・・・。