現地ガイドの回想のこと

 観光初日の現地ガイドはお兄ちゃんだった。
お兄ちゃん、元気いっぱいバスに乗り込んだ。
えりゃあ、クチが達者だった。
間髪を入れず、しゃべりまくってた。
 フィンランドの面積は日本の90%。
九州を除いたっくらいの広さだとか・・・。
でも、国土の70%が森林。
10%が湖沼や河川で、湖の数は約19万個だそうだ。
 人口はわずか520万人。
人口密度は日本の20分の1だとか・・・。
確か、他の北欧3国とは民族が違うと聞いた。
他の3国は北方ゲルマン民族
フィンランド人はハンガリーなんかに近いとか。
 言わずと知れた、高生活水準だ。
高度福祉国家で、税金は高いけど豊かな国らしい。
そのためか、現在離婚率は50%を超えたそうだ。
国が全て面倒見てくれるから、こだわりがないってことだべか・・・?

 「フィンランドに来たら、まずフィンランド語を覚えましょうっ」
ガイドの兄ちゃん、えりゃあ張り切ってた。
覚えるコトバは3つでいいという。
”おっ!意見が合うねえ・・・。”
 「”こんにちは”は、”パイヴァー”っです」
「でも、覚え難いんで、”モイモイ”とか”トイトイ”でいいです」
これが英語で言えばカジュアルな「ハ〜イ!」にあたるとか・・・。
確かに覚えやすい。
 「”ありがとう”は、”キートス”ですっ」
「木綿じゃありません。生糸っす」
忘れそうもない・・・。
 「”さようなら”は、”ナケミーン”って言います」
「これは、アタマに”セミ”を思い浮かべます」
「”セミ”!泣け!ミ〜ン!」
 一同、大爆笑だった。
これを、パウチッコした紙芝居で説明してくれた。
他にも新聞記事やら、写真・地図などをいっぱい持ってた。
なかなか・・・。
 ちなみに奥さんのことは”ローバ”って言うそうだ。
奥さんを紹介する時は気をつけた方がいいとか・・・。

 フィンランドは、かつて親日的な国だったという。
歴史的な背景があるらしい。
フィンランドもロシア(ソ連)に接した国である。
バルト諸国なんかと同じ苦労があったらしい。
 何かって言うと、ソ連フィンランドに攻め込んだ。
相当、いじめられてたらしい。
昔はこんな事がザラだったんだべな。
今でこそ、みんな先進国ヅラしてるけど・・・。
 フィンランドにしてみればソ連は怨嗟の的だったんだべ。
そんなフィンランドにもニュースが流れてきた。
極東アジアの小国がソ連バルチック艦隊を撃破した。”
フィンランド人は狂喜乱舞したとか・・・。
 その昔、フィンランドに「トーゴービール」ってのが出来たそうな。
日本に倣って勇気を出そうってんで、これを飲んだとか・・・。
昔、昔の日本人のこってある・・・。
今や、アメリカの占領国に何か感慨を持つべか・・・?

 ここの現地ガイドは日本人のオバハンだった。
温和そうなフツーの主婦って感じである。
前日の「ヘルシンキ」のお兄ちゃんみたいに口は達者じゃない。
でも、誠実そうなオバハンだった。
 やはり、紙芝居を持ってた。
パウチッコである。
懐かしい年代モノの新聞記事あり。
最近のニュースや観光スポット関連の記事あり・・・。
とってもわかりやすかった。
 王室の一族郎党の写真もあった。
「とっても庶民的な王様で、国民に広く慕われてます・・・」
ふう〜ん。
「こないだも、国王自らクルマを運転して、交通違反で捕まりました」
爆笑っ!
この辺りはこのスタイルが定着してるんだべか・・・?

 こっちのガイドさんも言葉を教えてくれた。
スウェーデンノルウェーデンマークは共通だという。
同じ、北方ゲルマン民族系なんだとか・・・。
 「”ありがとう”は『タック』です。『チック』じゃありませんよ」
これも一発で覚えた。
道中、みんなが使える言葉になった。
 スウェーデンの面積は日本の1.2倍。
人口は900万人と、やっぱゆったりしてる・・・。
国土の半分が森林で、農地は10%以下しかない。
しかも冬場はまったく使えない。
でも、メキシコ海流のお陰で寒さはそんなに厳しくない。
札幌なんかとあんまり変わんないらしい。

  • 主要産業

 スウェーデンの主要産業はやっぱ林業・・・。
だけじゃあないそうだ。
鉄鉱石やウラニウムなんかの天然資源も豊富。
水力資源も豊かで水力発電でエネルギー供給の15%を担う。
 更に機械工業が盛んだとか。
輸出の半分以上が金属・機械設備関係らしい。
特に医療機器や自動車が有名。
 スウェーデン車は確かにメジャーだ。
”世界一早いトラクター”と言われる「ボルボ
航空機部品を得意ワザとする「サーブ」
ちょー有名である。
 但し、最近は外国に押され気味らしい。
自動車も外国資本が入ってきた。
今や「ボルボ」は「フォード」の資本が入った。
「サーブ」も「GM」の傘下に入ったとか・・・。

 「オスロ」の現地ガイドは強烈だった。
忘れもしない赤い服の「ジュンコさん」である。 
絶対、みなさんを幸せにした。
笑いの渦に巻き込んでくれたガイドだった。
 ノルウェーの面積は38万平方キロと日本とほぼ同じ。
でも、人口は450万人。
大分、すいてる。
国連の調査で、澄みやすい国の世界ナンバー1だそうだ。
しかも5年連続の1位だとか・・・。
 所得税は20〜45%、消費税は13〜25%である。
ビールが1杯1,000円を超える物価高。
それでも任せて安心の高度福祉国家という事らしい。
ちなみにノルウェーはEUに加盟してないそうだ。
余裕なんだべな・・・。
 ヨーロッパ全体が同じだけど、夏のバカンスは長い。
4週間っくらいが普通らしい。
ノルウェー人の夏のバカンスは別荘暮らしが大半。
確かに山の至るところに小さな別荘がある。
在宅中は国旗を掲揚するそうだ。

  • 主要産業

 やっぱ、ノルウェーも天然資源の宝庫。
林業、漁業は盛んらしい。
でも、手っ取り早くカネになるのは石油とガス。
油田もガス田も未曽有の埋蔵量があるらしい。
ヤなご時世になってきて、北極海の油田も狙われてる。
何かとノルウェーは話題に上る。
 でも、カッコいいんである。
ノルウェーは自然を優先すると宣言してる。
領土内の油田やガス田開発は凍結。
今でも十分採掘してるし・・・。
原油相場は勝手に高騰してるし・・・。
 アブラもいいけど、ここんちはタラやニシンの宝庫でもある。
貴重なトリや動物もいる。
万一、アブラの流出事故でも起きたら取り返しがつかない。
んで、滅多やたらには開発しない。
拍手だよなあ・・・。
やんや、やんや。

 ここんちの現地ガイドはすごかった。
感心すること、しきりだった。
ものすごい情報量だった。
世の中には”地アタマ”のいいヒトっているんだなあ・・・。
 デンマークの面積は4万3千平方キロ、北欧で最小である。
大小500の島からなる国である。
かつてはスウェーデンノルウェーを含む大国だった事もある。
人口は540万人しかいない。
やっぱ、空いてる・・・。
 北欧共通だけど、やっぱ高度福祉国家だ。
物価は高いけど、揺りかごから墓場まで・・・。
ガソリンの値段もなかなかだった。
スタンドで10.60DKR(約230円)って数字が見えた・・・。
多分、1リットルだと思うんだけど・・・?
ビール500ml缶が700円だから不思議じゃない。
 この物価の中で暮らせるんだからすごい。
平均年収は4〜500万円だという。
教育も医療も全部タダ同然。
他に何にも考えなくっていいって事なんだべなあ・・・。

  • 日本人

 今回の現地ガイドはず〜っと日本人だった。
ひょっとして、これが「JТB」の流儀なんだべか・・・?
そりゃ、日本人ガイドは安心である。
説明もちゃんとわかるし、こっちの意思もツーツーだし・・・。
 今まで、こんなツアーは無かった。
得てして毛唐の現地ガイドってのが多い。
これが又、いろいろ大変。
まず、ツアコンの通訳が大変。
よっぽど勉強しとかなくっちゃ、意味不明なことが多い。
 ハンパに日本語を使う現地ガイドも多い。
これが又、始末が悪い。
断片的に知ってる日本語を並べるから、説明になんない。
「キョカイっ!」「ジュジカっ!」「クリストっ!」・・・。
仕舞いに腹が立ってくることもある。