「コペンハーゲン」の夜のこと【8/13】

  • 最後の晩餐

 これが、このツアー最後の食事である。
最後の晩餐は「チボリ公園」のレストランだった。
公園には入れないけど、喧騒が聞こえる。
トイレの窓からは、園内が見える。
すごいロケーションである。
 明日は半日フリータイム。
全員揃って喰う機会はもうない。
「ヒロミさん」が道中のバスの中で言う。
「最後ですからみなさん全員で乾杯して、楽しみましょう!」
”そっか・・・、もう最後の夜かあ・・・。”
 可愛らしいってゆ〜かあ、狭い店だった。
2卓にぎっちり詰め込まれて座った。
我々のテーブルには「吉D夫妻」「M本夫妻」「菊T夫妻」
そして、「アクアビット」の「近Dさん」と「ヒロミさん」だ。

 各自、飲み物をオーダー。
一応、乾杯しようってこって・・・。
ビールも可愛いらしいってゆ〜かあ、小っちぇえっ!
250mlで29DKR(約640円)。
ま、しゃーないか・・・。
 一番、末席に「ヒロミさん」が座った。
順番に飲み物が出てくる。
みなさんのが揃うのを待ってる。
っと、その時「アクアビット」おばはんが騒ぎ出した。
「あなた、何座ってんのよ!」
 最初は周りも”またか”ってんで、気にしてなかった。
ところがおばはん、今日はシツコイ。
「座ってる場合じゃないでしょ!早く飲み物出すように言いなさいよ!」
だんだん空気が凍ってきた・・・。
ツアコンなんだから、それが当たり前じゃないの!」
決定的である。

  • 大人の集団

 「ヒロミさん」立ち上がった。
スタッフと一緒に飲み物配りなんかしてる。
あ〜あ・・・。
 多分、飲み物が揃ったところでヒトコトお礼。
そして全員で乾杯ってシナリオだったんじゃなかんべか・・・?
目論見は見事に打ち砕かれた・・・。
 大人の集団はすぐにそれぞれの会話を盛り上げる。
気まずい空気を払拭しちゃう。
さすがのメンバーである。
テキトウなところで、三々五々カンパ〜イっ!
 最後の晩餐はびみょーな危うさが漂ってた。
結構、言いたい放題。
血液型の話で全員が盛り上がった。
何と、22人中「B型」が8人もいた。
 「これだけ多いのも珍しいよね」
「『近Dさん』は誰も疑わないよね」
「でも、あたしゃ『近Dさん』とは別の『B型』だわよ」
「一緒にしないで欲しいわよねえ・・・」

  • メニュー

 そんな晩餐で、何喰ったかよく覚えてない。
最初に豪華「スモークサーモンサラダ」が出て来た。
野菜サラダに大振りなサーモンが3枚っくらいで〜んと・・・。
これがあんまりしょっぱくなくって良かった。
なのに、ヘンな甘いドレッシングが邪魔してた。
惜しい・・・。
 メインは「ポークグリル」
つけ合わせは「ボイルドポテト」と「ポテトの甘露煮もどき」
それに「プラムの煮物」だった。
「ポーク」と「プラム」のコンビネーションは予想外にイケる。
なかなか美味かった。
 デザートは「ライスプディングのパフェ仕立て」
中にアーモンドが入っていたヒトは当たりだという。
お向かいの「吉Dさん」が見事、お土産をゲットした。
 どーでもいいけど、お世辞にも美味くない。
米の感触と生クリームが完全にミスマッチ。
アーモンド探しの為にやっと喰ったって感じである。
ま、トータルでは、☆2つかな・・・。

 時刻は21:00。
「このままホテルに戻る方はバスに乗って下さい」
「ヒロミさん」の呼びかけに応えたのは「藤I夫妻」だけだった。
後は、テキトウに遊びに行った。
 さすがの我が家も帰らなかった。
「ちょっと駅の切符売り場を下見に行ってみようか・・・」
薄暗い駅だけど、なかなか貫禄がある。
窓口が並んでいるブースを発見。
必死で字を読もうとするんだけど、さっぱりわかんない。
 「LOTTをお買い上げですか?」
後ろから声がして、びっくりして振り向いた。
「K玉夫妻」と「K林夫妻」と「鈴Kさん」が立っていた。
「僕もさっき、切符売り場と間違ったんですよ・・・」
んで、みなさんをその切符売り場を案内するところだという。
これ幸いってんで、ついて行った。

 「K玉先生」は数日前からこれを研究してた。
確かにガイドブックには載ってた。
電車・バス・60っくらいの博物館・美術館が無料で利用出来る。
24時間券が199DKR(約4,380円)である。
バスの中で盛んに計算してた。
 「『チボリ公園』が75DKRで、「ロスキレ大聖堂」が40DKRで・・・」
どう考えても、得だと言う。
確かに・・・。
ハイテンションで動き回れば絶対に得だ。
 こんなのは”ノリ”だからなあ・・・。
”かったりい”モードに入ったら完全にアウトである。
カードを丸ごとムダにする可能性もある。
我が家は止めといた方が無難だべな・・・って思ってた。

  • 「K玉先生ツアー」

 いつの間にかツアーが組まれたという。
朝8:00集合で「K玉先生」引率。
「ロスキレ」〜「コペンハーゲン市内」ツアーだとか・・・。
「よろしかったら、ご一緒にどうですか?」
 寝てた子が起こされてしまった。
嫁さんも、それでいいという。
「よっしゃ、乗ったっ!」
眠っていた遊びの”ノリ”に火が着いてしまった。
 早速、「コペンハーゲン(CPH)カード」を購入。
窓口は空いてて、「K林夫妻」「鈴Kさん」も続いて購入。
タイミングが良かった。
いつの間にか、混んできて後ろは長蛇の列。
わずか数分の差である。
これは、何かいい方に転がる気がする・・・。

 早速、「CPHカード」を見せる。
「この紋所が目に入らぬかあ〜」っみたいな・・・。
小雨がパラパラしてるのが気になる。
 公園の中に更にメンバーがいた。
「菊T夫妻」と「土Y母娘」と「山Gさん」「近Dさん」・・・。
そうそうたる面々である。
「菊T夫妻」と「土Y母娘」は昨晩に続いて2度目らしい。
75DKR(約1,650円)だからなあ・・・。
大変なモンである。
 「菊T夫妻」が園内を案内してくれた。
何て、いいヒト達なんだしょ!
何とも華やかなムードである。
「ショウ」あり、「バンド演奏」あり、アトラクションあり・・・。
これは公園じゃないなあ・・・。
遊園地とかテーマパークって類いである。

  • 夜遊び

 園内に入るとすぐに野外ステージがあった。
ちょうど「ダンス・ショウ」が始まるところだった。
「ソーシャル・ダンス」から「ヒップ・ホップ」まで多彩である。
審査員のおっさん、おばはんまで飛び入りで踊る。
ガイコクっぽ〜いっ。
 更に奥に向かって歩いてみる。
何か、乗り物に乗ってみようかって事になった。
切符の自販機らしきものを発見。
幾ら読んでも意味不明である。
 ”こりゃ、訊いた方が早いな・・・。”
ってんで訊きに行ったところが「チケットブース」だった。
チケットは1枚が15DKR(約330円)。
乗り物によって、チケット枚数が違うってな仕組みである。

  • 「The Camel Train」

 「更年期なんだから、あんまり激しいのはやめようぜ」
めっきり弱気である。
「The Camel Train」ってのを発見。
ミニコースターみたいなモンである。
 「これがいい!」
「K玉夫妻」と一緒に乗った。
ミニとは言え、コースターっぽいいごき方である。
上下左右にぶりんぶりん振られる。
あ〜、何十年ぶりだんべ・・・?
 「ぎゃあああああ〜っ!」
「ひょええええ〜っ!」
「K玉さん」の奥さまの叫び声である。
乗り物よりもそっちの方が面白い。
 係員のおばはんが見えた。
おばはんも腹を抱えて笑ってる。
あまりに可笑しかったのか、おばはんトレインを止めない。
何と8周も回ってた。
いやあ〜、3倍楽しめたぜ。

  • 本降り

 雨脚が強くなって来た。
とりあえず、一旦解散にした。
明日の荷造りもしなきゃなんない。
ま、常識的にはそーだべな・・・。
 ところが、夜遊びはまだこれからだべさ。
ってんで、「菊T夫妻」と「K玉夫妻」が残った。
「菊T夫妻」は2回目なのに最後まで付き合ってくれちゃう。
いいヒトたちである。
同類項の遊び好きなのかな・・・。
 さすがに雨なのでヒトが少ない。
昨晩とはぜんぜん違うという。
昨日はヒトを掻き分けて歩いたそうだ。
いいような、悪いような・・・。
 「あ、ぜんぜん並んでないっ!」
「The Star Flyer」ってな乗り物である。
「菊Tさん」の奥さんが昨日はかなり並んでから乗ったそうだ。
「これ、すんごくキレイだよ。乗ろうよ、乗ろうよ・・・」

  • 「The Star Flyer」

 何でも、最新兵器らしい。
今年出来たばっかしで、ガイドブックにも載ってない。
チケットも4枚必要だった。
ってえ事は、60DKR(約1,320円)じゃん。
いっちょ前である。
 せっかくだし・・・。
ま、乗ってみるか・・・。
「菊Tさん」のご主人以外の5人が乗ることになった。
ご主人が荷物番しててくれるという。
ブランコに座ってシートベルトを着ける。
 係員がチェックに来た。
ウェストポーチは外された。
ポケットの小銭入れもダメだという。
ファスナー付きポケット以外はモノを入れちゃいかんとか・・・。
そんなに厳重なモンなんだべか・・・?

 ま、言ってみりゃ空中ブランコである。
その恐いの、恐くないのって・・・。
す〜って空中に上がった途端、下半身のチカラが抜けた。
そのまま、ぶいんぶいんと回り始める。
 遠心力で身体が斜めに振られる。
「ひょえええええ〜っ!」
「ぎゃああああ〜っ!」
「降ろしてえええええ〜っ!」
「K玉さん」の奥さまの叫び声が響きわたる。
でも、今度は笑ってるゆとりはない。
 腰にチカラが入らない。
ブランコの鎖をチカラいっぱい握りしめる。
コペンハーゲン市内」の光が吹っ飛んでく。
目が回りそうである。
雨つぶが顔にバチバチ当たる。
とっても夜景を眺めるなんて風情じゃないべやっ!
 後でパンフレットを見たら塔の高さは80mだそうだ。
「world's tallest・・・」とか書いてある。
”ノリ”以外じゃ絶対に乗れなかったべな・・・。
「K玉先生」のお陰ですっかり火が着いちゃった。