「ソグネフィヨルド・クルーズ」のこと【8/11】

  • 朝メシ

 「山小屋」の朝メシは質素だった。
料理の種類は決して多くない。
でも、ちょうど良かった。
毎朝、喰い過ぎだったから休憩出来る。
 軽めのオープンサンドとコーヒーで十分・・・。
っと思ったら、野菜が無かった。
残念っ!
ハム・チーズサンドに変更。
 そもそも、普段はそんなに喰ってない。
朝はホットミルクとフルーツだけ・・・。
塩分はゼロである。
どうしてこれで、血圧が上がるんだべか?

  • 国際親善

 「K玉夫妻」がロビーで国際親善してた。
カナダから来たという家族と四方山話に花を咲かせてた。
何でもお婆ちゃんは日本人だとか。
数十年前に北海道から嫁に行ったそうな・・・。
ふえ〜っ!
 それにしても「K玉さん」の国際親善はハンパじゃない。
筋金入りである。
街を歩いてても、パッと声をかける。
ちょっと足が滑ったヒトがいる。
すかさず「アーユ オーライッ?」
 すごいなあ〜っと思う。
語学力もさる事ながら、そのアクティヴさがすごい。
ご主人は小学校の先生、奥さまは幼稚園の先生だそうだ。
まったく物おじしない。
お仕事柄かな?

  • フェリー

 今日の出航は8:30。
8:10集合、8:15出発と几帳面なスケジュールで・・・。
港まで歩ってくと、又一番乗りだった。
例によって又、一番良さっぽい場所を探す。
今回はみんな、船首のデッキに陣取った。
 そこに又、毛唐の団体が押し寄せてきた。
又、イスをガンガン持ってきて我々の後ろに陣取った。
スキあらば・・・って殺気を感じる。
でも、出航してすぐに船首の大変さがわかった。
冷たい風をびゅんびゅん切る。
タイタニック」状態である。
 それでも我慢した。
せっかく一番眺めのいい席を確保したんだ。
寒くても、雄大な「フィヨルド」の景色を堪能してやる・・・。

 昨日と同じである。
どうも、天気が芳しくない。
雨こそ降らないけど、抜けるような曇天である。
ひかりがない。
水の色が重たい。
 そもそも景色もちょっと違う。
昨日の「ガイランゲルフィヨルド」は雄大な景色だった。
切り立った断崖絶壁が大迫力だった。
それに較べると、ここんちは柔らかな印象だ。
山々は丸みを帯びてる。
何となく、芦ノ湖の遊覧船かと思っちゃう。
ちょっと拍子抜けした景色である。
 ましてひかりがない。
これが3時間も続くんである。
写真撮る気も起こらなかった・・・。
「何だか、寒い思いしている意味もないね・・・」
「キャビンに入ろうか?」

  • 周波数

 我々の横に「K林夫妻」がいた。
何だか、気がつくとこのご夫婦がソバにいる。
確か「ガイランゲルフィヨルド」の時もご近所にいた。
周波数が近いんだべか?
 ご夫妻もなかなか大変だった。
初日にロスト・バゲジに遭って、注目の的になっちゃった。
みなさんから声がかかる。
ようやく自分たちのペースになって来た様子である。
 「ガイランゲル」で、ちょっとした出来事があった。
我がメンバーがデッキにズラ〜っと陣取ってた。
どっかの毛唐のおじさんが「K林さん」の後ろからカメラを構えた。
「K林さん」のアタマ越しに写真を撮ってる。
 「K林さん」が立ち上がった。
イスをずらして前に出て撮ったらいい、と招いた。
毛唐のおじさんは喜んで手すりにもたれて写真を撮る。
そして、そのまま居座った。
「K林さん」はおじさんのケツしか見えない・・・。
 嫁さんと話した。
「軒先を貸して、母屋を取られるたあ、こーゆーこった」
「でも、いいヒトだあね・・・」
「確かに・・・」

  • 笑い

 突然、後ろに詰めてる毛唐たちが笑い出した。
それもハンパな笑い方じゃない。
泣いてる。
もう、腹を抱えて死にそうなくらい笑う。
”抱腹絶倒”ってこういうんだべな・・・。
 その笑い声を聞いてるだけで可笑しい。
何が何だかわかんないけど、一緒に笑ってしまった。
その内、デッキの全員が大笑いしてる。
笑いって感染するんだ・・・。
 ま、笑うことはいいことだ。
そもそも今回のツアーはホンットによく笑う。
バスの中でも、食事の時でも・・・。
いつも、誰かが何か飛ばしてくれる。
役者が揃ってんだべな。

  • ネタ

 後でネタを聞いて納得。
毛唐たちはスペイン人だった。
陽気なんである。
やっぱ、昨晩ホテルの庭で盛り上がってた連中だった。
大笑いの原因は「M本さん」の奥さまだった。
 奥さまは小柄である。
デッキで風を除けて、デブのスペイン人女性の後ろに座ってた。
その内、女性が席を移動した。
奥さま、すかさず一緒にその女性の後ろに移動。
それを見ていた仲間が大爆笑。
 デブ女性が更に移動する。
奥さまは必死に風除けにくっ付いて移動する。
コバンザメ状態である。
これでもう笑いが止まらなくなった。
 そこで1人の男性が立ち上がった。
「ヘイ、俺はマネージャーだ。風除けの利用料を払え!」
もう「火に油」状態。
この場面はちょっと見えた。
「M本さん」の奥さまのポカンとした顔が見えた。
やるじゃんっ!

  • キャビン

 笑いをシオにキャビンに退却。
早速、暖まることにした。
「Hansa」の缶ビールを買いに行った。
500mlで59NKR(約1,240円)だと!
一瞬たじろいだ。
 でも、まだ2時間以上もヒマである。
「キヨブタ」で買った。
お姉ちゃんが、コップに入れるか?っと訊く。
そいじゃあってんで注いでもらった。
自分で注いじゃあいけない。
プラコップでも注いでもらうと、1,240円に見えて来る・・・。
来ないか・・・。
 一応、景色が見える席に陣取って乾杯っ!
昨日買った360円のポテチをつまみに飲む。
「っかあ〜っ!ちっくしょ〜っ!」
って言いたいんだけど・・・。
もったいなくって、そんなに一気に飲めない・・・。
小市民なんである・・・。

  • 四方山話

 だんだん、ヒトが増えてきた。
そりゃ、そーだべ。
キャビンから見てても景色に変化はない。
あんな芦ノ湖みたいな眺めで、風切って3時間は辛い。
何より、太陽が出てないのは致命的。
 何となく、我がテーブルの近辺に寄り合いが・・・。
女性が集まりゃ、やるこたあ1つ。
四方山話大会である。
世界各地の旅行ネタ、子どものガッコのこと、趣味のこと・・・。
ネタは尽きない。
 その内、ペットの話になった。
風向きがおかしくなってきたぜ・・・。
おもむろにカメラを持って席を立った。
「ちょっと、デッキに出て写真撮って来るから・・・」

  • 自虐癖

 しばらくデッキをウロウロした。
写真を撮ってみたけど、やっぱ「ムンク状態」
”っかしいなあ〜。”
まだ、2年も使ってないのに・・・。
 仕方無いのでキャビンに戻った。
まだやってた。
どうやら「ペットを亡くした話大会」らしい。
決して明るい話じゃない。
嫁さんなんか、グズグズしてる。
 何もここまで来てそんな・・・と思うんだけど・・・。
一旦、終わったかと思うと又誰かがつなぐ。
「可哀相だったねえ・・・」
何度も、何度もトドメを刺す。
エンドレスである。
自虐癖があるんだべか?
どうも、女性の神経はわからん!

  • 「Gudvangen(グドバンゲン)」

 目的地が近づいた。
フィヨルド」の沿岸に牧場や家々が増えてきた。
これが水面に映る景色はなかなかである。
「景色がキレイになってきたよ・・・」
 「私の撮った写真もこういう風景だったんですっ!」
「ヒロミさん」はツアコンやる前に北欧に来た事があったそうな。
写真が好きでバシバシ撮りまくったらしい。
それを旅行社に投稿したら、パンフレットに採用されたとか・・・。
とっても嬉しかったってな話である。
 確かにいい景色である。
これなら芦ノ湖と間違われるこたあない。
何とか1〜2枚、写真に収める事が出来た。
 「グドバンゲン」からバスで「フロム」に移動。
道中は長〜〜〜いトンネルだった。
トンネルを抜けると、そこは「フロム」
昼メシである。