「ラルダール」の夜のこと【8/10】

  • 晩メシ

 「山小屋」ではやっぱブッフェだべさ。
これは想像に難くない。
そして、その通り「コルボール」が待っていた。
でも「山小屋」らしく、規模は小ぢんまりしてた。
 同席者は、今日も「菊T夫妻」と「M本夫妻」だった。
何となく、類はトモを呼んじゃうらしい・・・。
相変わらず「M本さん」のご主人は甲斐甲斐しい。
せっせと料理を運んでくる。
いい旦那さんだよなあ・・・。
 営業系のお仕事だべか?
実に座持ちが良くって、会話が弾む。
話題も豊富で、世界中のウンチクを蓄えてる。
感服しました・・・。

  • 淫行

 「菊Tさん」のご主人は「ド団塊世代
奥さまは32年生まれだそうだ。
我々と同じ「ポスト団塊世代」である。
ほぼ、ひと回り違う。
もう今さら関係ないけど、結婚当時は淫行に近いべや・・・。
 面白いご夫婦である。
まったく財布を分けてるそうだ。
だから奥さまはしょっちゅう友達と旅に出る。
今回はご主人が払うからという事で、一緒に来たという。
 奥さまはいつも我々とビールを煽る。
旦那さんはアルコールは飲まない。
美味いと思わないとか・・・。
奥さまは飲んで盛り上がっちゃう。
旦那さんは手持ち無沙汰で、そんな奥さまを眺めてる。
ま、可愛くてしょうがないって感じかな・・・。

  • 香水

 芳香剤騒動でちょっと疲れた。
やっぱ、ビールでしょ!!
ここも「Hansa」のドラフトだった。
几帳面な目盛り付きグラスで出て来た。
400mlで50NKR(約1,050円)ってこって・・・。
やっぱ、高っけえよなあ〜。
 「うわあ〜っ、このグラス、ダメ!」
今度は嫁さんが大騒ぎ。
サーブされたグラスに香水の臭いがついちゃってるという。
「ど〜れ?」
確かに香水の臭いにビールが負ける。
周りの方々が「替えてもらった方がいいよ」っと言い出す。
 あべっ!
これ以上、トラブルが重なるとアウトだんべ。
もう「ヒロミさん」はキャパいっぱい。
騒ぎを起こしちゃいかんざき・・・。
 「ま、交換しちゃるで・・・」
捨てるのもあまりにもったいない。
結局、テーブルにあったワイングラスに移して飲んだ。
1,050円もしなきゃ、どうってこたあ無いんだけど・・・。

  • 塩梅

 「M本さん」のご主人はスープが好物なんだそうだ。
今日も4人分のスープを運んでくれた。
「キノコクリームスープ」だった。
「うん、ちょっとしょっぱいけどなかなか美味いよっ」
「済みません。有難うございます・・・」
 ん?
「え〜っ?何、この塩加減?」
嫁さんと「M本さん」の奥さんが同時に声を上げた。
「どれどれ・・・」
確かに・・・。
これは何かの間違いだべ!
って思うっくらい、しょっぱかった。
申し訳なかったけど、ご主人以外は丸残しでフィニッシュ!
 ヤな予感が・・・。
果たして料理は全部しょっぱかった。
「魚のフリット」「ハンバーグ」「オムレツ」「ステーキ」・・・。
暖かい系は全滅だった。
救いは「ボイルドポテト」が無塩だったこと。
ま、これさえあれば何とか生きて行ける・・・。
 デザートは「3種のムース」と「フルーツ缶詰」と「コーヒー」
缶詰のフルーツはどこでも喰えるしなあ・・・。
コーヒーは意外に美味しかったけど・・・。
「山小屋」の喰いモンに贅沢言っちゃあいけないけど・・・。
ま、☆は1つだよなあ・・・。

  • 前庭

 ホテルのロケーションは最高。
芝生の庭の先は「フィヨルド」である。
湖に面した庭って雰囲気なんだけど・・・。
どうしても、これが海だって感覚が馴染まない。
 食事を終えて、みなさん散策モード。
時刻は21:00である。
まだ、しっかり陽が射してるし・・・。
夜って気がしない。
フィヨルド」沿いにイス・テーブルもある。
三々五々、たむろってる。
 女性陣が集まってしまった。
四方山話の井戸端会議パターンである。
何だか知らない間に「ストレッチ教室」が始まった。
あれこれ指導してるのは嫁さんである。
 毛唐の団体が物珍しげに見てる。
きっと中国の太極拳の亜流か何かだと思うべな。
誰かが言った。
「教えてもらって、指導料払わなきゃいけないわよね」
すかさず「K玉さん」のご主人が飛ばす。
「そりゃ、絶対『5クローネ』だよねっ」
大爆笑が「フィヨルド」に響き渡った・・・。

  • 続編

 我々は「ラルダール」旧市街に散策に出掛けた。
でも、何人か残党がいた。
更に「ストレッチ教室」の続編があったらしい。
食事を終えた毛唐の団体も庭に出て来たそうな。
どうも一緒に盛り上がってたらしい。
 更にイベントがあったそうな。
水着を着た元気な女性が泳ぐと言い出したとか。
氷河の溶けた水である。
勇敢というか、無謀というか・・・。
これが又、大変な盛り上がりだったらしい。
「行け!行け〜っ!」みたいな・・・。
 結局、女性はちょっとだけ水に入ったらしい。
でも、すぐに逃げ帰ったそうだ。
当ったり前だんべな。
この騒ぎで、メンバーの何人かは毛唐と顔見知りになった・・・。
立派な国際親善である。

  • マリーナ

 旧市街まで歩って10分ほど・・・。
フィヨルド」沿いに散策した。
マリーナがあって、カラフルなロッジが並ぶ。
家族連れがバカンスに集まってる。
 ヨットやモーターボートが並ぶ。
如何にも北欧って感じの木造船もある。
ちゃんと木目を活かして造ったみたいな・・・。
なかなか渋い・・・。
写真に収めたい景色ばっかりである。
 っところが、デジカメがおかしい・・・。
何か、ご機嫌斜めである。
時々、モニターが「ムンク状態」になる。
強い光の部分が溶けたみたいになっちゃう。
マリーナと「フィヨルド」に沈む夕陽を撮りたかったのに・・・。
あとは嫁さんのケータイ頼みだべさ。

  • 旧市街

 キレイな街並みだった。
まるで、観光用に保存してあるみたいな・・・。
でも、家々に灯りが燈り始めてる。
子どもがチャリンコで家に帰って来たりしてる。
生活してるんだ・・・。
 「フィヨルド」に家並みが映った景色は最高だった。
カラフルなマッチ箱みたいな家が並ぶ。
こんなキレイなところがあっていいのか!
しばらく見とれてしまった・・・。
 街中を歩っていたら、又「吉D夫妻」と会った。
何だか山のような荷物を抱えてる。
街のスーパーに行って来たという。
気に入った衣料品が見つかったらしい。
アクティヴなご夫婦である。

 部屋の水道はあんまり冷たくなかった。
フィヨルド」の真ん前のホテルなんだけど・・・。
天気が良くって給水設備が暖まっちゃったんだべ。
これじゃビールは冷やせない。
 さっき、晩メシを喰ったレストランに出向いた。
もうガラス戸が締められてた。
お姉ちゃんたちが明日の朝食の準備をしてる。
覗き込んでたら、お姉ちゃんが飛んできた。
笑顔でガラス戸を開けてくれた。
何て、優しいお姉ちゃんだしょっ!
 久々の定番フレーズ登場である。
「クダイ ハヴァ ペールオブ アイス?」
お姉ちゃん、首を傾げる。
「アイスキューブ プリーズ!」
「オ アイスキューブ イエス!OK!」
お姉ちゃん、にっこりしながら中に入っていった。
 ほどなく、サラダボールにどっさり氷を持って来てくれた。
お姉ちゃんには、めいっぱいお礼を言った。
お姉ちゃん、にっこりしながら言う。
「ボールだけは返してね・・・」

  • 飲み直し

 氷は有難てえ!
持参したビールで飲み直し出来る。
和風のつまみもいっぱいある。
鮭とば」「焼きアゴ」が一番人気である。
「柿ピー」や「ナッツ類」にはなかなか食指がいごかない。
 ジモティの「Hansa」にも慣れてきた。
でも、500ml缶で、500円だもんなあ・・・。
もったいなくってガブガブ飲めない。
ぜいたく品だよなあ・・・。
 北欧の「山小屋」に蚊取り線香の香りが漂う・・・。
窓の外は真っ暗。
ローカルなテレビ放送が、何か騒いでる。
これでプロ野球のナイターでもやってりゃ完璧なんだけど・・・。
明日は「ソグネフィヨルド・クルーズ」だ。