珍しくもない本の雑感48

 本を選ぶ動機はいつも単純。
誰かのオススメか、ちょっと趣味の琴線に触れた・・・。
だいたいそんなとこである。
 今回のは両方だった。
たまたま「Wタミ」の「渡部美樹社長」が推奨してる記事を読んだ。
毎朝、眼を通してから仕事にかかるとか・・・。
あの社長が絶賛するって事は・・・。
ってんで、何となく惹かれてしまった。
 中国のパッケージツアーで「泰山・曲阜」ってのがあった。
世界遺産である。
孔子」由来の地を訪れる。
しかも4日間ってのが魅力だ。
土日に絡めて行けない日程じゃない。
秋口にでも行ってみたいな。
行くなら、ちょっと関連本っくらい読んどこうかなっと・・・。
ってなこって・・・。

 本来ならまるで似合わない。
フツーだったら、まず手にする機会は無いべ・・・。
我ながら縁遠いと思う。
でも、読んでしまった。
タイトルは「朝の論語」である。
安岡正篤・述」となってる。
”著”じゃない。
”述”なのである。
 つまり、これは「論語」の講義録だった。
冒頭に昭和37年の「全国師友協会」というところの「序」がついてる。
同士の講座「暁の鐘」という寄り合いがあったらしい。
そこで、「安岡会長」が19回にわたって「論語」を解説したそうだ。
その記録みたいなモンである。
 んで、わかり易かった。
古風な言い回しは多いけど、なかなか面白い。
しかも、単なる精神論じゃ無かった。
極めて科学的だった。
洋の東西を問わずって、こういう事をいうんだべなあ・・・。

  • 目次

 19回の講演内容である。

    1. 朝こそすべて  孔子とその生涯(1)
    2. 孔子とその生涯(2)  飲食
    3. 日常生活
    4. 義と利
    5. 富と貴
    6. 素朴と文化
    7. 言と行
    8. 器と道
    9. 恒・狂・直
    10. 人と我
    11. 正と政
    12. 無道と有道
    13. 食と兵と信
    14. 行政と民衆
    15. 孔子の人と道(1)
    16. 孔子の人と道(2)
    17. 憂世と避世
    18. 君子
    19. 山水  論語について

 それぞれ「論語」からピックアップして解説してくれてる。
チョー有名なのもあれば、初耳の語もあった。
大雑把な感想としては、「孔子」ってヒトのイメージが変わった。
極めてニンゲン臭かったんだ・・・ってな印象である。
論語」も原書を読む必要はなかんべ。
っであれば、そんなに肩の凝るモンじゃないって事がわかった。

朝に道を聞く、夕に死する可なり

有名な語である。

There is only the morning in all things.
(朝こそ全て)

イギリスの諺だそうである。

何よりも すがすがしきは 朝起きて 朝日に向ふ 心なりけり

明治の歌人「植松有経」ってヒトの作だとか・・・。
 ”朝ほど爽やかで活き活きした時はない。”
これを否定するヒトはあんまりいないべ。
でも、しみじみと感じ入るヒトも少ないかも・・・。
安岡会長も若い頃には軽く感受したそうな・・・。
歳を重ねるに連れ、折に触れて身に染むようになったとか。
確かに・・・。

  • 4聖

 第1講と2講で「孔子」の生立ちが書かれている。
山東省曲阜に近い田舎に生まれたそうだ。
それで、例のパッケージツアーが組まれてるんだべな。
 兄が1人、姉が9人いたそうだ。
幼くして、父母ともに死に別れ、えりゃあ苦労したそうな。
貧しかったが故に多能、と自ら語っていたという。
 「史記」に「老子」との会見の記述があるそうだ。
若き「孔子」は「老子」に言われたそうな。

「驕気と多欲と態色と淫志とを去れ」

ちゃんと解説があった。

  1. 驕気・・・オレがオレが!っという気分
  2. 多欲・・・野心的であること
  3. 態色・・・今日でいうゼスチャーのこと
  4. 淫志・・・何でも思った事を是が非でもやってのける意欲

孔子」も最初から枯れてた訳じゃなかった。
結構、ヤンチャだったらしい・・・。
 聖人「孔子」も、政治ではほとんど成すところがなかったそうだ。
熱烈な理想を抱いてはいた。
大器の一端を示した事もあったらしい。
でも、時勢も、人物も、地位も恵まれなかったそうだ。
又、「孔子」を知り、用いるだけの英傑にも出会えなかった。
 それが故に、「孔子」は聖者たる地位を得た。
一国、一時代を生きた一政治家に位するヒトじゃなかった。
故に、”世界の4聖”といわれてきたそうだ。
あとの3聖は誰か?
「釈迦」「ソクラテス」「キリスト」だそうだ。
続きは又・・・。