マレーシアの市民生活のこと

  • 住宅事情

 スルーガイドからいろいろ説明を聞いた。
やっぱ、生活に根付いた話は興味深い。
住宅に関する話も面白かった。
多分、彼らは自負を持ってる。
 「マレーシアでは、スラム街はほとんど無いです」
あってもホントにわずか・・・。
ホンの少数の「不法入国者」っくらいだという。
住宅行政が行き届いていると胸を張ってた。
 もちろんピンキリだ。
郊外にローコスト住宅ってえのがバンバン造られてる。
要するに公営住宅である。
これが80㎡で150万円だそうだ。
安っ!
 中流階級は、少しレベルが上がるらしい。
やっぱ、郊外に中級マンションがどんどん出来てる。
都会のベッドタウンになってるらしい。
こっちは、120㎡で5百万円っくらいだとか・・・。
やっぱ、マレーシアも住宅ローンが盛んだと言う。
頭金を2割ほど払って、後は6%程度の銀行ローンだそうだ。
高っ!

  • 富裕層

 どこの国でも金持ちはいる。
富裕層は市内のど真ん中のマンションに住む。
ツインタワーを眺めながら暮らすとか・・・。
120㎡規模で4千万円っくらいだという。
 郊外の大邸宅も人気があるらしい。
「カジャム・カントリーホーム」とかいうのを見かけた。
”KL(クアラルンプール)のビバリーヒルズ”と言われるそうだ。
確かにバカみたいにでかい家だった。
ゴルフ場に家が建ってるみたいなモンである・・・。
 マレーシアでは住み込みのメイドを置く。
中流階級でも一般的だという。
メイドはインドネシアからの出稼ぎが多いらしい。
相場は住み込みで、月に1万5千円だと言う。
リタイア後に移住して、悠々自適の日本人の話を良く聞く。
何となくわかる気がした・・・。

  • クルマ

 家の次はクルマである。
シンガポールと違って土地は幾らでもある。
クルマを持つ権利が売買されるようなこたあない。
クルマも爆発的に増えてるらしい。
全部輸入車だけど、モータリゼーションは盛り上がってる。
 マレーシアには車検なんかない。
30年モノのクルマも検査無しで走ってる。
そういう意味では成熟してないらしい。
官僚が硬直化してないから、天下りに奔走しなくってもいい。
駐車違反取締りも甘そうである。
 たまにエンコして止まってるクルマを見かけた。
でも、どうってことないらしい。
スルーガイド曰く。
「命に別状ないから・・・」

  • 中華風

 マレーシアと中国の関連は深い。
マレーシアに来た中国人はみんなかなり財を成した。
一番手っ取り早いのが屋台の経営だという。
屋台料理はまず、絶対に潰れない。
マレー人は自分ちでメシを作って喰う習慣がない。
これはタイでも同じ事を言ってた。
 そこでちょっと工夫して美味い料理を作る。
味が勝負だという。
一発当てて、常連がついたら勝ち。
これでもう道は開けたようなモンらしい。
 中国人はすべて前払い。
領収書は絶対に出さない。
従って税金も絶対に払わない。
これで儲けるんだそうだ。
中国人の屋台経営者はみんなベンツやBMWに乗ってるとか・・・。
如何にも憎々しげな言い方が印象的だった。
 そう言えば、思い当る。
昼メシの時に、ビールを頼んだ。
暫くすると、ビールと一緒に手が出て来た。
もちろんレシートなんか出なかった・・・。
う〜〜ん、これかあ・・・。

  • 「HALAL」

 国民の半分がイズラム教徒。
国教である・・・。
いろいろ大変だべな・・・っと思う。
残り半分はイズラム教と関係ないんである。
 多宗教国家の悩みは深いと思う。
ブタが喰えないとか、牛を敬うとか・・・。
よっぽどバランスを取らなきゃなんない。
その昔、「Aの素」が大騒ぎになった事があった。
そういう事が十分にあり得る・・・。
不毛なこってある。
 さすが、イズラム教国だと思った。
ちゃんと喰いモンには表示する義務があるらしい。

  1. 「HALAL」・・・イズラム教徒が喰ってもOKよ〜。
  2. 「NON HALAL」・・・イズラム教徒の事は考えてないよ〜。

こう言うルールになっているらしい。

  • 教育事情

 マレーシアは落ち着いてる。
アジアの中でも成熟した国に見える。
世界中、どこでも成熟した社会は人口が減る。
ほとんど例外なくそうらしい。
 ところが、マレーシアは人口が増えてる。
都会は別としても、一世帯当りの子どもの数は5.7人だという。
「え〜〜〜っ!」
思わず、ひっくり返った。
国への信頼の現われだんべか・・・?
 教育制度も進んでいる。
ガッコは6・3・2・2・4年生だそうだ。
小学校6年、中学校3年は日本とおんなじ。
学費は無料で、地方では子どもが多いので2部制だそうだ。
 次がロースクール2年、予備学校2年となる。
そして最大の難関は大学の4年だという。
ここまでたどり着くのは10%っくらい。
入るのも、卒業するのも大変らしい。
その代わり、卒業すれば将来が約束される。
エリートの道をまっしぐら・・・。

  • 軍備強化

 3年前から徴兵制が始まったそうだ。
それまでは志願制だった。
方針変更された。
毎年、10万人が徴兵されるとか・・・。
 今までは経済成長を目指して来た。
それが、何故か富国強兵に向かって進み出した・・・。
今や軍事予算は15%だとか・・・。
世界の環境変化を読んでのことかも知れない。
最後に頼れるには自分だけだ・・・。
 同時に警察組織も強化してるという。
海上警察、特殊警察などいろんな組織があるらしい。
しかも、権限がどんどん強くなってるそうだ。
軍と警察組織の強化はあんまりイメージが良くない。
こっそりとやってるらしい。
 経済の次は、軍事力・・・。
有りがちな路線ではある・・・。
次は核を持つって言い出すんじゃないかな・・・。

  • 治安

 観光の途中で刑務所を見かけた。
スルーガイドが説明してくれた。
「とても小さい刑務所ね。でもこれで十分足りるね」
勾留される罪人が少ないんだそうだ。
 確かに治安が悪くない。
悪人が少ないって言えるのかも知れない。
でも、それ以上にこの社会の特徴が活きてるんだべ・・・。
加えて、昨今の警察の権限強化が響いてるらしい。
 こんな近代的な国でも、やっぱイズラムの法律がある。
泥棒とか、麻薬取引とか罪は重い。
片っ端から吊るされるそうだ。
又、泥棒なんかは警察に見つかるとバンバン撃たれる。
悪人がどんどん殺されるので、刑務所は小さくていい・・・。
なるへ・・・。
 それもいいかも・・・。
最近の日本を見てると、これもありかなっと思う。
”三つ子の魂”である。
”スズメ百まで”でもある。
日本も刑務所を縮小するだけで、犯罪が減るかも・・・。

 以前からよく聞いてた。
「マハティール前首相」の持論だった。
”日本に追いつき、追い越せ!”
「ルック・イースト政策」っとか言ってた。
当時はさほど気にならんかった。
でも、現物を眼にして、改めてそのすごさを実感出来た。
 アメリカには迎合しなかった。
あくまで独自ペースの成長路線を貫いた。
ま、宗教的な問題もあるべ。
でも、アメリカに向けて言いたい事をズバズバ言ってた。
羨ましく思ったモンだ。
結果的に、「アジア通貨危機」でもダメージは小さかった。
見事な手腕と言うしかないべ・・・。

  • 拡張

 経済成長の象徴を見た。
高速道路の中央分離帯である。
元々、高速道路は立派だ。
道路沿いには「ヤシ」「ゴム」「チーク」などが植えられてる。
そして中央分離帯は豊かな「グリーベルト」になってた。
そこには「ハイビスカス」「ブーゲンビリア」なんかが植えられてる。
「シャワーフラワー」や「紅竹」なんかもあった。
如何にもムードのある景色だった。
 近年、クルマの増加が著しいらしい。
経済成長に伴って、個人所有のクルマがめちゃ増えだそうだ。
平日はまだしも、土日は大渋滞になるらしい。
そこで政府がいごいた。
高速道路の拡張工事が始まったそうだ。
 片側2車線を3車線にする。
その為に、グリーンベルトを潰してた・・・。
せっかく植えた「ハイビスカス」や「紅竹」が伐採されてた。
象徴的だべさ・・・。
ケーザイと欲は、拡張を始めたら止まる事が出来ない。

  • アジアの欧州

 社会インフラの整備はすごい。
道路はその最たるモンかも・・・。
近い将来、「ジャワ島(インドネシア)」まで橋を架けるそうだ。
「マレー新幹線」構想も浮上してると聞いた。
成長路線まっしぐら・・・。
 でも、不思議とここのヒトビトは落ち着いてる。
何だかガツガツしてない。
ヘンにテンパーなところもない。
どっちかと言えばおっとりして、ヒトに優しい。
同じ、アジア人としてちょっとショックを受けた。
ある面、成熟した雰囲気を感じる。
アジアの中にヨーロッパがあるみたいな・・・。
 物価も安い。
治安もいい。
社会保障も充実してる。
住宅・教育・医療行政もハイレベル。
かつての見本だった「イースト」も見習った方がいいかも・・・。
マレーシア、恐るべし・・・。