シティ・リゾッチャのこと

  • 最終日

 このツアーも今日が最終日。
ホテルは12:00でチェックアウト。
でも、帰りのフライトは22:50の「JL-724便」である。
ホテルへのお迎えが19:20。
ほぼ、丸々1日使える。
さて、どうすっか・・・?
 昨日の「マラッカ」の帰りに作戦を練った。
ガイドブック片手にアタマをひねった。
テーマは沢山ある。
どうしたら、時間を一番有効に使えるか・・・?
せっかくだからプールでのんびり過ごす時間も欲しい。
地元のスーパーマーケットものぞいてみたい。
どうせ汗だくになるから、出発直前にシャワーも浴びたい。
 他にもテーマがある。
荷物は極力減らしておきたい。
土産も多少は買わなきゃなんない。
昼メシと晩メシは、どっかで喰わなきゃなんない。
成田から仕事に直行出来るカッコしなきゃなんない。
1人で帰宅する嫁さんに、重い荷物は預けらんない・・・。
考えてると、夜も寝られなくなっちゃう・・・。

  • 散策

 基本的に街歩きは好きだ。
地図を頼りに、知らない街を歩くのは楽しい。
それも公共の乗り物を使う方が面白い。
国によって、切符の買い方や改札なんかもぜんぜん違う。
いろんな発見もある。
 んなんだけどお〜っ。
今回はやめた。
こんな短いツアーであくせくしてもしょうがない。
日がな1日、プールで過ごすことにした。
これぞ、最高の贅沢だべさ。
 一応、幾つか散策プランは作った。
地下鉄を乗り継いで「そごう」のスーパーマーケットに行く。
モノレールを使って一番の繁華街「ブキッ・ビンタン」に行く。
タクシーで最新のショッピングモール「ミッドバレー」に行く。
ここには「ジャスコ」と「カルフール」が入ってるとか・・・。
 嫁さんの反応は芳しくなかった。
「何だか、せわしないわねえ・・・」
このヒトコトで決まりである。
「トリマカシ〜!」である。
(マレー語で有難う)

  • リゾッチャ

 そうと決まれば、話は簡単である。
作戦を練り直す。
ベースはホテルのプールでリゾッチャである。
午前中にやらなきゃいけない事は2つ。
1つは荷物を減らして、パッキングして預ける。
2つめは12:00にチェックアウトする。
 1つめは持って来たモンを消化すりゃいい。
「ビール」と「ミネラルウォーター」と「カップ麺」を片付ける。
昼メシで喰っちゃえばいいんだべさ。
これで随分スーツケースのスペースが空く。
11:50までに喰い終われば、2つ目も完了する。
 あとはプールでうだうだ・・・。
夕方、出発前にシャワーを浴びる。
どっかホテル内のレストランで晩メシ。
これならエアコンが効いてて汗かく事もない。
何とか機中泊にも耐えられるべ・・・。
完璧である。

  • 弁当

 でも、昼メシが「カップ麺」だけじゃ寂しい・・・。
「よっしゃ、おにぎりだ!」
ってんで、朝メシの時に「白いご飯」を調達。
何ってったって、天下の「ヒルトン」である。
ブッフェにちゃあ〜んと和食コーナーがある。
「味噌汁」も、「漬物」も、「味付け海苔」だってある。
 問題はテイクアウト。
やっぱ、「ご飯」のテイクアウトちょっとは恥ずかしい。
人目は避けたい・・・。
何せ、ここんちはうるさいっくらいにスタッフが多い。
なかなか至難のワザだった。
 嫁さんが「おにぎり」を4つ作った。
張り切ってテイクアウトしたので、結構な量があった。
昼メシで2つは喰える。
2つはプールサイドの弁当にする。
しかも「漬物」付きだ。
完璧である。

  • トレーニングⅠ

 朝メシを喰うとソク、プールへ・・・。
よっぽど、普段の行いがいいと見える。
今日は、昨日の「マラッカ」並みの晴天である。
南国の日差しが降り注いでる。
やっぱ、リゾッチャはこうでなくっちゃ!
 プールには誰もいなかった。
プールの水はびっくりするくらいキレイ。
多分、今までに見たプールの中で間違いなく一番キレイだった。
ビーチタオルが置かれたベッドがキチンと並んでいる。
一番乗りである。
 「せっかくヒトがいないんだから、トレーニングしたら・・・?」
嫁さんがコーチをかって出る。
課題のクロールのトレーニングである。
自慢じゃないけど、珍しい体質と言われる。
脱力すると水底に沈む・・・。
いごいてないと浮かないらしい。
手取り、足取り、ハードトレーニングが続く・・・。

  • 休憩

 11:00ちょっと前に一旦休憩。
部屋に戻って最後の片付けである。
さっとシャワーを浴びて,早速乾杯である。
暑いのと、ハードトレーニングで、十分ノドが乾いた。
「焼きアゴ」なんぞかじりながらビールを煽る。
 その間に「カップ麺」用にお湯を沸かす。
さすが「ヒルトン」は部屋に湯沸しポットもある。
至れり尽くせりのホテルである。
運動した所為か、そこそこ腹も減ってきた。
「ラーメン&おにぎり定食」である。
 たまたま持って来たのが「麺職人」の醤油味だった。
ニンゲン、何が幸いするかわかんない。
「麺職人」には「焼き海苔」が付いてるんである。
こいつを「おにぎり」に流用。
立派な「パリパリ海苔」だった。
大満足である・・・。

  • シティ・リゾッチャ

 チェックアウトすると、ちょうど12:00。
ベルボーイにスーツケースを預けて、再びプールへ・・・。
今度は手荷物が多い。
着替えやら、シャンプーやら、つまみやら、弁当・・・。
 プールサイドの一角を占領する。
って言っても、あんまりヒトは見えない。
ホンの数えるほどしかいない。
日焼け止めを塗って、ベッドに横になる。
持って来た本を開く・・・。
あ〜、最高の贅沢だあ〜。
 思えば、こんな贅沢は何年ぶりだべ・・・?
確か、最後のリゾッチャは「ハワイ島」だったような気がする。
もう7〜8年前じゃないべか・・・?
ここんとこ、ず〜っと観光旅行だった。
 都会の真ん中の、駅前の高級ホテルでリゾッチャ!
ビルの8階のプールである。
波の音の代わりに、かすかにクルマの騒音が聞こえる。
潮の香りの代わりに、かすかに排気ガスの臭いが・・・。
ま、悪くない・・・。

  • トレーニングⅡ

 すんごい日差しである。
しばらく横になってると、肌がチリチリしてくる。
身体が熱を持って来て耐えられない。
しょっちゅうプールに冷却に行く。
 「そろそろ、午後の部を始めようかね・・・」
鬼コーチの出番である。
何とか息をする方法を教わろうとしてんだけど・・・。
上手くいかんざき。
嫁さん曰く、「首が堅い!」
そんな事言われてもねえ・・・、借金も多いし・・・。
 でも、確かに泳ぐのは気持ちがいい。
こんなキレイなプールで、こんな天気で・・・。
我流の「ビラ泳ぎ」でも気持ちがいい。
これで、ちゃんと泳げたらもっと気持ちいかんべ。
キレイなフォームで颯爽と泳げたら、さぞ気持ちいかんべ。
 ナニゴトもちゃんと習わなきゃダメだべさ。
それはテニスでも痛感してる。
”習うより慣れろ”ってのはウソ。
”習ってから慣れろ”が正しいって気がする。
ま、何とか死ぬまでにはマスターしたいモンである・・・。

  • オヤツ

 トレーニングの成果は・・・。
あったかどうかわかんないけど、ノドは乾いた。
「一服しようかね・・・」
プールバーの兄ちゃんを呼ぶ。
ビールを頼む。
 兄ちゃん、曰く。
「ラージ オア スモール?」
「ララージジ!!」
ハモってどーする・・・。
 兄ちゃんが続ける。
「何か、喰いモンは?」
「要らない」
持ってるとは言えなかったけど・・・。
 ラージはホントにラージだった。
多分、1リットルの大ジョッキだべさ。
樹脂製のジョッキで何か仕掛けがしてある。
しばらくジョッキが冷たいままだった。
まあ、至れり尽くせりで・・・。
 つまみは豊富にある。
この場面では「カリカリ梅」が喰いたくなった。
そして仕上げは「おにぎり弁当」だ。
何でもあるのである。
請求書を見ると、RM66.7(約2千円)だった。
安かあないけど、ま、納得かな・・・。

  • おしぼり

 又、しばらく横になって本を読んだ。
至福のときである。
本を読むことだけに集中出来る。
眠くなったら寝ちゃえばいい。
ゆったりと時間が流れる・・・。
 プールバーの兄ちゃんがやって来た。
おしぼりを持ってる。
”ん?間違いじゃないの?何も頼んでないよ。”
っとか思った。
ところが、プールサイドの客全員に配ってた。
まあ、何て気が利くんだしょ!
 おしぼりはミントが染み込ませてあった。
よく冷えていて気持ちがいい。
日焼けで火照った顔にあてると最高である。
さすがは「ヒルトン」
至れり尽せりってなあ、こーゆーんっだべな・・・。

  • 身支度

 至福のときはいつまでも続かない。
やがて夕方近くなって、そろそろ身支度しなきゃいかんざき。
嫁さんと交代でシャワールームへ・・・。
今夜は機中泊。
ちょいと小ギレイにしとかないと・・・。
部屋から持って来たシャンプーやバスジェルがある。
 さっぱりしてから着替える。
スラックスとカッターシャツに変身。
何か、現実に引き戻された気分になる・・・。
あ〜あ、リゾッチャも終わッチャ!
帰りたくねえなあ〜。
久々に名残惜しい気持ちになった。

  • 晩メシ

 どっちかって言うと、メシよりビール。
身体中が火照ってる。
ノドが、カラカラ浴場である。
でも、メシも喰わないといかんざき。
 ロビーの奥に「ヌードルハウス」ってえのを発見。
まだ時間が早くて貸切状態だった。
何はともあれ、まずはビールだ。
「トゥ・ラージ・ビア・プリーズ!」
 たまらん。
「っかあ〜っ!ちっくしょ〜っ!!!」
乾いた身体に「タイガー・ドラフト」が染み渡る・・・。
スタッフの兄ちゃんがニコニコしながら見てる。
嬉しそうである。
よっぽど、美味そうに飲んでたんだべな。

  • メニュー

 ここんちは面白い趣向だった。
メニューはすべて選択方式。
スープ、麺、トッピングの具をそれぞれ全部選ぶ。
但し、メニューは全部英語だった。
しかも老眼が2人揃って、字がよく見えない。
 「何だかわかんねえなあ・・・」
「『Japanese Soop』って、多分『和風鰹ダシ』っとかだべなあ・・・」
「きっと『Chicken Soop』が正解だと思うよ」
「『Udon』とか『Soba』とかもあるよ」
「『Egg Noodle』か、『Ramen Noodle』か、どっちだべ・・・?」
「『Seaweed』って何?」
「多分、海苔だべ・・・。『Sprout』はモヤシかな・・・?」
 悪銭苦闘の末、何とかオーダー。
イメージは「モヤシ入りさっぱり醤油ラーメン」である。
果たして、ほぼイメージ通りだった。
マレーシアで喰うラーメンにしちゃあ上等である。
お代は全部で、RMxxx(約4千円)。
決して安かあない。
でも、許せちゃう。
ホテルの満足度が高いから、しょうがない・・・。

  • 荷造り

 ピックアップの前に荷物を片付けなきゃ・・・。
ベルボーイんところに行って、半券を渡した。
えりゃあ、恰幅のいいおじさんがスーツケースを出してくれた。
上から下までビシッと制服で固めてる。
”責任者か何かかなあ・・・?”
 「サンキュ〜っ!」
気持ちだけ、チップを手渡そうとした。
「オ〜っ!ノ、ノ、ノ、ノ、ノ、ノ、ノ!」
すげえ勢いで後ずさりして断わられた。
こっちがびっくりした。
差し出した右手ははどうすりゃいいのさ・・・?
 ロビーの片隅で再荷造り。
濡れた水着やらビーサンやらをスーツケースに詰め込む。
明日の朝は、書類カバン1つ持って出社だ。
あ〜あ、いよいよ「ヒルトン」とお別れかあ・・・。
 19:20、迎えのクルマが到着。
いやあ〜、いいホテルだったなあ・・・。
何とも心残りだべさ・・・。
久し振りに後ろ髪を引かれる思いだった。

  • 「クアラルンプール空港」

 往復で数えると、足を踏み入れるのは6度目。
空港内は庭みたいなモン・・・でもないか・・・。
出発まで2時間以上もある。
ウィンドウ・ショッピングでも・・・。
 嫁さんがちょっとだけ買い物したいという。
「Duty Free Shop」とかに入る。
いつもながらここは雰囲気が違う。
店員の女のコが群がってくる。
店の前に出て、客引きしてるコもいる。
ノリが屋台の市場とおんなじなのかな・・・?
 嫁さんは、化粧品を漁ってたみたいだけど買わずに出て来た。
「全然、安くないわ」
「じゃ、他の店でものぞいてみるか・・・?」
「もういい。NETで買った方が安いし・・・」
そう言えば、最近は免税店で買い物ってしなくなった。
タバコを止めてから、トンと縁が無くなっちゃった。
ま、欲しいモンもないし・・・。

  • 寝床

 搭乗ゲート内を見渡す。
どう見ても満席にはならないべ・・・。
何とか安眠の為に空いてる席を確保したい・・・。
寝床探しである。
 みんな考えてる事は同じだった。
とりあえず自分の席に座って様子を見る。
もう、誰も乗ってこないとわかると一気に移動する。
 中央の3人席はあっという間に奪われた。
ビジネスマンっぽいのは慣れたモンである。
実にいごきがすばしっこかった。
何とか窓際2人席を2列確保。
ま、何とかこれで寝るっきゃない・・・。
 22:50、ほぼ定刻にテイクオフ。
ソク、爆睡体制に入る。
頑張っても4時間も寝られないんだけど・・・。
嫁さんは映画の続きを観る、っとか頑張ってたみたい。
昼間の日焼けと水泳の疲れで、すぐ眠くなった。
ま、お疲れさんでした・・・。