「定山渓」合宿パートⅡのこと(2)

  • 挨拶

 JAL1019便の席は「28C」だった。
順番を考えて、最後の方で搭乗する。
「28A・B」には親子連れと思しき女性が座っていた。
真中「B」はばーちゃん、窓側「A」は娘らしきおばはんだった。
 「こんにちは!」
ばーちゃんがいきなり挨拶してくれた。
「あ、どうも、こんにちは・・・」
「どうぞ、よろしくお願いします」
「いや、こちらこそ、よろしくお願いします・・・」
何だか、調子が狂っちゃう。
 でも、挨拶してくれて悪い気はしない。
”やっぱ、年配の日本人は丁寧だなあ・・・。”
なあ〜んて思った。
ホントは世間話でもしてりゃいいんだろうけど・・・。
当方は熱発後の身体である。
今夜に備えて寝とかないと・・・。

  • 突っ張り

 何だか、寝られない。
何度も左腕を突っつかれて起こされちゃう。
見ると、ばーちゃんが弁当喰ってる。
何故か、両肘を突っ張ってる。
肩から肘にかけて「高見盛」状態でメシ喰ってる。
この肘がゴツゴツ当る・・・。
 何だべ?
よく見ると、肘掛の上から上着の裾まではみ出してる。
「狭所恐怖症」か・・・?
空間を侵されないように必死なんだべか?
そんなに肘突っ張ってたら、疲れっちゃうべや・・・。
もっと、ゆったりしたらいいのに・・・。
不思議なモンでばーちゃんのやる事に腹も立たない。
通路側に身体を寄せて寝直しにかかった。

  • あびせ倒し

 うとうと・・・。
っと思ったら、いきなり異様な重みが・・・。
”うわっ!”
ばーちゃんがモモの上を乗り越えようとしてる。
「ちょっと、待って下さい!今、立ちますから・・・」
あ〜、びっくりした・・・。
結局、寝れんかった。
 「新千歳空港」到着。
席を立つと、ばーちゃんが又挨拶してくれた。
「有難うございました。いろいろご迷惑をお掛けしました・・・」
「いえ、こちらこそどうも有難うございました・・・」
つい、条件反射で言っちゃった。
何が”こちらこそ”なんだか・・・?
ま、いっか・・・。

  • 「ハングル」

 久々の「新千歳空港
いつの間にか、あっちゃこっちゃに「ハングル」が増えた。
韓国からの旅行客が増えたんだべなあ・・・。
北海道の宿命か・・・?
どうしても観光に立脚せざるを得ないべなあ・・・。
 札幌で仕事をしてた頃、いろんな声があった。
観光なんて”水モノ”じゃん。
北海道が目指す道は国際都市だ!
国際的な大学や国際機関を誘致すべきだ。
欧米人が日本で一番好きなのは北海道の気候だ。
恵まれた環境をもっと有効利用すべきだ・・・。
こんな声である。
 でも、それは一部ハイソサエティのヒトビト・・・。
一般の道産子は違う意見だった。
「なんも、なんも・・・」
「なんも、このまんまでいいっしょ・・・」
「ガイコクジンが増えたら、あずましくな〜い」
ジモティは極めてドメスティックなんである。

  • みどり

 「地下鉄真駒内駅」行きのバスに乗った。
1時間ほどの直行便である。
懐かしい景色が続く。
道路の両側はほとんど”みどり”一色である。
 見るからにしっとりした草原。
「タラッペ」や「ラワンブキ」がニョキニョキと生えてる。
”みどり”の中に鮮やかな「タンペペ」や「ケシ」が眼に飛び込んでくる。
思わずお坊ちゃまが駆け回る姿が浮かんで来ちゃう・・・。
いきなり「お坊ちゃまモード」にはまっちゃった。
・・・・・・・・。
何故か、この”みどり”が違うんだよなあ〜。
 ってゆ〜かあ、光が違う。
北海道の光は内地とぜんぜん違うんだよなあ・・・。
この光を浴びた草木は特別な輝きがある。
何か、神々しい・・・。
この光を浴びて、美味しい水と空気とビールを存分に味わって・・・。
少し、元気出さなきゃ・・・。
続きは又・・・。