「でえと」のこと

  • 月命日

 お坊ちゃまの2回目の月命日である。
静かに供養してあげなきゃ・・・。
でも、今日は騒がしい日である。
日本中がテレビにかじりついて日本チームを応援する。
今回のW杯予選リーグのすべてが決まる、みたいな試合である。
手に汗握りながら供養じゃ。
 ところで、昨日は想定外の展開に・・・。
蕎麦屋を出ると、嫁さんから新たな提案があった。
「どうせだから、鎌倉の方までドライブに行ってみない?」
出た!
本格的な「でえと」になってきた。
”めっちゃ渋滞してんじゃないべか?”
でも、行った事が無いから行ってみたい気もする・・・。
民首党じゃないけど特に”代案”もない。
 「よしゃ、行くべ・・・」
ってなこって、アテなしドライブ。
”ほう、ここら辺が「鵠沼」か・・・。”
「七里ガ浜」とか「由比ヶ浜」とか聞いた事ある名前が続く。
「FM横浜」でしょっちゅう聞く名前である。
 ま、オシャレである。
何だか浮世離れした景色が続く・・・。
サーフィンの店なんかが並んでる。
”歩ってるヒトまで浮世離れしてるよなあ・・・。”
結構な年配のヒトでもチョンマゲしたり、茶髪だったり・・・。
これがかの有名な湘南の景色かあ・・・。
イマイチ、ケツの座りが悪い・・・。

  • ネズミ

 海にはサーファーがうじゃうじゃ・・・。
どうせ濡れるんだから、雨なんか関係ない。
そりゃそーだ。
ホンットに好きなんだべなあ・・・。
 景色はモノトーン。
どうも、華やかさに欠ける。
海はすっかり鉛色だし・・・。
たまたま川が流れ込んでるのが見えちゃった。
川ったって、幅5mっくらいのドブ川の親分みたいな・・・。
 ”そっか、街の下水が流れ込んでる海なんだ・・・。”
浄化されてない新鮮な下水の流れ込む鉛色の海・・・。
急にサーファーがドブネズミの群れに見えてきた。
怒られそう・・・。

  • 鎌倉

 国道134号線を左に折れた。
鎌倉駅方面に向かう。
鳥居なんぞ、見えて来て鎌倉っぽいムードである。
観光客がワサワサ歩いてるのが見える。
み〜んな、「ハトサブレー」の袋を提げてる。
 何となく、先に進んでく。
別にアテがある訳じゃないんだけど・・・。
「どっか駐車場に入れて、散歩してみる?」
「そうだねえ・・・」
 「鶴岡八幡宮」に向かってクルマは数珠つなぎである。
傘さして散歩もいいけど、雨はうざいと言えばうざい・・・。
渋滞で進まないから、クルマから十分に街の様子が見られる。
ま、これでもいっか・・・。
ノタノタと八幡宮前をUターン。
「もう少し先まで行ってみようかね・・・」

  • 逗子

 鎌倉から逗子、葉山と聞きなれた名前が出て来る。
なあるへ・・・。
この辺が、かの有名な・・・。
確かに何とも独特の雰囲気がある。
西岸良平」のマンガに出て来そうな景色である。
鎌倉物語」なんて作品が登場するのもわかる気がする。
 おどろおどろしい切り通しあり。
めっちゃ、オシャレな店の並ぶ通りもあり。
昔ながらのドでかいお屋敷あり。
そして、ごくフツーの生活臭にあふれた住宅街あり。
この混在ぶりが面白かった。
 かの有名な「なぎさ橋」交差点を見つけた。
”ここかあ〜。”
コマーシャルにまでなった渋滞の名所・・・。
ちょっと感激である。
さすがに雨とあって、今日は渋滞もなくすんなり流れた。

  • 三崎

 ここまで来たらモノのついでだ。
三崎・城ヶ島って看板を追って進んだ。
三浦半島に突入したってこった。
 景色が一変した。
立派な田舎じゃないっすか?
畑が広がって、今どき珍しい「無人売店」なんかもあった。
でも、何かなごむなあ・・・。
どうも田舎の方が性に合ってるかも・・・。
 三崎漁港に到着。
幸い、雨はあがってた。
立派な観光客用のホールがあった。
中に海産物の売店が並んでる。
やっぱ、三崎と言えばマグロだしょっ!
そうなんだけど・・・。
昼メシで【鉄火丼】喰っちゃったし・・・。
並んでるマグロの切り身を見ても食指が湧かないよなあ・・・。

  • お散歩

 どっかの夫婦がワンコ連れてお散歩してた。
「フレンチブル」と「ノーマルブル」だべか・・・。
背格好はお坊ちゃまにそっくり・・・。
毛が長いか、短いかの違いみたいな・・・。
きっと珍しい景色なんだべな。
キョロキョロしてぜんぜん落ち着きがない。
 お坊ちゃまもそうだったなあ・・・。
初めて行く場所は、落ち着かなくってぜんぜんダメだった。
新鮮な景色と臭いでパニくる。
マーキングしなきゃいかんざきってんでオシッコしまくり・・・。
・・・・・・・・。
今日の「でえと」に足りなかったモンがわかっちゃった・・・。