珍しくもない本の雑感47

  • 「思想家」

 っていう商売があるらしい。
何か、面白い商売である。
モノを考える事が商売になるんだ・・・。
それって何も考えないヒトが多いからって事かな・・・?
 「中沢新一
1950年生まれ。
あんまりトシは違わない・・・。
「思想家・人類学者」だそうだ。
以前、「仏教が好き!」って本で初めて知った。
なかなか面白い考え方するヒトやなあ・・・って感じだった。
 この本もいかにもこのヒトらしい。
随分いろんな勉強になった。(?)
何せ、切り口が面白い。
どうしたらこう言う発想が生まれんだべ?

  • 遺跡

 プロロローグは著者の旅行の思い出から始まる。
1人でチュニジアに旅行に行ったらしい。
旅行会社のカウンターでイタリア人女性と出会った。
ローマで精神科医をしてるという。
中学生くらいの登校拒否児のコブつきだった。
 彼女から割り勘でタクシーをチャーターしようと誘われた。
悪くない。
早速、出掛けた。
でも、女性が運転手とケンカを始めた。
「ローマ時代の遺跡ばっかりじゃない。私はもっと別なものが見たいの!」
「でも、これはチュニジア観光の定番お墨付きの遺跡ばかりですぜ」
「ローマじゃあねえ、家の裏をちょっと掘れば、こんな遺跡がごろごろ出てくるのよ!」
 著者は思わずうろたえてしまったらしい。
「東京じゃ、裏庭を掘れば、5千年以上前の縄文時代の遺跡が出てくるんだ」
運転手は大笑い。
精神科医はあきれたそうだ。
「じゃ、東京は新石器時代の遺跡の上に建てられたって言うの?」
著者は笑ってごまかしたらしい。
でも、この本の発想は、それソノモノである。

  • ママチャリ

 著者はトキオの探査に出かける。
心の裏庭の5千年前の縄文遺跡を発掘しに・・・。
発端は吉祥寺までの神田川沿いの散歩。
長い散歩の途中で「塚山公園」っとかいうのを見つけた。
復元された5千年前の住居と親子の食事風景・・・。
 著者はソク、ママチャリを買った。
あっちこっちに縄文遺跡の気配を感じたそうだ。
東京中のチャリンコ散歩が始まった。
この散歩を「アースダイバー式」と名付けたそうな・・・。
「アースダイバー」
これが、この本のタイトルである。
やっぱ、このヒト独特だわ・・・。

  • 「洪積層」

 このヒト、探査に出かける時は地図を持ってく。
市販の地図じゃあない。
お手製のオリジナルモノだそうだ。
友人にコンピュータで書いてもらったという。
こいつが面白い。
 地質学の研究もずいぶん進んでる。
「縄文海進期」と呼ばれる時代の地形もわかってるそうだ。
今のトキオの半分は海の中だったらしい。
皇居から東側はほぼ海と言ってもいい。
西側もフィヨルドみたいに入り組んだ海岸線になってる。
 当時の陸地は「洪積層」という堅い土で出来てたそうだ。
これが複雑な半島みたいになってた。
その後、入り江に土砂がたまって「沖積層」になる。
中央区や足立区は全部この地層の上って事になる。
現在のトキオの出来上がりである。

 次に、この地図にマッピング
縄文時代から弥生時代の集落の跡を記す。
古くからの神社の位置を加える。
更に古墳と寺院のある場所も重ねてゆく。
なかなか面白そうだべや。
 トキオはガンガン都市開発が進んだ。
世界に名だたる近代都市になった。
でも、都市開発も神社仏閣には手出しがし難い。
ちゃんとした神社や寺はずっと変わらない。
開発とか進歩なんかから侵食されない。
著者は「無の場所」と言ってた。
 都市空間の中にこの「無の場所」が散在してる。
そして、その場所はきまって「洪積層」の突端だという。
当時のヒトビトは岬や半島の突端に強い霊性を感じてたらしい。
なあるへ・・・。
続きはまた・・・。