和食屋の雑感Ⅹ

  • 誕生日

 6月はなかなか忙しい。
沼津のば〜ばの誕生日が2日。
三島のじ〜じの誕生日が5日。
んで、第3日曜日が「父の日」って決まってる。
さすがに個別対応はちとホネである。
 それと、昭和ヒトケタは枯れてる。
「何か欲しいモン、ある・・・?」
「なあ〜んにも要らない・・・」
毎年、これである。
何にも欲しく無いヒトへのプレゼントを探すのは難行苦行。
しかも、なまじヘンなモン買うとゴミが増える・・・。

  • 提案

 んで、会食の提案をした。
沼津・三島一緒でイベントを合体させる。
滅多に行かない「懐石料理」でも・・・。
乗ってきた。
 けど、問題は場所である。
情報を探ってみた。
でも、普段住んでない街のことはよくわかんない。
結局、昔の記憶を頼りに予約を入れた。
三島の料亭「松韻」である。

http://www16.ocn.ne.jp/~syouin/seseragitei.html

 HPもあった。
便利な世の中になったモンである。
ここは「佐野美術館」ってえのに併設されてる。
美術館と共有する立派な庭が自慢。
 昔、嫁さんと美術館に来て見つけた。
キレイな庭を見ながら食事なんて、なかなか情緒がある。
ってんで、メシを喰ってみた。
その時、この世のモンとは思えない「茶碗蒸」を喰った。
”「茶碗蒸」ってこんな味だったんだ!”
目が醒めた瞬間だった気がする。
まだ、舌が痩せてた頃だったからなあ・・・。

  • 椅子席

 電話の話もちゃんとしてた。
いつの間にか、発展して3つの建物になってた。
「松韻」と「隆泉苑」と、「せせらぎ停」
多分、「せせらぎ停」が一番後から出来たんだべ。
わずか3室の離れである。
 「『せせらぎ亭』でしたら、ご用意出来ますが・・・」
「掘り炬燵式がいいんだけど・・・」
「完全な椅子席になってしまうんですが・・・」
和洋折衷なのかな・・・っと思いつつもOKする。
何せ、みんな揃って膝が痛いの、ヘチマの・・・である。
座敷では30分ももたない。
 行って見て感心した。
20畳っくらいの広〜いタタミの部屋だった。
そこに、ちょっと低めの椅子席がセットしてある。
5人で使うんじゃ申し訳無いような広さだった。
但し、庭の景色はちょっとちっちぇえ・・・。

  • ビール

 落ち着いた会食である。
子どもには縁がない。
従業員もちゃんとしてる。
和紙で作られた献立には”○○様”っと客の名前が入ってる。
”2006年6月4日 せせらぎ亭 梅花藻の間にて”
一同、感激・・・。
端々まで濃やかな気遣いが感じられる。
 ま、まずはビールである。
「プレミアム・モルツ」だった。
今日はテニスで汗を流してきた。
「お誕生日おめでとう!乾杯!」
「っかあ〜っ!ちっくしょ〜っ!」
「んめえ〜っ!」
ドライバーのじ〜じだけは「ウーロン茶」である。
主賓なんだけどね・・・。

  • 献立

 まず【先付】は鰻茄子流し
ウナギとナスがミルフィユ状態になってる。
その上にイワタケをトッピングしてあんかけ仕立て。
んめえ〜っ!
一口喰って、ちょっとびっくり。
値段から考えても、ここまで美味しいとは思わなかった。
 【お造り】は金目鯛、シマアジ、マグロ赤身・・・。
これも美味かった。
特にシマアジが甘くて香り高くて絶品だった。
上品だし、仕事の丁寧さが伝わってくる。
我が家の近所の「N々菜」を思い出した。
いつもながらツマまでキレ〜イに喰っちゃった。
 【お椀】も絶品だった。
ハモ焼霜と湯葉豆腐に海素麺という取り合わせ。
梅肉の酸味がちょろっと・・・。
「へえ〜っ、こういうのもありなんだ・・・」
っと思わせる。
絶妙な組み合わせだった。
最初のウナギの味に較べると、かなり薄味。
我々にはちょうどいい塩加減だった。
 【焼物】はサワラの雲丹焼き。
何て事を!
って思っちゃう贅沢な逸品だった。
付け合せの梅の甘露煮が大好評だった。
嫁さんがつぶやく・・・。
「こんな美味しい梅の甘露煮は『三養荘』以来だわ・・・」
いいモン喰ってたんだなあ・・・。
 【揚物】は鮎と手長海老の唐揚げ。
そっか、鮎解禁だ・・・。
サツマイモとシシトウも添えてある。
フツーの天ぷらじゃないとこが、にくたらしい。
「汐山椒でお召し上がり下さい・・・」
・・・美味い。
最近、だんだん油が苦手になって来た。
でも、これならさっぱりイケる。
沼津のば〜ばの分までパクッて喰っちゃった。
 【煮物】がこれ又、すごい!
あんまりキレイで、思わず写真を撮ってしまった。
穴子博多、フカヒレ茶巾、海老旨煮、あお紅葉麩、オクラ・・・。
喰っちゃうのがもったいないくらい・・・。
しかも美味かった。
全員に大好評だった。
 【強肴】は鴨の燻製と夏野菜サラダ
ドレッシングは”コチジャン風味”だった。
鴨は芳ばしくて美味かった。
ドレッシングもコリャコリャしてなくって美味い。
野菜好きとしては、もっと葉っぱが欲しかったけど・・・。
 【蒸物】も良かった。
”うすい饅頭 旨出し庵”っと書いてある。
鮮やかな緑色の饅頭があんかけ状態になってる。
グリンピースで作った饅頭だそうだ。
中は鶏肉のつみれみたいになってる。
デリケートで、キレイで、しかも美味いっときたモンだ。
 【酢物】
感激!
”生順菜 鮑 虫雲丹 吸い酢”
ナマのジュンサイなんて何年ぶりだんべ?
上品で、贅沢で、サプライズ・・・。
じじばばも腹一杯とか言いながら感激・・・。

  • ご飯

 【桜海老とキノコの炊き込みご飯】だった。
両方とも大好物じゃないっすか!
涙が出ちゃう。 
何で、そんなにいいところばっかり突いてくるんだべ・・・。
芳ばしく、甘く、食感もよく・・・。
もう、言う事なし!

 女性陣が腹いっぱいだとか言い出した。
もったいない!
こんな美味いモンを残せるか?
っかと言って、さすがにテイクアウトをお願いする勇気はない。
秘密兵器登場である。
お坊ちゃま用に常備してた袋だ。
もう使う事もない・・・。
自主的テイクアウト。

 【止椀】
アサリの味噌仕立て・・・。
これは味噌汁だんべや・・・?
味噌汁として評価した。
これは、どうひいき目に見てもしょっぱかった。
我が家のより数倍しょっぱかった。
何故、これだけがこうなんか、理解に苦しむんだけど・・・。
これはウチの嫁さんに教わった方がいいかも・・・。
 【水菓子】は初物。
メロンとスイカだった。
メロンもアタマに”なんたら”って付かないホントのメロンだった。
完熟で美味かった。

一同、大満足だった・・・っと信じたい。

  • 番外

 パンフレットももらって来た。
いい所があるじゃんか・・・。
昔、初めて来た頃から較べたら数段パワーアップした。
なかなかである。
 お土産もいろいろ扱ってた。
名物「梅花藻饅頭」ってのがあった。
ま、モノは試しだ。
12ヶ入り1,000円。
それぞれお持ち帰りで・・・。
 「ウチは要らないんじゃないの?」
「いいの。スポーツの後は甘いモノに限る・・・」
ってんで、我が家用にも買って来た。
家で、試食して嫁さんが感激してた。
ちゃんとヤマイモなんぞ使った本格的和菓子だったそうな。
これは安いかも・・・。