まおの食欲の雑感88

  • デザイン

 お墓のデザインが出来上がった。
オリジナルである。
嫁さんといろいろ相談しながら作ってみた。
参考にNETで検索してみた。
いやあ〜、すごいモンである。
 ペットの葬儀関係も一大ビジネスである。
ヤマのような企業が出てた。
どこもデザインのソフトを備えてある。
コンピュータでどんなデザインも請負いますって感じ。
 凝ったデザインほど、新鮮味がない。
CGとか、当ったり前みたいである。
なるへ。
三島の石屋のオッサンがオリジナルを、っと言う訳だ。
いっそシンプルな手書きの方がいいかも・・・。
 文字を何て刻むか?
今までのは「畜霊の墓」だった。
そりゃ、そーだけどさ・・・。
何だか、あずましくな〜い。
刻む文字ははめっちゃ考えた末、満場一致で決まった。

みんな、ありがとう!

そのまんまじゃん・・・。

  • 親ゴコロ

 このタイミングだから、当然想い入れに差はある。
アタマに浮かんでるのはお坊ちゃまの顔である。
でもなあ・・・。
「チコ」や「ペンチ」や「花子」や「オカカ」とも仲良くしないと・・・。
ま、お坊ちゃまは性格がいいからなあ・・・。
分け隔てなく出来ると思う。
 ニンゲンもそうしないといかんざき。
分け隔てなく供養してあげなきゃ・・・。
ヘンにエコヒイキしたら、お坊ちゃまがいじめられちゃうんじゃないか・・・。
ってな訳で、この文字にした。
親ゴコロである。
やっぱ、バカ親か・・・?

  • フラッシュバック

 今日も東京で会議だった。
この東京の会議が、なかなか辛い。
連想のスイッチになっちゃってる・・・。
何だか4月12日の1日が克明によみがえって来る。
後から思えば・・・みたいな事が沢山浮かぶ。
そんな、いつまでも・・・っとは思う。
でも、しょうがない・・・。
 12日も東京で会議だった。
いつもより早く起きて、朝の行事をこなした。
水を換えて、クスリをあげて・・・。
覚えたてのカテーテルで尿を抜き取ってあげた。
気持ち良かったんだと思う。
お坊ちゃまはすぐに寝始めた。
 会議は予想以上に早く終わった。
午前中の内にこの街に戻ってくる事が出来た。
よっしゃ!
家に寄り道する。
下半身だけでも洗ってやろうと勢い込んで帰宅。
 ところが、お坊ちゃまはキレイになってた。
嫁さんが「腱鞘炎」を押して洗ってあげたという。
考える事は同じである・・・。
見事な肩透かしで、事業所に向かった・・・。

  • 洗面台

 夕方は当然、ベルサッサで帰った。
またまた勢い込んで帰宅。
尿を抜いてあげる。
でも、思ったより尿量が少なかった。
朝からあんまり水を飲んでいないという。
今日は調子が良くないのかなあ・・・。
 ウンチもしてない。
下半身浴させてあげることにした。
ハーブ湯で暖まると催してくるモンである。
洗面台にハーブ湯を張って沐浴。
ほいほい。
案の定、出て来た、出て来た。
洗面台はそのまま水洗便所である。
ま、いいじゃん。
さぞ、スッキリしたんじゃないべか・・・?
お坊ちゃまは又、スースー寝始めた。

  • 給餌

 「今日は、朝からちょっとヘンだったの」
嫁さんが心配顔だった。
「強制給餌も拒絶してたの・・・」
強制とは言ってもあんまり無理はしないようにしてた。
もうシリンジは使ってなかった。
使うのはニンゲンの指である。
缶詰の処方食をチョコッと上あごにくっ付ける。
すると条件反射みたいにくちゃくちゃ喰ってくれた。
 ところが、今日は反応してくれなかったという。
やってみると確かに反応しない。
口に入れても口を動かさない。
「こりゃ、やめた方がいいね」
ソク休憩である。
あとでもっと水っぽい流動食をあげることにした。
 ニンゲンも給餌しないと・・・。
ってんで、近所の「Mずほの」に行った。
腹に入れば何でも良かったんである。
ここんちのいいところは生ビールが美味い。
アサヒスーパードライ」なのである。
それと、農協経営のローカルチェーンなのであんまり毒されてない。
明らかにグルタミン酸の使用量は少ない。
21:00頃には帰宅した。

  • 親孝行

 帰宅した時、お坊ちゃまは寝ていた。
あんまり調子が良くなかったんだと思う。
とても何かを喰える雰囲気じゃなかった。
「流動食も無理にあげなくっていいよね・・・」
シリンジで少し水を飲ませてあげた。
一段落してそれぞれがお坊ちゃまの傍を離れた。
 その直後、異変が起きた・・・。
あの時の情景が克明に浮かんで来る。
何か他に手段は無かったのか?
出来る事をちゃんとやってあげたのか?
あれが全てだったのか・・・?
 反面、やり過ぎじゃなかったのかって気持ちもある。
お坊ちゃまも苦しかったんじゃないのか・・・?
やっと楽になれたんじゃないのか・・・?
両方の想いが交錯する。
今となっては、全て良かったんだと思わないと・・・。
 きっと、お坊ちゃまは待ってたんだと思う。
2人が帰って来るのを・・・。
2人の顔を見て安心したんだと思う。
ホントに親孝行だった。
何て・・・。
何て、最期までいいコだったことか・・・。