まおの食欲の雑感83

  • 墓参り

 記憶が正しければ、23年前に墓を造った。
実家で飼っていた初代ワンコの墓である。
その名は「チコ」
コッカースパニエルとスピッツのミックスだった。
これが又、可愛かった。
 確か40年前に「チコ」は家族になった。
そして17歳で旅立った。
幾多の病気を乗り越えて頑張った。
何とウチの嫁さんも面識がある。
長生きだった。
 「『チコ』の墓を造りたいんだけど・・・」
じ〜じから提案があった時にもろ手を挙げて賛成した。
家族の墓だもん・・・。
でも、当時では異様な感覚だったらしい。
今と違ってペット霊園なんてえのも珍しかった。
ニンゲンとは別に弔ってくれるお寺を見つけた。
それが「開田院」である。

  • リフォーム

 実は、墓を訪れたのは初めてだった。
転勤族の哀しさ、帰省してもなかなか・・・。
「チコ」と、2代目「ペンチ」、3代目「花子」、居候の「オカカ」・・・。
4頭が眠っていた。
線香を焚いた・・・。
「まおちゃんを、よろしくな・・・」
 当時、先駆けだった墓はすっかり古くなってる。
周りを見ると立派な墓が並んでる。
ニンゲンでもこうまでしないべ、ってえのもある。
如何せん、ウチのはちょっとみすぼらしい。
思わずつぶやいてしまった。
「ちょっとリフォームした方がいいかも知れないね・・・」
一瞬、じ〜じとば〜ばの眼がキラッと輝いた。
「そ〜だよな!いやあ、そう思ってたんだよ!」
渡りに船だったらしい・・・。

  • 精進落し

 昨日は三島の実家で晩メシ。
会葬者全員で精進落し。
じ〜じ、ば〜ば達が揃っていつになく饒舌だった。
笑い声も大きい。
したたか飲んで、喰って、笑って・・・。
 でも、話題がどうしても葬式系に向う。
「こないだ、同級生が亡くなってねえ・・・」
「私も、友達が3人も亡くなってねえ・・・」
「そう言えば、近所の○○さんも急に亡くなったのよ」
ま、しょうがないか・・・?
嫁さんと苦笑しっ放しである・・・。
気ぃ遣ってくれてんだべな・・・。
ホンットに親ってのは有難いモンだと痛感した。

  • 忌引き

 有無を言わさず、昨日は休みを取った。
ホントは忌引きにしたかった。
でも話すとややこしい。
面倒いので有給休暇である。
はなっから仕事なんかする気になれなかった。
 でも、今日は出勤した。
仕事のフリして気分転換である。
いつもの時間に起きて・・・。
ってゆ〜かあ、いつ寝たのかわかんない。
夢か、うつつか、幻か・・・。
どうも現実感が欠けちゃってるような気がする。
 何となく事業所で1日過ごした。
いつもより執拗に丁寧に若い衆に指示してる自分がいた。
何だべ?
時間潰しってヤツですか・・・?
何とか、何かほかの事で時間を埋めようとしてるみたいな・・・。
 でも、無駄な抵抗だった。
家に帰ってくればおんなじである。
近所の景色を見れば「まおさん」の時を思い出しちゃう。
玄関にたどり着くまでにどっぷりである・・・。
これは辛いなあ・・・。

  • 献花

 昨日、実家に行ってる間に花屋が来たらしい。
ポストに不在通知が入っていた。
送り主を見ると「F沢動物病院」である。
何て、こしゃくなマネを・・・。
今日、花屋に電話して改めて嫁さんが受け取った。
すぐに「ドクターF沢」に電話して丁重にお礼を言ったという。
 この街に引っ越して来て以来、8年半の付き合いである。
長い付き合いになった。
特にこの2年間くらいは常連さんだった。
スタッフ一同にもホンットに可愛がってもらった。
ずいぶんお世話になってるのに・・・。
有難くって涙が出ちゃう。

  • 献花Ⅱ

 夜、9時頃にピンポ〜ンが鳴った。
誰だ、こんな時間に・・・?
嫁さんがインターホンに出る。
「あ、どうも・・・」
ちょとびっくりした反応である。
何と「Kラヤ」のおねーさんだった。
昼間、嫁さんが知らせたとか・・・。
ずっと心配しててくれたからなあ・・・。
 おねーさんは花束を届けてくれた。
仕事が終わるまで忙しくって遅くなったという。
お店からじゃない。
おねーさん個人でくれたみたいである。
「可愛い子だったからねえ・・・、よくなついてくれたし・・・」
有難てえこった。
もう、ボロボロである・・・。