珍しくも無い本の雑感41(2)

  【小説 上杉鷹山

  • 上杉家

 あの「上杉謙信」の上杉家である。
武門の誉高い家だったんだべ。
でも、あんまり運は良く無かったみたい・・・。
謙信」の養子「景勝」の時に「豊臣秀吉」に会津120万石に封ぜられた。
関が原の合戦では「石田三成」に味方した。
んで、「徳川家康」に更に米沢30万石に減封された。
4分の1である。
すごい右肩下がりだべさ。
 不運は続く。
1664年に4代藩主が急死。
辛うじてお家断絶は免れたけど、領地は15万石に減らされた。
遂に8分の1だ。
しかも迎えた養子がトンでもなかった。
養子藩主はあの「吉良上野介」のセガレ「綱憲」だった。
セガレは幼くて単なるデク人形。
問題はオヤジだったそうだ。

  • 大盤振る舞い

 このオヤジがロクでもなかった。
たかだか2千石の旗本のヒガミ根性丸出しだったらしい。
常にヒトを陥れてやろうと構えてた。
のちには播州赤穂藩主「浅野内匠頭」が見事に引っ掛かった。
これで有名な「忠臣蔵事件」を起こしちゃった。
 オヤジは藩政にガンガン介入したらしい。
幼いセガレに教えた事はたった1つ。
「誰からもバカにされるな!」だったとか・・・。
その為に、家臣に給料の大盤振る舞いをさせた。
「他の大名にもバカにされるな!」
かつての120万石の格式と外形を飾る事が重要だと煽った。
いろんな行事やしきたりでも大盤振る舞いだったらしい。
いつの世もセンセイ方のやるこたあ同じか・・・。

  • 破綻

 藩財政は坂道を転げ落ちる。
米沢藩は15万石。
その内、13万3千石が家臣の給料だったとか。
何と88%である。
そりゃ、あっという間に破綻するべや。
 帳尻合わせはどうするか?
農民にはどんどん年貢を課す。
江戸、大阪の商人からカネを借りる。
累積債務は何百年かかっても返せないほどになったとか・・・。
ひどいモンである!
 けど、今の日本よりマシかも・・・。
今は地方税=地方公務員給料である。
税金が100%地方公務員給料で消えてしまう・・・。
何かやろうと思ったら全てが借金である。
現に負債は天文学的数字になってきたべさ・・・。
歴史は繰り返す。
ってゆ〜かあ、図に乗ってエスカレートしてるべや。

  • 貧乏くじ

 借金の利子は雪だるま。
6代「吉憲」、7代「宗憲」、8代「宗房」、9代「重定」・・・。
誰も改善出来ない。
どんどん増えて行って、もう手の打ちようがない。
商人もカネを貸してくれなくなった。
こんな時に藩主になったのが、10代「治憲」だった。
のちの「上杉鷹山」である。
 「治憲」は九州日向の秋月家から養子に入った。
また遠いとこから・・・。
17歳という若さだった。
藩の財政は最悪。
古い体質の家臣たちはヨソモノ藩主を小バカにしている。
えりゃあ、貧乏くじだべさ・・・。

 「治憲」は婿養子である。
先代「重定」の長女「幸(よし)」と結婚した。
でも、「幸」は生まれながらの障害を持っていた。
身体も脳の発育も子どものまま止まっていたらしい。
言葉も思うように話せない。
 家臣は側室を持つように進めたという。
でも、「治憲」は首を振ったそうだ。
「私はまだ17歳だ、我慢出来る。その必要がある時は正直に頼もう」
ちょと信じ難い・・・。
 更に「治憲」は言ったそうな。
「幸姫は天女だ。天女を裏切ってはならぬ」
すごい!
ちょと出来過ぎかも・・・。
ま、完全無欠の「上杉鷹山」像を形作る一面なんだべな・・・。
続きは又・・・。