大晦日のこと

  • 段取り

 今日は忙しい。
沼津と三島の実家に帰省する。
両家ともにクビを長〜くして待ってる。
待ってるのはニンゲンじゃない。
蕎麦である。
ひょっとしたら蕎麦だけ帰ってくりゃ文句ないかも・・・。
 いずれにしても忙しい。
何かと段取り良くしないと大変。
朝メシもそこそこ、早速蕎麦打ちに取り掛かった。
何せ、お家の事情で一度に大量には打てない。
今回は3回に分けて打つことにした。
 蕎麦粉は嫁さんが北海道で仕入れて来た。
鹿追町産の蕎麦粉である。
これが又、香りが濃くって美味い。
お気に入りの「志の家」の蕎麦粉と甲乙つけがたい。
如何にも美味そうな蕎麦だった。
今夜は楽しみである。

  • 出発

 嫁さんも大忙し。
蕎麦打ちの間は掃除も出来ない。
「まおさん」「まおシャン」「洗濯」「買い物」・・・。
せっせと用事をこなした。
最後に掃除してお泊りの仕度をしたらもう15:00である。
 ひえ〜〜っ。
もう、出掛けなきゃイカンザキ。
とうとう年賀状の版画は下絵を描いただけ。
完全に年越しである。
クルマにお土産を満載していざ出発。
 道は意外に空いていた。
このクソ忙しい年末にウロウロしてるヒトもいないんだべか?
予想以上に早く沼津に到着した。
年越し蕎麦やらお菓子やらを配達してからお泊り予定の三島へ・・・。
やれやれ、やっと一息つけるど・・・。
早く、ビールが飲みたい!

  • 珍客

 18:00頃、三島の実家に到着。
同時に1台のワゴン車が・・・。
あれっ?
見ると三男坊の一族がドヤドヤと降りて実家に入って行った。
小学生の子ども3匹もいる。
 うわっ!
又、やられたか・・・。
病身のお坊ちゃまがいじくり回される姿を想像するとゾッとする。
参ったな・・・。
恨み言の1つも言いたくなる。
わざわざ前もって電話してんのに・・・。
何でじ〜じもば〜ばも何も言ってくんないんだべ・・・。
やれやれ・・・。

  • 食堂

 仕方がない。
覚悟を決めて入って行った。
努めて元気を出す。
「お〜っす!」
・・・反応が無い。
三男坊夫婦と子ども3匹揃ってドラエモンのテレビに見入っている。
一族郎党、周りは一切目に入らないらしい。
 ・・・何なんだ?
状況が飲み込めない。
我々の帰省に合わせて顔を見に来たって雰囲気じゃあない。
挨拶も無いし、会話も無い。
全員で喰い入るようにテレビを見てるだけ・・・。
見ると全員スキーウェアである。
 何だ、要するにメシ喰いに来ただけか?
一族郎党で遊びに行ってメシ作るのが面倒ってか?
実家は食堂代わりかい?

  • 柿の種

 ば〜ばはせっせとメシの支度。
「ご飯の用意が出来たから先に食べなさい」
一族郎党は無言でダイニングテーブルに座る。
黙々と晩メシを喰い始めた。
でも、目はテレビに釘付けである。
 さすがに5人座れば満席である。
仕方なく我々は応接セットでビールを飲む。
つまみも無い。
仕方ないので柿の種をかじる・・・。
 ・・・何なんだ?
何で大晦日に柿の種かじりながら寂しくビール飲んでんだ?
何で会話も何も無い実家でドラエモン見てんだ?
あずましくな〜い!
だんだんムカついてきた。
我が家に帰りたくなってきた・・・。
トンでもない大晦日だ。