パソコンのこと17

  • 下取り

 やっとパソ子Ⅱ世の付属書類を整理した。
アニマルが6冊くらいある。
保証書もきちんと保存しないと・・・。
メーカー保証書と別に「Yマダ電機」の保証書もあった。
至れり尽くせりである。
 ふと気づいた。
保証書の下にもう一枚紙っきれがついてる。
「下取り優待券」とか何とか・・・。
おっ!
こんなモンが付いてたんだ。
 一瞬、もしかしたらと思った。
何か道が開けるかも・・・。
「Yマダ電機」は中古パソコンも扱ってる。
修理を前提に下取りもするかも・・・。
ダメモトでも一回相談してみようと思いたった。

  • ご臨終

 初代パソ子はご臨終状態である。
購入した「Kジマ電機」に修理の相談に行った。
ぜんぜん話にならんかった。
スタッフも素人っぽかった。
修理見積もりだけで12,500円かかりますとか・・・。
っざけんじゃない!
 タンカきって帰って来たのはいいんだけど・・・。
さて、初代パソ子はどうするか・・・?
HDDのデータは「ドクターS々木」に移植してもらった。
見事なワザで丸ごと移植出来ちゃった。
これでデータの憂いは無い。
 後はキカイをどーするか?
動けば何かの時の控え選手に出来る。
でも、スイッチが入らなきゃ無用の長物である。
治療できれば一番いいんだけど・・・。
かすかな期待を抱いて「Yマダ電機」に行った。

  • 専門家

 やっぱプロがいた。
「状態を見せて頂いて宜しいでしょうか?」
パソコン買った客の下取りの相談、という構図である。
「ちょっとスイッチの調子が悪いんだけど見てくれる・・・?」
「スイッチですか・・・?」
何て正直な客なんだべ。
 お兄さんがスイッチを入れた。
フツーに立ち上がって元気に動いてる。
「あれ〜〜っ?」
「別に何ともありませんね・・・」
「そうですねえ・・・」
半信半疑である。
 お兄さんは例のBIOS画面でいろいろ調べる。
何だかわかんないCDを入れて見てる。
何をしてるんだかよくわっかんない。
「買取りの上限は33,000円になります」
「ふう〜〜ん」
「後はキズなどを査定して減額させて頂きます」
「33,000円かあ・・・、迷うなあ・・・」

  • スケベ心

 正確にはもう少し高くなるらしい。
33,000円は通常の買取り価格だとか。
それに「下取り優待券」ってのがある。
査定された価格に10%上乗せで買い取るそうだ。
って事は上限で36,300円ってこってすな。
 嫁さんと相談する。
「どーする?」
「ちゃんと動くんなら家にあってもいいわよねえ」
「そりゃそうだ。スペアマシンになるし・・・」
「三島のば〜ばもパソコンやってみたいとか言ってたじゃない?」
「うん、そんな事言ってたなあ・・・」
 スタッフは結論を待ってる。
「フツーに動くんなら手放す理由は無いんだよね」
「そうですよね。あって困る事はないですから・・・」
「やっぱ持って帰るか・・・」
 っとか何とか言ってる内にパソ子の電源が落ちた。
「あれっ?」
「あ〜〜っ、やっぱし落ちたか・・・」
「ホントに落ちましたねえ・・・」
「前にもこれがあったんだよねえ・・・」
何てバカ正直な客なんだべ。
 お兄さんがあれこれいじってる。
「いやあ、こんなケースは初めてですねえ・・・」
ちょっとだけ後悔がアタマを過ぎる。
最初に動いた時に36,300円ゲット出来たのに・・・。
やっぱ、小市民なんだよなあ・・・。

  • 修理見積り

 「直せるモンだろうか?」
「う〜〜〜ん、何とも言えませんが・・・」
「念の為に修理見積りする事は出来るの?」
「それは出来ますよ」
「ⅠBMって見積りだけでも1万円以上取るんじゃないの?」
「いえ、預かり金だけ1,050円必要ですが・・・」
「1,050円?」
「ま、預かり金って言うか運送料ですね。後で修理代に充当されますが・・・」
 何だ、ぜんぜんシステムが違うじゃん。
さて、直すか?
「どうするのが一番、賢いだろうか?」
「う〜〜ん、難しいですねえ・・・」
お兄さんの意見としては悲観的だった。
「もちろん、これは買取りは出来ません」
「そりゃ、そーだべ」
「多分、修理はマザーボード交換で5万円くらいかかると思います」
この意見だけは「Kジマ電機」と一緒だった。

  • 納骨

 「諦めるか・・・」
嫁さんも今更5万円かけるなんて発想はない。
そんなら冬物の服でも買うわって顔に書いてある。
「諦めるという事でしたら処分は致しますが・・・」
通常はリサイクル費用がかかるそうだ。
我々は「下取り処分」という扱いに出来るという。
タダで処分しますよってこった。
 お兄さんが書類を持って来た。
「HDDは責任を持って破砕処理しますのでご安心下さい」
ま、しゃーないか・・・。
記載項目を確認してサインする。
店もなかなか考えてる。
後でゴネる客もいるんだんべな。
データやプログラムを返せなんて言われても困る訳だ。
 かくしてパソ子の納骨が終わった。
何とも言えない複雑な思いではある・・・。
長きにわたった闘病生活。
「ドクターS々木」にはホンットにお世話になった。
ってゆ〜かあ、「S々木家」にめっちゃご迷惑を掛けたなあ・・・。
何回、北を向いて合掌したことか・・・。
 でも、間違いなく言えるのはえりゃあ勉強になった。
随分いろいろ勉強させて頂いた。
パソコンとの付き合い方が変わったと思う。
それまでの3年半より、この半年の方が密度が濃かった。
ま、ド素人である事は変わらないけど・・・。
 納骨後、お兄さんから100円玉を渡された。
買取り費用だそうだ。
受け取った100円玉を眺めながら又合掌した。