中華料理屋の雑感14

  • お祝い

 誕生日の祝いの晩餐をする事になった。
ちょっと考える。
いつもそんな事してたっけかなあ・・・?
覚えが無いなあ・・・。
ま、いっか。
嫁さんがレストランに予約を入れた。
 ホントの誕生日は10/1だ。
でも、テニスのレッスンがあったりして忙しい。
まして昨日はお坊ちゃまの病院があった。
気分的にもあずましくない。
ってんで今日の晩メシになった。
 嫁さんの情報ネットワークはすごい。
いろんなヒトと情報交換してるので何でも知ってる。
あっちこっちの仏メシやらイタメシやらに足を運んでるらしい。
「ランチだから安いモンよ」
っとか言ってる。
安いったって亭主の昼メシ代10日分だし・・・。
 お陰で随分舌が肥えたようだ。
評価がどんどん辛口になって行く。
その内、この界隈じゃ喰えるモンが無くなりそうである。
片や、亭主は事業所の食堂ですっかり慣らされた。
選択肢が無きゃそれを喰うっきゃない。
お陰でどんどん舌が痩せて行く。
お坊ちゃまの気持ちが良くわかる・・・。

  • 「桃源」

 取って付けたとは言え、晩餐である。
晩餐って言えば目下のところ、ここしか思いつかない。
ちょっと無理して喰うんなら絶対に冒険なんかしたくない。
嫁さんは「S々木家」からいろいろ情報を仕入れていた。
お陰で随分参考になった。
 「桃源」は6月頃にリニューアルした。
何でだろ?
非の打ち所が無い雰囲気だったのに・・・。
行ってみてわかった。
多分、横浜そごう全体のリニューアルに巻き込まれたんだ。
10階フロア全体がリニューアルされていた。
でも、何となく手狭になってしまった。
隣には「銀座アスター」なんか出来ちゃって・・・。
前の落ち着いた雰囲気の方が良かったなあ・・・。
 「S々木家」情報で狭くなったので要予約は聞いていた。
生意気にもweb予約が出来る。
これ又、「S々木家」のパソ太郎で予約を入れた。
さすが窓際の禁煙席は最高だった。
後は料理だ。

  • コース料理

 いろいろ喰えるからコースでもいいと思っていた。
ん?
値段が上がった。
リニューアルしたら値上げするんかい?
一番安いコースでも6,300円である。
2人で12,600円か・・・。
前は5,000円からコースがあった。
アラカルトメニューも全体に値上がりした。
これは長考に値するぜ。
 メニューをじっくり時間をかけて真剣に読む。
スタッフは伝票持ったままじっと待ってる。
知ったこっちゃない。
こっちは大枚はたいての大勝負である。
メニュー選択も真剣である。
 コース料理の内容はこんな感じ。

■桃源ファミリーコース■

  1. 四種前菜の盛り合わせ
  2. 五目入りふかひれスープ
  3. 蟹の手の揚げ物
  4. 牛肉と季節野菜の炒め
  5. 季節野菜の干し貝柱ソース
  6. 芝海老のチリソース煮
  7. サーモン入りチャーハン
  8. タピオカ入りココナッツミルク
  9. 一口中国菓子

 嫁さんいわく。
「『蟹の揚げ物』と『海老チリ』は要らないわねえ・・・」
チャーハンを除いて2/6が却下じゃ話にならんべ。
好きなものだけ6品頼んでも同じくらいの値段だ。
結局、アラカルトでオーダーすることに・・・。

  • オーダー

 スタッフの方を見る。
おねーさんが転がるように吹っ飛んでくる。
さすがニューオータニ。
スタッフの対応の良さはホテルそのものである。
サービス料10%も惜しくない。
 まずは【ビール】
大き目のグラスで700円。
安かあない。
ん?
何となくこれってビールじゃない気がする。
まさか・・・ひょっとして発泡酒・・・?
そんなバナナ。
っとか思いながらも美味くなかった・・・。
 ま、気を取り直してオーダー開始。
おねーさんが教えてくれた。
メニューには載ってないけど「極小盛り」っての出来るそうだ。
そりゃあいい。
その方がいろんなモンが喰える。
 前菜は【バンバンジー】
我が家の定番オーダーである。
ホントに極小盛りで2〜3口で喰い終わる。
バンバンジーとキュウリにクラゲとハーブが添えてある。
さすがに盛り付けは上品。
蒸し鶏も柔らかくしっとりして美味い。
ゴマソースも相変わらず美味い。
が、何故か一番底にラー油が敷いてあった。
何で?
これがえりゃあ辛い。
せっかくのデリケートな味が最後にぶっ壊された気分。
あれは余計だべ。

 【バンバンジー】が登場するまでに【ビール】は半分終わってた。
登場した後は後味が辛くて一気に飲んじゃった。
ついつい次の料理が来る前にお代わりを注文。
このペースじゃ1品ごとに1杯飲んじゃうべや。
なあ〜んて思うっくらい間があった。
何だべ?
店が狭くなって従業員が減ったのかな・・・?
ちょっと間が悪くなった印象だった。
 次は【五目入りふかひれスープ】
嫁さんのたっての希望である。
小盛りで4,500円する料理だ。
これを涼しい顔でオーダー出来る太っ腹に感服させられる。
小市民はキヨブタで決心する。
「じゃ、単品で1杯ずつ頼もう」
こうすると3,000円だ。
何て哀しい小市民根性・・・。
 味はどうだったんだべ?
嫁さんから特に感想は無かった・・・。
イヤ、あった。
「熱っちい!」のヒトコト・・・。
何だべ・・・?
どうも素直に「美味い!」って言えない味だったなあ・・・。
 【春巻き】はビールのつまみに最高。
ってんでいつも単品でオーダーする。
ちゃんとマスタードもたっぷり添えてある。
醤油もお酢も上等なモンがある。
ハシで横っ腹に穴をあけてちょっと待つ。
いきなりかぶりつくとヤケドするから・・・。
この待つ間に期待が膨らむ。
が、期待は裏切られた。
ちょっと焦げ気味なのと、かなり油っこかった。
具はまあまあで、タケノコのシャキシャキ感もイケてた。
でも、油がせっかくのシャキシャキ・パリパリをぶっ壊してた。
 【五目豆腐】はオイスターソースだった。
これは当てずっぽうでオーダーしたら当たった。
ホントは【豆腐のオイスターソース煮】が喰いたかったのである。
宝くじに当たったような嬉しさも手伝って美味かった。
豆腐、鶏肉、豚肉、シイタケ、タケノコ、エンドウ・・・。
正に五目だった。
肉々しかった。
良く言えば随分味がしっかりした気がする。
悪く言えば味がガサツになった。
中華街に良くある味に近くなったような気がして寂しい・・・。
 【青菜のクリーム煮】も定番オーダー。
チンゲンサイのクリーム煮はここで何度も喰ってる。
まず外れない保険の意味でオーダーした。
が、外した。
以前とは全然変わってしまった。
まずはチンゲンサイを切り刻んである。
切るなあ〜〜〜っ!
クリームソースは濃厚だった。
ってゆ〜かあ、甘くて、しょっぱくて・・・。
嫁さんが早々にサジを投げてしまった。
そうは言っても1品2,000円である。
とっても残して帰る気にならない。
「こんなん喰えるか!」ってイチャモン付けるなら別だけど・・・。
でも、これはかなりひどい味だった。
 【蟹肉とレタス入りチャーハン】で仕上げ。
気持ち的にはこれが一番許せなかった。
客は何に期待してこのメニューを選ぶのか?
これを作った人間はそれがまったく理解できていない。
とにかくしょっぱい!
さっぱり、あっさりを期待して喰ったら腹が立つ。
これも前はこんなひどい味じゃなかった。
変わっちゃったんだ・・・。
がっかり・・・。
 【杏仁豆腐】も嫁さんの定番オーダー。
ちょっと味見だけしたけどふう〜〜〜んって感じ。
別に不味くはないけど・・・。
牛乳カンは自前で作ってるみたいだけど、フルーツは缶詰じゃん。
こんなんでいいの?って訊きたくなる。
あの「桃源」だんべ?
ニューオータニだんべ?

  • リニューアル

 やっぱリニューアルは魔物だ。
よく個人商店にはありがちなパターン。
商売が上手く行って儲かって奢るパターン。
んで一気に客が離れる事はよくある。
でも、ホテルだからなあ・・・。
誰かが奢ったんだべか?
 ホームページには有名な調理長の紹介があった。
「桃源」のブランドを確立して意気揚揚って感じ。
何だべ?
ホテルがリニューアルして不味くなったなんて聞いた事がない。
ホントなら良くなるはずだけどなあ・・・。
そもそも今の時代に値上げした事が信じらんない。
やっぱ経営陣の奢りかな。
 世の中、お金持ちが多いからそれでも入るんだべな。
我が家はこれで15,000円はとっても耐えられない。
「B〜ミアン」なら2人で3,000円も出せば十分。
でも、味は1/5なんてこたあ無いのである。
付加価値で商売してる店は大変だと思う。
客が付加価値を感じられなかったらお仕舞いである。
それを言っちゃあお仕舞いよ、おいちゃん!
でも、言っちゃうのである。
これじゃあお仕舞いよ。
ま、今回はベイブリッジの夜景がご馳走という事で・・・。