まおの食欲の雑感39

  • 「ゴンベ」

 「わおお〜〜〜ん!わおん、わおん!」
隣の「ゴンベ」が遠吠えする。
静かな住宅街に響き渡るえりゃあでかい声だ。
あれならドロボーに入ろうなんて気を起こす輩もいないべ。
近来、稀に見る立派な番犬である。
 本名は「太郎」らしい。
でも、それじゃフツー過ぎる。
やっぱ、あの顔は「ゴンベ」である。
我が家では「ゴンベ」と命名してる。
 最近はこのマンションの大改修が始まった。
もう、マンションの周りは足場が組まれて職人衆がうようよ・・・。
「ゴンベ」にとってはあずましくない。
職人衆を見掛ける度に吠えてたら仕事になんない。
そこで日中、作業中はどっかに疎開してる。
今日は秋分の日で休日。
朝からご在宅。
心置きなく吠えていられる。

  • 赤ちゃん

 「わおお〜〜〜ん!わおん、わおん!」
「ゴンベ」が盛んに遠吠えする。
吠えてる原因はウチの「お坊ちゃま」だ。
ったく・・・。
 1ヶ月前からの「お坊ちゃま」の食欲はすごい。
尋常ではない。
旅行に出掛ける前とまったく別犬ばうあ〜になってしまった。
あんなに飲まず喰わずだったのに・・・。
 「お坊ちゃま」はあっという間に処方食を平らげる。
洗わなくってもいいくらい茶碗を舐めてる。
まだ、足りない様子だ。
我々が晩メシを喰い始めると吹っ飛んでくる。
でも、一切無視する。
 「お坊ちゃま」は嫁さんの隣のイスに駆け上がる。
「きょほっ、きょほっ」
執拗なおねだり攻撃である。
 更に無視する。
嫁さんの二の腕なんか舐める。
「おわっ!気持ち悪いなあ・・・」
「よっぽど脂がのって旨そうなんじゃないの・・・?」
 それでも無視する。
「お坊ちゃま」は遂にキレる。
「ぎゃおん!ぎゃん!ぎゃん!」
最初はびっくりした。
赤ちゃんの時以来聞いたことが無いような泣き声である。
しかもえりゃあでかい声だし・・・。
すかさず「ゴンベ」が反応する。
うるさくてテレビが聞こえない。
赤ちゃんがえりかな・・・。

  • ダイエット

 眼からウロコだった。
腹が減ったら何でも喰う。
アタマではわかってた事なんだけど・・・。
太り気味だった事がそもそも間違いだった。
「ヤならよせ!」精神を貫かなきゃいけなかった。
 でもなあ・・・。
あの時の状況じゃ出来なかったなあ・・・。
ついつい可哀相になっちゃうんだよなあ・・・。
そう言う意味でもホンットに旅行に行ってきて良かった。
 「お坊ちゃま」は今も処方食の缶詰をバクバク喰ってる。
それ以外のモノを一切与えていない。
でも、ここんところ又ちょっと太り気味。
8kgを超えて動きが鈍くなってきた。
「まおさん」の足取りも重い。
っかしいなあ・・・?
「ドクターF沢」に言われた量しか与えてないのに・・・。
 ドクターには1日1缶と言われていた。
嫁さんがよくよくカロリーを調べてみた。
何と、厳密に計算すると10%ほどカロリーオーバー。
はは〜ん。
 ってんで、今週からビミョーに量を減らしてる。
「お坊ちゃま」はわかんないべな・・・。
「何でこんなに腹が減るんだべ?」
って思ってるべなあ・・・。

  • 股割り

 最近ちょっと気になってる事。
「お坊ちゃま」は妙に股関節が柔らかくなった気がする。
突然、両足を横に広げてペタッと座ったりする。
子犬の頃には良くこんなカッコしてた気がする。
もうすぐ14歳だぜ。
人間にしたら74歳。
沼津のば〜ばと同い年じゃん。
これも赤ちゃんがえりか・・・?
 人間は毎晩、苦労して股関節のストレッチをやってる。
「1週間は7日あるぅ〜!」
「1日1ミリ!」
っとかぶつぶつ言いながら・・・。
涙ぐましいモンである。
 思えば、気になる事がそんな事だけなんて・・・。
幸せなこってある。
3ヶ月前には考えもしなかった。
抗がん剤」を投与してた頃は夢に見てた。
毛がふさふさの毛玉のような「お坊ちゃま」
これでもかってくらいにメシを喰う「お坊ちゃま」
クロール歩行法で元気に散歩する「お坊ちゃま」
夢が叶ってしまった。
まったく元通りの「お坊ちゃま」である。
ちょっと恐い・・・。
どうせだから、このままず〜〜っと醒めるな!