珍しくもない本の雑感26

  • 「ダメ男」

 「ダメ男」と「ダメ会社」はよく似ているらしい。
そう聞いただけでついつい・・・。
手が出ちゃうんだよなあ・・・。
 タイトルは「ダメだ!この会社」
もう、そのまんま。
「わが社も他社も丸裸」って書いてある。
これでぐらっと来ないヒトはよっぽど恵まれてる。
やっぱタイトルは大事だよなあ・・・。
 著者は異色の組み合わせで共著。
マンガ家の「倉田真由美」氏と経済評論家の「山崎元(はじめ)」氏。
くらたま」こと「倉田真由美」氏は1971年、福岡生まれ。
一橋大学商学部卒、バツイチほか、人生経験豊富。
山崎元」氏は1958年、北海道生まれ。
おっ!近い世代じゃん。
東京大学、自称猫よりも役に立たない経済学部卒。
12回の転職経験がウリ。
こちらも人生経験豊富である。

  • 構成

第1章 「ダメ会社」と「ダメ男」はこんなに似ている!!・・・くらたまvs山崎元対談
第2章 ダメ会社を見分ける4つの基本・・・①「社長」②「社員」③「人事(風土)」④「財務」
第3章 こんな国内大手企業はダメ!・・・大企業病〜喫煙所の怨念
第4章 こんな外資系企業はダメ!・・・劣悪中小企業〜1人でランチ
第5章 こんなベンチャーはダメ!・・・自分でやるもの〜「喜び組
第6章 こんな金融機関はダメ!・・・人生台無し〜フーゾク系
あとがき 

 ま、大半は「山崎元」氏が書いてる。
くらたま」は最初の対談と挿絵専門みたいな・・・。
無理もないけど・・・。
 いちいち納得しちゃって、ほとんど全部うなづけちゃうところがすごい。
ダメだとは思っていたけど、更にダメを押された。
でも、山崎氏は最後に保険かけてる。

 ハッキリ言って、世の中の会社のほとんどはダメ会社なのだ。
読者は、それぞれの会社がどのようにダメなのかを知って、自分にピッタリのダメ会社に就職して欲しい。
人間と同じで、会社も、どこがダメなのかをよく知って付き合うとうまく付き合えることがある(無理なことも、もちろんあるが)。
そしてダメさを「味わう」境地に達することができれば、ビジネスパーソンとして達人の域だ。
 「ダメ会社を愛せ!」とあえて申し上げよう。そして、読者は、本書の読後、ご自身が以前よりも会社の愛し方が上手になっていることに気づくだろう。

・・・気づいた。
いつの間にか達人の一歩手前の域に達してた。
ダメさを自虐的・破壊的に楽しむなんて自営業じゃ絶対に出来ないべ。

  • つまみ喰い

 この山崎氏ってのはなかなかだと思った。
ジアタマがいいんだべな。
思わず吹き出しちゃう表現がいっぱいあった。
しかも腹にストンと落ちるから面白い。
ちょっとつまみ喰い。

〜【ダメな会社を見分ける4つの基本】より

    1. 基本的に多くの社長は、普通のジイサンであり、単なるオヤジである。
    2. 経済団体はハッキリ言って社会的に無用の長物だと思います。経済が成熟して、企業活動が国際化した現在は、その使命を終えたといっても過言ではありません。
    3. 社員たちの会話から、ダメ会社かどうかを簡単に見分ける方法は上司や同僚の呼び方の「さん・くん・チャン比率」を測定することです。「さん付け比率」が多いほど、まともな会社と言えます。
    4. 成果主義を謳うか否か以前の問題として、「長時間労働=良し」というカルチャーの会社はダメ会社です。
    5. 私は、経営者に取り入って偉くなろうとする無能な幹部社員のことを「経営茶坊主」と呼んでいるのですが、現状では経営茶坊主の個人的趣味で「女性を活用してます」と宣伝する会社が多い。
    6. 一般的な日本企業では、女性で出世する人は上司とデキているケースが多いのも事実です。外資ではもっと多いと思います。男も「ゴマすりと肝臓の強さ」だけでのし上がっていく人もいるし、要は使える武器は何でも使って目標を達成するのが会社社会です。
    7. 経営茶坊主たちこそが真の顧客だと思ってるコンサル屋が、経営茶坊主たちの地位を温存するとともに、彼らの権限を強化するような妙な仕組みを売って歩いたために、日本の多くの大企業に「陰気な成果主義」が普及してしまったのです。

 ウチの会社を覗いてたんじゃない・・・?
でも、どこも似たり寄ったりとか言われると学生は夢もチボーもないべ。
ホントに世の会社ってみんなそんなんかな・・・?

  • つまみ喰いⅡ

 日本の大手「ダメ会社」の事例が並んでいる。
面白かった。
よくもこんなに・・・
どれもこれもみんな当てはまるじゃん。

〜【こんな大手企業はダメ】より

    1. 伝統的な日本の大企業では、人より半歩前に出るくらいがいい。1歩以上前に出ちゃうとイエローカードなのです。
    2. 社員が自社内用語を外で平気で口に出すような会社は要注意です。社員の頭の中がすっかり自分の会社のことだけで占領されていると考えていいでしょう。そういう人が多い会社は、やはりダメ会社と言えます。
    3. 今どき、労働組合が強い会社というのは、だいたいにおいてロクな会社ではありません。組合専従は出世が約束されて、経営茶坊主たちが綿々と人事を握っている硬直化した会社です。
    4. 社長が組織フェチで、社名も含めると名詞の肩書きが3〜4行もある会社があります。経営者の意識とパワーが外に向かっていない気配が伝わってきます。
    5. 「企画」という名のつく組織が多い会社もダメです。「プチ・エリート菌」が社内の至る所に蔓延して、他愛のないおままごとの部類かもしれませんが、感心できる傾向ではありません。
    6. コンサル屋を使わないと、ビジネスも人事制度も作れないような会社は、経営が機能していないダメ会社です。
    7. 大企業では時としてシステム部門が自己増殖しがちです。システム担当者が自分たちの仕事を意識的に増やして、外注のシステム業者と半ば癒着する。実にありがちな構図です。三洋証券はこれもあって倒産しました。「ソリューションのご提案」とは「新しい問題を作ってあげますよ」といった内容のものです。
    8. チカラ関係で取引先へのイジメとたかりが横行する会社は遠からず経営が傾く可能性が高いし、そんな組織に同化すると人格が歪みます。経営が傾かないこともあるので不愉快なのですが・・・。
    9. 昔から立派な自社ビルを建てると、その後業績が低迷すると言われています。収益を生まない自社ビルに資金を回すということは、他に収益を上げる投資先が乏しいということです。

ホントにいずこも同じだべか・・・?

  • つまみ喰いⅢ

 このコーナーも面白かった。
よく見えてない世界だけど、想像はしてた。
特に外資は面白かった。
やっぱりそうかあ・・・って感じ。

〜【こんな金融機関はダメ】より

    1. 自分が外資に向くかどうかを簡単に見分ける方法は「ランチを1人で食べていても淋しくないかどうか」です。
    2. 外資系では「一部の人間の考えで極端なことが行われることがある」こと、また、社員を解雇したい場合には理由を探すので、「隙を作ると危ない」という2つを肝に銘じておかなければなりません。
    3. 外資系ではカモ(客)を見つけて撃った人よりも、そのカモを拾って差し出した人の方が褒美をたくさんもらうことがよくあるのです。社長でも社員でも徹底的に上司や本国にアピールしないと通用しません。
    4. ベンチャーは入るものではなく自分でやるもの」だと思います。社長はアタマに血が上っちゃってる人が多く、会社の先行きは不安定です。会社の創生期を支えた「先住民」たちが意味もなくふんぞり返っている場合が多い。漢字も書けないパープリンが執行役員などということはよくあります。
    5. ホリエモンが言う通り、使われる側は消耗品のように働かされる割に給料は安い。自社株やストックオプションで財産を作る道を開くか、途中で辞めて自ら起業するか、このどちらかを考えていかないと厳しいものがあります。
    6. 社長の強欲が継続していないとベンチャーは潰れると言われています。その通りだと思いますが、これは凡人には最も難しいことです。強欲が次から次へと湧き上がってくるような、心底イヤな感じの人物の方がしぶとく会社を潰さない。
    7. ベンチャーで成功した典型例は最初のビジネスが当りすぐに株式公開した会社。その後は「喜び組」を作って、一流大学卒を雇いたがる。モラルが低いと言われても、そもそもベンチャーにモラルを求める方が間違っています。
    8. 大手銀行の合併で吸収された側の社員は悲惨です。よく合併発表の時に経営者が言う「人事は対等の精神」というのは「精神だけは対等」と読み替えて解釈するのが正解です。25歳以上だったら転職してしまった方がいいでしょう。
    9. 社内常識が世間常識と一番ズレているのは銀行だと思います。銀行ではまずは前例を覚えるのが基本で、旧第一勧銀ではハンコの押し方教育があり、うまく押すコツはちょっと左に傾けて押すことだそうです。こうすると、自分のハンコが左隣のある上司のハンコにお辞儀をしているように見えるからなのだそうです。
    10. 最近は消費者金融へ行く人も増えているようですが、風俗の仕事にたとえると、銀行がキャバクラで、証券がファッションヘルスだとすると、消費者金融ソープランドと言えるでしょう。どうせ泡まみれならぬ金まみれになって稼ぐのなら、一番お金の貸し借りの本音に近い世界で勝負するのも一興でしょう。

 そう言えば昔、先輩からハンコの押し方って教わったなあ・・・。
得意先に渡す領収書のハンコだった。
んで、とにかく「くっきりとまっつぐ押せ!」と言われた。
ま、これはありかな・・・。

  • 北海道

 実は北海道人って聞くと思わず反応しちゃう。
日本人じゃないって先入観があるんだよなあ・・・。
内地の感覚とはずいぶん違う。
良くも悪くも(悪くはないな・・・)日本人離れしてると思う。
山崎節はぜ〜んぶ納得!
いかにも「らしいなあ・・・」って思っちゃう。
 6年間の北海道生活で道民性にかなり精通した。
明るくて、楽しくて、親切で、遊び好きで・・・。
楽観的で、ドライで、情が深くて、義理に厚くて・・・。
見栄っ張りで、向上心旺盛で・・・。
ちょっぴり東京コンプレックスがあって、関西が大っ嫌い。
九州人とは合うかも知んない・・・。
 離れてみるといとおしい気持の方が強いなあ・・・。
「ちょっと、かでて〜(参加させて)」のヒトコトですぐに仲間になっちゃう。
「なんも、なんも・・・」で全て許されちゃう。
流れる時間の早さも質も違う気がする。
 北海道人は大らかである。
同時に大まかでもある。
北海道人はガッツがある。
同時にガサツでもある。
北海道人はヤなもんはヤである。
よって離婚率全国ナンバー1である。
愛すべき人種である。