沼津弁のことⅤ
- 帰省
沼津は7月盆である。
ホントは13日から昨日まで。
嫁さんち実家の方は今でもきちんとした行事がある。
ば〜ばも忙しそうである。
普段、家を離れている若い衆もこの時期には帰省するのが正しい。
でも、そうは言ってもなかなかねえ・・・。
今回も送り盆が終わってしまってから帰省。
ば〜ばもちょっと残念そう・・・。
「活けたばっかりだから、お花は要らにゃあよ」
電話で確認したらこういう返事が返って来た。
ま、そうだべなあ・・・。
線香だけ上げて来た。
- 顔見世
前回、帰省したのは5月だった。
抗がん剤投与の最中で結構しんどい時だった。
その時に較べたら雲泥の差。
お坊ちゃまの顔見世は好評だった。
何より毛が増えてきたのでコロコロして見える。
人間に例えりゃ70歳過ぎなんだけどねえ・・・。
「どこが病気だかわかんないねえ」
「すっかり治っちゃったじゃない」
ゴボウから筆くらいに進歩した尻尾を振ってる。
会うヒト全員に本来の愛想を振り撒き、大人気を博してきた。
良かった良かった。
- 「じちなし」
懐かしい言葉を聞いた。
「じちなし」
子どもの頃からよく使ってた言葉だ。
親からもよく言われたし、仲間からも言われた。
同じくらいこっちも言った。
ま、挨拶代わりみたいなモンかな・・・。
意味は、そのまんま。
「自分の事がちゃんと出来ないヒト」
多分、「自治無し」って書くんじゃないかな・・・。
悪口と言えば悪口なんだけど・・・。
「まあず、あんてぇや、じちゃあにゃあだ!」
(ったく、あいつはしょうが無いなあ・・・)
「ひゃあ、このじちなしが!」
(ったく、しょうが無いヤツだ!)くらいかな・・・?
笑いながらしょうがねえなあ・・・ってニュアンスがある。
言われた方も不思議とあんまりムカつかない。
結構、便利である。
- 「ら」
これは常用語。
聞いていても何の違和感もない。
こないだ、「お隣日記」をのぞいてたら「ら」が取上げられてた。
東京のわきゃあしぃが(若い衆が)沼津に遊びに行った。
あっちこっち回ってきたらしい。
タクシーに乗ると運ちゃんが「ら」を連発したとか。
わきゃあしぃの感想は「かわゆい〜」
へっ?
かわゆい?
なあるほどねえ・・・。
そういう風に響くんだ。
「ら」は基本的には疑問形にくっつく。
一部、推定する時にも使う。
例外もあるかも知んないけど、動詞の後だと「ら?」
名詞や形容詞の後だと「だら?」
ちょっとローカルや古いヒトだと「ずら?」になる・・・。
当らずとも遠からずだら?
例えば「今日、学校行くら?」(今日、学校に行くんでしょ?)
「きっとあいつも学校行くら」(きっとあいつも学校に行くだろう)
ややこしい・・・。
「ここは通っちゃダメだら?」(ここは通っちゃダメでしょ?)
「ここは通っちゃダメだら」(ここは通っちゃダメなんだろう)
え〜っ?
わっかんないじゃん。
「そこらに置いてあるら?」(そこに置いてあるでしょ?)
「そこらに置いてあるら」(そこいら辺に置いてあるだろう)
びみょー。
「沼津弁もなかなかいいら?」(沼津弁もなかなかいいでしょ?)
あれっ?形容詞だ・・・。
訳がわかんなくなって来た。