珍しくも無い本の雑感25(2)

 【地価「最終」暴落】

 っという考え方があるそうだ。
立派な経済用語なんだとか。
持ち家を自分に貸すと仮定したバーチャルな家賃のこと。
バーチャルだけど統計上は「消費」に計上されるんだって。
日本の場合、これがGDPの10%、50兆円を占めるそうだ。
欧米も同じく「帰属家賃」をカウントしてるけどGDPの5%くらい。
50兆円ってえのは国の税収を上回る金額になるんだと。
こういう消費が積み重なってGDP世界第2位の経済大国の一丁上がり。
まったく実態を伴わず、世界の笑いものになってるそうだ。
そんな世界の笑い声なんて聞いてねえよ・・・。
 バブル最盛期には有頂天になってた。
日本の地価でアメリカが3つ買える、とか豪語してた。
ロックフェラーセンター買収は象徴的だった。
1億総ノー天気だった。
今でもあんまり変わんないけど・・・。

  • 「土地バブル」

 人類史上、「土地バブル」が起きたのは日本だけだとか・・・。
世にも珍しい国なんだそうだ。
日本より国土が狭いオランダやイギリスでも起きていない。
 歴史上、投機が起こすバブルは幾つかあったらしい。
オランダのチューリップ、江戸時代の朝顔、イギリスの植民地社債・・・。
でも一般的に先進国では土地には価値は無いらしい。
何故、日本だけが・・・?
キッカケは1960年の池田勇人内閣の「所得倍増計画
次いで1972年の田中角栄内閣の「日本列島改造論
ありましたねえ・・・。
そして1985年のプラザ合意に端を発した「バブル経済
日本はいとも簡単に「土地バブル」が起きる「土地本位制」だった。
当然、土地が高騰して喜ぶヒトがいたからこうなったんだべ。
一部の懐はごっそり潤って、そのツケは小市民に押し付け。
やれやれ・・・。

  • 「土地税制」

 かの有名なクラーク教授が日経新聞に寄稿したそうだ。
1989年のことだとか。
日本の地価は何か狂っている。
その原因は異常な土地税制にある、というもの。
日本は土地の固定資産税が低く、売却益税がやたらに高い。
これは欧米とまったく逆で、土地流動化の妨げになっている。
こんなバカげた税制を取っている国は見当たらない。
土地担保制も日本独特。
欧米では利益を生まない不動産はとっとと売却する。
ロックフェラーセンターがあっさりと売りに出たのもそういうことらしい。
 逆に利益が出ると思えばガンガン投資する。
ハゲタカ外資が東京の一等地を買っているのはその為らしい。
「土地バブル」崩壊は絶好の買い場だったようだ。
 狂気の税制のベースとなる土地の値段も杜撰そのもの。
これは一度不動産を持ってみればよくわかる。
昔から土地には4種類の値段があると言われてた。
めっちゃわかり難い。
1990年頃に買った土地は今や半値以下になってる。
でも固定資産税はまったく変わらないってゆ〜かあ〜、上がった。
ふざけてると毎年思う。
要するにテキトーなんだ。
誰も逆らわないと踏んで、お抱え不動産鑑定士にテキトーにやらせる。
すべて税収とにらめっこでテキトーに決めた「官製地価」
やれやれ・・・。

  • 「勝ち組」

 不動産を買ってローンを抱えたヒトは既に「負け組」
でも数は少ないが「勝ち組」もいるらしい。
関東で「勝ち組」地域は「4K」に限定されてる。
北は川口、南は(横浜市神奈川区、東は小岩、西は国立。
でもこの「勝ち組」地域は円形じゃない。
鉄道沿線の限られた十文字型だという。
 都内だからってすべてが安心って訳じゃないらしい。
都内も「勝ち組」は中央区、新宿区、千代田区など限定的・・・。
世田谷区はアウト、品川区はびみょーだとか。
それ以外はもちろん「負け組」のクズ土地だと断言してる。
ふう〜〜ん・・・。
 クズ土地は買い手がつかなくなればゼロ円。
「勝ち組」丸の内でも利益が出なきゃ値下がりする。
当ったり前だけど地価は需給関係だけで決まる。
もう勝負は決しているとか・・・。
さすがに著者も100%予測が当たる訳じゃないと言ってる。
でも、ブレても上下10%くらいの予測だと言い切ってる。
何となくその通りかも・・・って気がする。

  • 世代問題

 いつもモヤモヤしていた不安がかなり明確になった。
やっぱ日本の社会は根本的な転機を迎えそうだ。
これから平和ボケの中でモノとカネにまみれたツケが回ってくる。
ただし、先行世代はツケを払わない。
ぬくぬくと満たされて平和ボケの中で死んでゆく。
ツケを回されるのは次世代。
 日本では世代交代が消滅し、否応無く負債だけが相続される。
世代間扶養も崩壊する。
社会の根本定理が崩壊することになる。
著者は「社会的輪廻の崩壊」と表現している。
将来の孫子の資産まで喰いつぶす「世代ファシズム」とも言っている。
多分、先行世代は「何のこった?」って思うべ。
団塊ジュニアも「知ったこっちゃない」って思ってる。
ものを考えない両世代に挟まれた世代は悲惨だよなあ・・・。

  • 1960年代

 著者は最後に「悲観してない」と言ってる。
これから痛みは避けられないだろう。
でも、原始時代に戻る訳じゃない。
経済的に余裕が無くなれば家庭に戻って行くんじゃないか?
本来の家族が再興するかも知んない。
1960年代の生活に戻ればいいじゃないかと言ってる。
わかるんだけどねえ・・・。
 ヒトは下がるのが苦手な動物だと思う。
1度美味いモノ喰っちゃうとすぐに口が肥えちゃう。
高級マンションに住んだら次に4畳半1間のアパートは厳しいべ。
1960年代を知ってる世代はまだいいけどね。
知らない世代には地獄の沙汰かも・・・。
「清貧」なんて死語を発掘出来るかなあ・・・。