通勤路の雑感Ⅹ

歩くには一番いい季節。
暑からず、寒からず、薫風爽やか、百花繚乱。
通勤路も賑やかだ。
今年はさくらが遅かったので、いろんな花が一気に咲いてる。
「後が詰まってんだから、早いとこ咲いとくれよ」
と言わんばかり。
緋寒桜、木蓮、吉野桜、八重桜、桃、ユキヤナギレンギョウ・・・。
GWに入る頃にハナミズキが咲き出した。
が、GWが空けて出社したらもう散ってた。
今はツツジ、コテマリ、そしてバラがキレイだ。
最近はカメラを持って通勤することが多い。
人目を気にしながらパチパチやってる。
通勤地獄のサラリーマンが聞いたら怒り出しそう・・・。

  • 「Pロット通り」

この街に大手万年筆屋の事業所がある。
「Pロット」だ。
この事業所の前の通りは「Pロット通り」と呼ばれる。
光栄なこった。
実はウチの会社の事業所も同じ通り沿いの並びなんだけど・・・。
知名度の差というか、どのように地域に認知されてるかの差だと思う。
光栄な名前を冠されるにはそれなりの理由がある。
この街の新参者もこの名前に違和感が無い。
この名前で当然だと思う。
それは丁度今の時季になると良くわかる。
「Pロット」の事業所の正門を挟んだ両側300mくらいは生垣になってる。
それが全部バラの生垣。
この時季になるとそれが一斉に開花する。
そりゃあ見事だ。
毎朝、歩道を歩くと何ともいえない香りが漂ってる。
この2週間くらい、幸せな気分に浸れる。

  • メンテ

この生垣のメンテは大変らしい。
聞いた話では「Pロット」のバラの手入れ予算は4〜5百万円とか。
企業財政がどうであれ、もうやめられない。
市からも、住民からも期待されまくり・・・。
確かにしょっちゅうおじさんが剪定や施肥をしてる。
バラはもう立派な木になってる。
維持するのは大変だべなあ・・・。
このバラを維持してる限り「Pロット通り」を冠する資格がある。
1つだけ惜しいな、と思うこと。
それは歩道に面して無骨なフェンスが張ってあること。
フェンスから1mくらい引っ込んでバラの生垣がある。
写真を撮るにも結構フェンスが邪魔。
こんな世の中だからそれも仕方ないかもしれないけど・・・。

  • 似て非なる

近年、ウチの事業所も囲いの工事をした。
元は色気も何もない不細工なコンクリートの塀だった。
緑を増やし、防犯のために街路灯を設置。
アルミフェンスの内側にカナメモチの生垣を作った。
バラを植えて近隣住民の目の保養に・・・なんて発想はない。
でもやっぱり生垣のメンテは大変らしい。
結局、そこそこの費用がかかる。
近隣住民からは緑が増えて良かったという声を期待してた。
ところが来るのはクレームばっかし。
落ち葉がひどくて掃除が大変だ。
街路灯の明かりがまぶしい。
機械の音がうるさくなった・・・。
カネかけて工事して、クレームが増えた。
やってる事は似てるんだけどねえ・・・。

久々にバスに乗った。
午後から東京の本社に行くことになった。
ホントは歩きたいところだけど・・・。
さすがに本社に行くのに汗みどろって訳にいかない。
しぶしぶバス。
実は「ワンマンバス」は嫌いだ。
トラウマがある。
どうも「ワンマンバス」って名前が良くない。
いかにも独善的・自己チューが運転するバスみたいな・・・。
我が物顔でぶっとばして走るみたいな・・・。
ホントはそんなこと無いんだろうけど・・・。
イメージが出来上がっちゃってる。
車掌さんが乗ってて、切符を切ってくれるバスの方がいいな。
今さらってことも無いはず。
ロンドンのバスは今でもそのスタイルじゃん。

  • トラウマ

昔、沼津に住んでいた頃の話。
中学校へは徒歩通学だった。
高校に入ってバス通学が始まった。
しかもガッコまでは1度、JR沼津駅で乗り換えなきゃなんない。
ぴっかぴっかの1年生だった。
まだ慣れない通学で緊張感もあった。
JR駅に着くとガッコに向うバスが停まっているのが見えた。
間に合わせようと走った。
息を切らせながらバスの入り口に一歩乗った途端、ドアが閉まった。
「ぎえっ!」
経験者は少ないと思うけど、バスのドアに挟まれるとめっちゃ痛い。
その時、ニヤニヤ薄笑いを浮かべる運転手の顔を見た。
どうやら故意にドアを閉めたようだ。
痛かったけど、同時に恥ずかしかったので黙ってバスに乗った。
ふと見ると真新しい革靴の表面がめくれていた。
猛烈に怒りが湧いて来たが、幼かった。
治療費や靴の修理代を請求するなんて発想が無かった。
まったくの泣き寝入り。
ワンマンバス」は嫌いだ。