「成果・能力主義」のこと
- 年度末
全国的に年度末。
民間企業は決算に向けていろいろ忙しい。
営業は成績の帳尻合わせに必死だ。
棚卸も大仕事。
役場も予算の駆け込み消化で大変。
それだけは手伝ってあげたいくらい。
年度末の風物詩、駆け込み道路工事で渋滞も始まった。
ホントに分かり易い。
あまりに分かり易くって腹も立たないが、渋滞はえりゃあ迷惑だ。
民間企業の忙しさに拍車を掛けてくれる。
世の中全体をわさわさした雰囲気にしてくれる。
よくも毎年同じ事を・・・と思いながらも無いと寂しい気もする。
無駄遣いが無いと年度末の気がしないのも何だかねえ・・・。
- 「成果主義」
ウチの会社も一昨年、「成果主義」を導入した。
元々はアチャラ産だ。
今や世の企業はこれが当り前になって来たらしい。
最初の頃は賛否両論あった。
自分の事しか考えないヤツが増えて困る。
人間関係が希薄になるし、組織が崩壊すると言う声もあった。
でも随分試行錯誤して、日本向けに仕組みが改良されたらしい。
仕事しないヤツは給料が減って、公平になった。
頑張れば報われる事が分かってやる気が増した。
「成果主義」は概ね評価出来ると言う声が多くなって来た。
ウチの会社は大物だ。
そんな世間の流行りには動じない。
「成果主義」が騒がれ始めて10年以上経ってから導入した。
周回遅れと見るべきか、横綱相撲と見るべきか・・・。
びみょー・・・。
- 「MBO」
何しか導入されてしまった。
とにかく仕組みの勉強をしなきゃなんない。
いろいろ本を読んでみた。
「成果主義」を実践する仕組みが「目標管理制度」と言うヤツ。
これは要するに通知表の自己申告版みたいなモンだ。
「MBO」と呼ばれる申告・通知表を使う。
「MBO」は「Management By Objectives」の略だそうだ。
最近はこう言う3文字英語が多くてムカつくが・・・。
とにかく、期の初めに自分で期間の目標を自己申告する。
例えば営業なら「期末までに商品を幾ら売る」みたいな・・・。
営業みたいに成果が分かり易い仕事は目標が立て易い。
問題は企画・管理系の仕事。
目標の立て方が難しい、と言うかびみょーだ。
何をもって目標を達成したと言い張るか?
やっぱ声の大きさだべ。
上司は何をもって目標の達成度合いを評価するか?
そりゃ好きか嫌いかだべ。
教科書的には「目標は定量的」が原則。
要するに数字で示すとかシロクロはっきりさせる、みたいな・・・。
この辺がこの仕組みの弱いとこだろう。
仕事が全て数字で表わせる訳が無いじゃん。
っと言う訳でだんだんコツが分かって来た。
- コツ
コツは2つ。
1つは意外に簡単。
それは上司と十分にコミュニケーションを取る事。
当ったり前なんだけどこれが大事。
お互いに何を考えているのか良く知る。
昼も夜も含めて良く話す機会を作るべき。
やっぱノミニケーションだべ。
「目標管理制度」と言う仕組みはドライなイメージがあるが実は違う。
むしろコミュニケーションに役に立つと思う。
2つめのコツが一番大事かも知れない。
それは上司が評価(査定)し易い目標を立てる事。
例えば「書類をファイルする」なんて目標はダメ。
点数のつけようが無い。
「誰もが検索し易い様なファイリング方法を考える」ならイケる。
これなら上司が甲乙を付けられる。
結果オーライみたいな目標もダメ。
例えば「電気代を減らす」みたいな・・・。
暖冬だったら減るし、猛暑なら増える。
自分でコントロール出来ない様な目標はしょーも無い。
上司もそう言う方向に指導すべきと言われる。
が、まずは部下が考えるべきだろう。
そこで既に勝負あった、かも知れない。
そんな目標設定が出来る部下は最初っから良い評価になるだろう。
上司に力量が無ければ尚更だ。
部下が智恵を絞って良い結果が出る様に誘導すれば良い。
っと言う訳で仕組みは意外に単純だった。
- 追い込み
ここんところ追い込みが大変。
最後の仕上げである。
この仕組みのヤなところは自分だけの問題じゃ無い事。
「成果主義」は「個人主義」に陥ると言われたのは昔の話。
この仕組みには「目標の連鎖」と言うのがある。
要するに連座制。
上司が良い点を取れないと組織全体の評価が下がってしまう。
そして評価が給料・ボーナスに連動する。
ウチの会社の場合、会社全体の業績が悪いとボーナスを減らされる。
恐いですねえ〜。
年末のボーナスはこの仕組みにやられた。
ショックだったね。
そしてみんながある事に気付いた。
会社の業績がどーのこーのなんて知ったこっちゃ無い。
何とか上司に良い点を取ってもらわなきゃいかん!
じゃ上司が良い点を取る為にはどうするか?
組織全体が良い評価を取って上司を盛り上げるしか無い。
部下の中の1人だけが良い点を取ってもまったく意味が無い。
また、そんな考えの部下は絶対に良い点にならない。
と言う訳で追い込みは大変。
最終報告をどう書いたら上司が良い点が取れるか?
日々、これを考えている。
- 平均賃金
先日、「賃金構造基本統計調査」と言うのが発表された。
厚労省の2004年度の調査だ。
結果、パートを除く一般労働者の平均賃金は301,600円。
前年より0.2%、500円のダウン。
これで3年連続の減少になったそうだ。
「成果・能力主義」の広がりが影響しているのでは無いか。
新人事制度が賃金を抑制しているのでは無いか、と書かれていた。
確かに「成果主義」で二極化が進んでいる気はするが・・・。
それより、雇用形態の二極化の方が気になる。
完全に職種に貴賎のレッテルが貼られている。
調査対象になってない労働者の賃金下落はすさまじい様な気がする。
ウチの会社なんてめっちゃ優雅だ。
世の中が平和な時は、動物園の動物は肥満気味。
やめられまへん。