まおの食欲の雑感Ⅹ

  • 花粉

今年の花粉は気合十分だ。
ハンパじゃない。
どこもかしこも何だか粉っぽい。
オフィスのフロアも何だかサラサラしている。
とりあえず安心出来るのは家の中だけ。
締めっきりにして空気清浄機が2台全開で回ってる。
嫁さんは毎日、親のカタキみたいに掃除してる。
サイクロン式掃除機とか言うのを買って来て、ぶいんぶいんとやってる。
洗濯物は全部室内。
布団乾燥機も大活躍だ。
こうなると外に出たくない。
会社が来ればいい。
そうも言ってらんないから仕方無くクルマで出掛ける。
しかも完全武装。
今週は毎日、マイカー通勤だ。

  • メール

珍しく真面目に仕事をしていた。
午後からは会議室にこもっていた。
上司と重要事項の打ち合わせしていた。
「今月の送別会はどこでやろうか?」
「やっぱ、ご無沙汰してますから「Aさと」はどうですか?」
「そうだな。1月以来行ってないもんな」
大変な重要事項である。
打ち合わせが終わって席に戻った。
おっ、嫁さんから何かメールが入ってる。
開いてみる。
「まおが血を吐いた。病院に行きたいがクルマが無い。連絡くれ」
血の気が引いた。
急いで上司のところに行く。
「すいません。ちょっと急用が出来ちゃいましたので帰ります」
「ん?」
「今日は午後の半休にさせて下さい」
「もう4:00だよ。半休ってこたあないだろ」
「ま、何でもいいんですけど、とにかく失礼します」
「ん。分かった、分かった。気をつけて」
と言う訳で吹っ飛んで帰った。

  • 嘔吐

嫁さんに聞くと昨日から不調だったらしい。
昨日も喰ったモノとクスリを全部吐いてしまったらしい。
今日は朝から食欲が無かったそうだ。
それでも「まおさん」は威勢良く行って来た。
鶏レバーを少しだけ喰った。
嫁さんはクスリを飲ませてプールに出掛けた。
ところが嫁さんが帰って来たら悲惨な状態だったらしい。
あっちこっちに嘔吐した跡があったとか。
そして嘔吐物の中に鮮血が混じってたと言う。
嫁さんはすぐ主治医の「F沢動物病院」に電話を入れた。
とりあえず処置した方が良いので連れて来てくれと言う事になった。
ところがクルマが無かった、と言う訳だ。
ま、その後元気なのでノドにキズがついた程度かも知れない。
ひぇ〜、びっくりした。

  • ドクターF沢

診療時間は16:00から。
今日はオペが入っているのでその前には無理。
もっともお坊ちゃまも落ち着いてはいる。
嫁さんから今日は一緒に入る様に指示があった。
へいへい。
先週のリンパ腺の細胞診結果が届いたと言う。
結果を聞いて分からない事はいろいろ質問して欲しいとか。
用心棒か借金の取り立て屋みたいである。
折りしも花粉がピークだ。
2人してマスクして入って行った。
一瞬、受付の女性が固まる。
心なしかドクターF沢も緊張気味に見えた。
きちんと面談したのはこれが2回目だ。
嫁さんがとりあえず電話で状況を話してあったので処置は容易だった。
嘔吐止めと止血剤の注射をする。
今日は胃を休めて明日から食餌とクスリを飲ませる様にとのこと。
クスリもステロイドと強肝剤に胃薬を加えた。

  • 細胞診

ドクターF沢が診断結果のFAXを出した。
「これが結果です」
見ると全部ヨコモジだが、NAKANO MAOの診断が出ていた。
思わず質問しちゃう。
「日本では細胞診が出来ないんですか?」
「いや、出来なくは無いんですがやはりキャリアが違うんです」
「ふううん」
「日本は人間の細胞診は進んでますが動物はまだまだなんですね」
なるほど分かる気がする。
日本は先進国で一番のペット後進国
いろんな体制が整備されて来たのはごく最近だ。
我々も動物病院があんまりちゃんとしてるのでびっくりしたくらいだ。
診断書を見る。
「INTERPRETATION:Possible lymphosarcoma」
やっぱリンパ肉腫の疑いが濃厚なんだ。
ドクターF沢もやっと診立てが出来てほっとした雰囲気。
「それで今後の治療方針なんですが・・・」
説明を聞く。
聞いた限りではドクターF沢は良く勉強している。
間違いなくヘタな人間の医者よりレベルが高い気がする。
もちろん根治療法は無い。
寛解療法しか無いと言うのは分かっている。
複数抗がん剤の組み合せで80%以上の寛解率が期待出来ると言う。
気になる副作用は一過性の食欲不振くらいだと言う。
抗がん剤の投与法は注射・点滴が主だと言う。
日常状態の維持が期待出来ると言うヒトコトで治療を決断した。
フツーでいられる事が最高なんだ。
来週から抗がん剤投与を始める。
帰り際、ドクターF沢がお坊ちゃまに声を掛けた。
「まおちゃん、頑張ろうな!」
・・・。
今日は花粉がひどい・・・。

  • 後始末

いつもお坊ちゃまが居る所はほぼ決まってる。
カウチやマッサージ器の上、ラグの上、ヘタするとベッドの上。
今回はベッドの上は免れた。
カウチとマッサージ器は犠牲になった。
これがまた、臭いこと。
後始末は大変だ。
嫁さんがいろんな洗剤・スプレーを駆使して掃除してる。
流石にマッサージ器には掛かる気がしなかった。
嫁さんいわく。
「2人とも花粉症だから鼻が詰まってて良かったね」
なるほど、花粉症の効用もあるんだ。