アメリカのこと

  • ガイコク

一昔前までアメリカは何となく憧れの国だった。
若かった所為もある。
まだ自分達が知り得る世界が小さかったし・・・。
冷戦時代には共産圏なんて暗黒の世界だった。
欧米社会の情報だけは何となく入って来た。
一番身近なガイコクはやっぱアメリカだったなあ。
他の国との比較なんかした事も無かった。
あったとしても単純に欧州と米国と言う対比くらい。
歴史と伝統の欧州、自由と開拓のアメリカ・・・みたいな。
世界が小さかったんだな、と思う。

  • キッカケ

我が家の新婚旅行は当然の様にアメリカだった。
他の候補はまったく頭に無かった。
それでも当時にしては結構な「キヨブタ」だった。
カネは無かった。
結婚式と新居の為にカネを使い尽くしちゃった。
仕方なく一番甲斐性がある末弟からカネを借りた。
知人の旅行社を通じて「アメリカ西海岸とハワイ」っつーのを見つけた。
23年前の今ごろだったなあ・・・。
値段は1人30数万円もした。
今思えばめっちゃ高いし、内容は珍道中だった。
シアトルの空港で夜明かしだったし、ハワイのホテルは部屋が無かった。
でもこれがキッカケになってしまった。
以来、カネも無いのに毎年毎年ハワイ通い。
完全に火がついてしまった。
あいつはハワイの定期券を持ってる、とか言われてた。

  • 勘違い

今思えばハワイや西海岸を米国と思う事がそもそも間違いだった。
ここは日本人を心地良くさせる。
日本人用に仕組みが出来た数少ない観光地だった。
治安は良いし、みんなフレンドリーだし・・・。
物価は安くは無いが日本食にも不自由しないし・・・。
どこへ行っても日本人だらけ。
カラカウア通りも六本木も外国人の数は変わらないとか言われた。
ハワイの4つの島を全部巡ったがやはり心地良い。
むしろオアフ島以外の島の方が観光地化されて無くって良かったりする。
ますます勘違いが進んだ。
同じアメリカでもちょっと足を伸ばせばそれが理解出来たのに・・・。
ガイコクの中でも特殊なアメリカの中の特殊な観光地に通ってた。
大きな勘違いだった。

  • 真のアメリカ

井の中のカワズとは良く言ったモンだ。
ハワイと西海岸以外のアメリカを見てひっくり返った。
NYもワシントンもオーランドもマイアミも・・・。
全然違う国じゃん。
どう見ても有色人種なんて人間と思っていない。
日本人なんて眼中に無い。
いつ殺されてもおかしく無いくらいの雰囲気の悪さ。
これがアメリカなんだと気づいたのは随分後からだった。
初のNYは会社の研修旅行で行った。
道中、仲間が荷物を奪われそうになった事、数知れず。
夜のビルの隙間に黒人の目だけがギラギラしてる。
おっそろしくてとても1人で出歩く気にならない。
これが真のアメリカなんだと分かった。

  • 唯我独尊

他の国を知るに従い世界観が変わって来た。
米国のイメージはどんどん薄汚れて小さくなってしまった。
今や世界で最も行くに価しないくらいのイメージ。
自国の利益=自分だけの利益を追求する国。
自由=勝手に何でもやっちゃう国。
自分の利益の為なら戦争くらい何のその。
気に入らない時は鉄砲ぶっ放せば良い。
京都議定書もタバコ規制条約も利益にならんからシカト。
完全な唯我独尊・野蛮人国家じゃん。

お国柄だから仕方ないけど・・・。
鉄砲と暮らす事に違和感の無い国だ。
何度も銃規制法案が葬られている。
我々は身のまわりに鉄砲があると気味が悪い。
海外に行って空港のセキュリティが武装していても気持が悪い。
エジプトなんかたまらなく気持が悪かった。
汚らしいネグリジェみたいな服を来た民兵みたいなのが鉄砲持ってる。
ろくに訓練もされて無いだろう。
カラシニコフだって整備なんかされて無いだろう。
と思うと事故が起きないのが不思議なくらいだ。
アメリカはこの状態が子どもにまで浸透している訳だ。
日本の子どもがケータイやゲーム機を持つのと同じ感覚だろう。
子どものケンカに鉄砲が出て来るってこった・・・。
慣れってのは恐ろしい。

  • 銃犯罪

たまたま2件続けて米国の事件が報道された。
ま、日常茶飯事なんだろうけど・・・。
たまたま他に流すニュースが無かったとか・・・。
アトランタの裁判所でレイプ犯が婦警から銃を奪ってひと暴れ。
判事ら3人が射殺された。
犯人はそのまま逃げて他所でも1人を射殺した。
どうせ死刑にはならんと思ったかどうか知らないがその後、投降した。
ウィスコンシン州ではホテル集会場でコンピューター技師がひと暴れ。
宗教団体メンバー7人が射殺され、自分も自殺した。
こっちの犯人はマガジンを取り換えながら撃ちまくってたらしい。
鉄砲が身近にあると言う事はそう言う事なんだ。
自分達が好きでそう言う社会を作ってんだから仕方ないけど・・・。