珍しくも無い本の雑感17(2)

  • 目くそ

この本で幾つかウロコが落ちた事がある。
1つは合計特殊出生率
要するに女性が一生の内に産む平均子ども数。
これが2.08以上無いと人口は減少に向かうらしい。
2人ではダメなんだ。
何と無く分かる気もする。
病気になったり、事故にあったり・・・。
それが0.08か・・・。
ってえ事は人口維持の為には子どもが3人いなきゃダメじゃん。
良く「子ども2人は人類を維持する為最低限の義務」とか言う。
嘘っぱちじゃん。
子どもを3人持っているヒトには敬意を表さなければいけない。
でも2人以下のヒトは同じ。
人口維持に貢献しないと言う意味では目くそ耳くそじゃん。
でも面と向かって言ったらケンカになるだろうな・・・。

詳しい事は良く分からないが出生率を分析するのは大変らしい。
何でも「重回帰分析」と言うワザを使うらしい。
要するにどんな要因が出生率に影響を与えるか。
算数のワザで調べるらしい。
要因と言うのは「女性未婚率」とか「女性労働力率」とか・・・。
「教育支出割合」とか「住民税」とかもある。
頭が痛くなるのであまり真面目に読まなかったが解釈が難しそうだ。
「擬似相関」と言うのもあるそうだ。
「コウノトリが多いところでは子どもの数が多い」
見事に相関している様に見える。
が、「コウノトリが子どもを運んでくるから」では無い。
コウノトリがいない都市部では少子化が進んでいるから・・・だって。
その他にも「住宅面積」「持ち家比率」「老人ホーム数」・・・。
「自殺者数」「世帯人員数」・・・。
何でもこじつければこじつけられそうな・・・。
一番説得力があったのは「健康な高齢女性の有無」だった。
ば〜ばがいれば安心・・・と言うのは数字なんか無くても分かる。
こんなんが学問なのかねえ・・・?

  • 欺瞞

著者が一番言いたい事はこのこじつけが許せん!と言う事らしい。
男女共同参画社会が実現すれば少子化は防げる」
この言説が欺瞞だ、と力んでいる。
この本の骨子はこの部分に集約されているかも・・・。

    1. 男女共同参画社会が少子化対策として有効でないとしたら、男女共同参画は必要ないのか?⇒「否」
    2. 男女共同参画社会は少子化対策と結びつくべきなのか?⇒「否」
    3. 少子化はなぜ問題なのか?そもそも問題なのか?⇒「多少、問題である」
    4. 少子化が仮に問題であるとして、出生率回復策で対応することがよいことなのか?⇒「否」
    5. 出生率の回復よりも、優先すべき課題はないのか?⇒「ある」
    6. 少子化はなぜ進むのか?それを食い止めることは可能なのか?⇒「不可能」
    7. 少子化が進み、人口減少社会が到来する今後、どのような政策が望ましいのか?⇒「出生率低下を与件とする制度設計が望ましい」
    8. 21世紀の少子化男女共同参画をめぐる理念は、何か?⇒「選択の自由」と「負担の分配」

男女共同参画社会は良い事だが少子化対策にこじつけるな。
子育て支援は結構だが大きなお世話では無いのか?
何と無く特定のヒトを思い浮かべながら書いた様な臭いもするなあ・・・。

  • メリット

少子化のデメリットは分かりやすい。

    1. 若年人口・労働力の減少に伴う経済成長の鈍化
    2. 現行年金制度の破綻(不安定化)

この2点に集約されるだろうと書かれている。
少子化のメリット論と言うのも少なからず存在するらしい。

①住宅問題の解決、②財政の好転、③通勤地獄の解消、④レジャーをより楽しめるようになる、⑤高齢者や女性の基幹的雇用への道が確実になる

近視眼的であんまり説得力に欠けるなあ・・・。
単なるカネの問題じゃ無いような気がするんだけど・・・。
今みたいな荒んだ世の中で経済成長がシュリンクしたら危ういよなあ。
みんなが「清貧の思想」に戻るなんてことはありえない。
ヒトの数が減ってしかも質が悪くなったら治安は最悪じゃん。
社会秩序が保てなくなるのが一番のデメリットの様な気がする・・・。
更に明日に続く。