昼メシの雑感Ⅲ

  • 牛丼戦争

もう過去の言葉になってしまった。
一時期は200円台の牛丼が街に溢れていた。
ハンバーガーの半額セールとかもあって競争に拍車をかけた。
昼メシを50円で済ますサラリーマンとかも表れた。
小市民もデフレを体感出来た。
何もそんなに安くしなくっても・・・と言う気もしていた。
たまに仕事で外勤した時は結構牛丼を喰ってた。
元々嫌いじゃ無いし、早い、安い。
何より混みあうランチタイムにはとっても便利だ。
見ず知らずのアカの他人と顔をつき合わせて合い席しなくても済む。
回転が早いので後ろにヒトが突っ立ってまだかまだかと待たれる事も無い。
なかなか小市民の味方ではあった。
でもあっという間に街から牛丼が姿を消して久しい。
BSE問題は牛丼屋には大打撃だった。
けど戦争終結にも貢献した。
あのままでは収拾が付かなかったんじゃ無いかな・・・。
皆が引っ込みが付かなかったので救われたと言えるかも・・・。

  • 懐かしの味

多分、牛丼を最初に喰ったのは30数年前だったと思う。
学生の時、東京に出て初めて「吉野家」に出会った。
確かあの頃の値段は「並」が350円とか400円じゃ無かったかな・・・。
味噌汁とかおしんことか卵が別売りだった気がする。
刻み紅ショウガは喰い放題でどっさり乗っけて喰ってた。
それもそんなにしょっちゅう喰える訳では無かった。
貧乏学生にとっては結構贅沢品だった。
社会に出てからは仕事柄かも知れないがトンと喰う機会が無くなっていた。
それが何年か前にふと牛丼を喰う機会があった。
何だかとても新鮮で懐かしかった。
昔の情景が浮かんで来て・・・それ以来ハマった。
何だろう?
歳喰ったと言う事かな・・・?
他にもヘンなモノが喰いたくなる。
最近のノンフライの上品なカップ麺より昔の下品なインスタントラーメンが喰いたい。
シャケが入った具沢山の高級茶漬けより永谷園のお茶漬けが喰いたい。
元々が安く出来ているんだな。きっと・・・。

  • ナンバー1

普段の昼メシはほとんど会社の食堂だ。
そんなに牛丼を喰う機会は無い。
でも、たまに外勤する時には意識して喰ってる。
牛丼戦争の時にはいろいろな店を試してみた。
吉野家」「松屋」「なか卯」などなど・・・。
東京に行くと結構チェーン店以外にも牛丼専門店がある。
遂に東京本社の近くに1軒お気に入りの店を見つけた。
「たつ屋」と言う民族系・独立系の店だ。
戦時中は例に漏れず牛丼250円とかで戦っていた。
味噌汁・おしんこ付きである。
他にもカツ丼や親子丼なども出していたが400円くらい。
ここの牛丼はバツグンに美味かった。
兎に角仕事が丁寧で盛り付けもきちんとしていた。
良く煮込まれた肉は油っこ過ぎず玉ネギなどの野菜とのバランスも良い。
チェーン店には出来ないきめ細かさが独立系の強みだと思う。
その代わりフロアスタッフはヘンな訛りのお姉さん達ばかりだった。
「どぞー」「すわてださい」「ありとまいたー」みたいな・・・。
ま、良いのである。
以来、本社で会議の時には何とか時間を合わせてここの牛丼を喰ってた。
が、流石にBSEには勝てなかった。
やがて店が閉まってしまい、暫くして「天たつ」に生まれ変わった。
天丼の専門店だ。

  • 復活

今日も本社で会議だった。
最近は牛丼を喰う機会も無いしそれに慣らされてしまった。
昼メシは何を喰おうかウロウロしていた。
ふと「天たつ」の前を通りかかったら何か張り紙がしてある。
「牛丼、復活しました!」
おっ!
更に能書きがある。
「あるルートで良い材料が入手出来たので幻の牛丼を復活させました」
よっぽど待望久しい声が多かったんだろう。
店の入口にはヒトがダマになってる。
知るヒトぞ知ると言う事なんだろうな。
滅多にしない行列して店に入って、久々の牛丼を喰った。
う〜〜〜ん。
何かが違うなあ・・・。
これは戦時中の「吉野家」や「松屋」と同じだ。
あの「たつ屋」の絶品牛丼とは違いますから〜。残念!
お値段は「並」が350円だった。
う〜〜〜ん。
「まお」の処方食の缶詰と同じ値段か・・・。