ビストロ「M」のことⅦ

  • 大晦日

最近は年末・年始の過ごし方が変わって来た。
以前は何とかして海外に出ようとあがいていた。
南半球とかアジア系は悪く無い。
でも正月休みは休暇の自由度が低く旅行者が集中する。
料金はバカ高いしツアーは取り合いになる。
日程がちょっとズレると料金は半値になるのに・・・。
4〜5日間のアジアツアーだったらズラした方が断然賢い。
会社でちょっとばっくれていれば済む話だ。
と言う訳で大晦日は親孝行に徹する様になった。

札幌に居た頃はおいそれと帰っては来られなかった。
流石にこの街に引っ越して来てからは必ず帰る。
大体大晦日に帰って夕食を共にして年越し蕎麦を喰って・・・。
元旦に雑煮を喰って戻って来る。
1/2は箱根駅伝があるので避ける。
元旦の夕方には箱根を越えてこの街に戻り、初詣に行ったりする。
昨年の大晦日に蕎麦を打って届けた。
美味しい蕎麦粉を取り寄せて打ってみた。
なかなか好評だったので今年も蕎麦屋をする事にしていた。
今年は嫁さんが札幌で仕入れて来た蕎麦粉を使う事にした。
嫁さんのお袋さんとそのお兄さんの分で2人前。
ウチの実家の両親と我々の分で4人前。
都合6人前だがスペースの関係上、2回に分けて打った。
水回しの段階で蕎麦の良さが分かる。
こいつは美味そうである。

  • 大雪

珍しい天気だ。
朝から怪しげだったが「まおさん」に出たら降り始めた。
ボタ雪がかなり激しくなった。
「まお」もオジサンも雪まみれになった。
これはヤバイかも・・・。
案の定、雪はあっという間に積もって一面真っ白になった。
交通情報を聞いていると次々と幹線道路が通行止めになって行く。
遂に湘南から箱根に掛けての全道路が通行止めになった。
実家に電話を入れる。
「こんな状況なので今日は行けそうも無いね」
「蕎麦を当てにしてただよ。電車で来たらどうだね?」
「「まお」も居るし荷物も一杯あるから無理だよ。蕎麦は買って喰ってくれ」
「しょうが無いね。今から蕎麦買いに行くのも億劫だからラーメンでも喰うよ」
「明日、蕎麦持って行くから、良いお年を」
かくして初めてこのマンションで新年を迎える事になった。

  • 正月料理

さてそうなると夕飯をどうするか?
こんな時、頼りはビストロ「M」でしょ。
本来は休業だった。
急な事なので正月料理がベース。
「キンピラゴボウ」「サトイモとシイタケの煮物」「シーザーサラダ」
それに青森から届いたと言う「ねぶた漬け」もある。
ここんちの「キンピラゴボウ」は独特だ。
甘みがほとんど無い。
あっさり醤油味がベースでむしろ辛め。
これがビールには良く合う。
「サトイモとシイタケ」もやはりあっさり醤油味。
甘みはほとんど感じない。
当店の料理の基本はビールに合うか否かである。
ビール好きの我々にとっては美味いに決まってる。
大満足。

  • 年越し蕎麦

仕上げはやっぱり年越し蕎麦。
シンプルな「せいろ蕎麦」で頂く。
「美味い!」
「これは最高だ!」
やはり蕎麦粉が良いんだろう。
上品な蕎麦の香り。
絶妙の麺の太さ。
舌触り、のど越しも最高。
蕎麦湯が又美味かった。
間違いなく今年喰った蕎麦の中ではナンバー1だった。
札幌の「志のや」に勝るとも劣らない。
1年の締め括りにこんな大満足が出来て幸せだ。
来年はきっと美味いものに出会える気がする。